再建築不可物件になってしまう最大の理由は、建築基準法上の「接道義務」を満たしていないことにあります。原則として、幅員4m以上の道路に間口が2m以上接していない土地では、建物の建て替えが認められません。本記事では、再建築不…
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虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士伊澤 大輔経歴:
2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。 -
宅地建物取引士杉本 英紀経歴:
2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。
目次
再建築不可物件になってしまう最大の理由は、建築基準法上の「接道義務」を満たしていないことにあります。原則として、幅員4m以上の道路に間口が2m以上接していない土地では、建物の建て替えが認められません。本記事では、再建築不可となる法的根拠や道路の種類を詳しく解説するとともに、例外的に建築が可能となる「43条但し書き」などの救済措置や、フルリフォーム・売却といった活用法まで網羅的に紹介します。所有する土地が再建築できない理由を正しく理解し、適切な対策を講じるためのヒントが得られます。
なぜ再建築不可になるのか法的根拠と理由

不動産取引において「再建築不可物件」と呼ばれる土地や建物が存在します。これは文字通り、現在建っている建物を取り壊して更地にした場合、新しい建物を建てることができない土地を指します。なぜ自分の所有地や購入を検討している土地に家が建てられないのか、その最大の理由は日本の法律、具体的には建築基準法における接道義務の規定にあります。
再建築不可となる物件の多くは、建築当時には適法であったものの、その後の法改正や都市計画の変更により、現在の法律の基準を満たさなくなった「既存不適格」の状態にあることが一般的です。ここでは、再建築が認められない法的なメカニズムについて詳しく解説します。
都市計画区域内における建築基準法の制限
日本国内のすべての土地で建築が厳しく制限されているわけではありません。建築基準法による集団規定が適用されるのは、主に都市計画区域および準都市計画区域内にある土地です。これらの区域は、計画的な街づくりが必要とされるエリアであり、建物の安全性や防災機能を確保するために厳しいルールが設けられています。
再建築不可となる法的根拠の中心にあるのが、建築基準法第43条です。この条文では、「建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない」と定められています。これが一般的に接道義務と呼ばれるものです。
この法律が制定された主な目的は、災害時の避難経路の確保や、消防車・救急車などの緊急車両がスムーズに通行・活動できるスペースを確保することにあります。したがって、この基準を満たさない土地に建築を許可することは、住民の生命や財産を守る観点から認められていないのです。
建築基準法上の要件を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 原則的な要件 | 再建築不可となるケース |
|---|---|---|
| 道路の定義 | 建築基準法上の道路(原則として幅員4m以上) | 建築基準法上の道路として認められていない通路や空地 |
| 接道の長さ | 敷地が道路に2m以上接していること | 接している長さ(間口)が2m未満である |
| 適用の区域 | 都市計画区域・準都市計画区域 | 同区域内で要件を満たさない土地 |
接道義務を果たしていない土地の問題点
「接道義務」を果たしていない状態とは、具体的にどのようなケースを指すのでしょうか。最も典型的なのは、敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していない状態です。
例えば、以下のような土地は接道義務違反となり、原則として再建築ができません。
- 敷地が道路に全く接していない(袋地)
他人の土地に囲まれており、道路に出るために他人の土地を通行しなければならない土地です。 - 接している道路の幅が狭すぎる
接している道が幅員4m未満であり、かつ建築基準法第42条2項道路(みなし道路)などの救済措置の対象外である場合です。 - 路地状部分(敷地延長)の間口が狭い
いわゆる「旗竿地」において、道路に接する通路部分の幅が2m未満である場合です。たとえ奥の敷地が広くても、入り口が狭ければ建築は認められません。
これらの制限は、単に形式的なものではありません。火災が発生した際に消防隊が進入できなかったり、地震による倒壊で避難路が塞がれたりするリスクを排除するための重要な規定です。そのため、見た目は立派な道路に面しているように見えても、それが法的に認められた道路でなければ接道義務を果たしたことにはならない点に注意が必要です。
再建築不可の理由と密接に関わる道路の種類

不動産物件において「前面道路」の存在は、建物を建築できるか否かを決定づける最も重要な要素の一つです。一般的に道路があれば家が建てられると考えられがちですが、目の前の道路が建築基準法上の道路に該当しない場合、原則として再建築不可となります。ここでは、所有形態による公道・私道の違いと、建築基準法における道路の扱いの違いについて詳しく解説します。
公道であれば必ず建築可能とは限らない理由
多くの方が誤解しやすい点として、「公道(国や自治体が所有・管理する道路)に接していれば建築可能」で、「私道(個人や法人が所有する道路)だと建築が難しい」という認識があります。しかし、建築が可能かどうかを判断する基準は、所有者が誰か(公道か私道か)ではなく、建築基準法上の道路として認定されているかどうかが全てです。
たとえ見た目が立派な舗装道路であり、自治体が管理する公道であったとしても、それが建築基準法第42条に規定された道路でなければ、接道義務を果たすことができず再建築不可となります。逆に、私道であっても法的な要件を満たしていれば建築は可能です。
公道であっても再建築不可となる代表的なケースと、道路の種類の関係を以下の表に整理しました。
| 道路の通称・種類 | 所有形態 | 建築基準法上の扱い | 再建築の可否 |
|---|---|---|---|
| 42条1項1号道路 | 公道・私道 | 幅員4m以上の道路 | 原則として可能 |
| 2項道路(みなし道路) | 公道・私道 | 幅員4m未満だが特定行政庁の指定あり | セットバックを行えば可能 |
| 法定外道路(里道・赤道など) | 公道(国有地など) | 建築基準法上の道路ではない | 原則として再建築不可 |
| 単なる通路・空地 | 私道 | 建築基準法上の道路ではない | 原則として再建築不可 |
特に注意が必要なのは、古くからある「里道(りどう)」や「赤道(あかみち)」と呼ばれる法定外公共物です。これらは公図上で赤く塗られていたことから赤道と呼ばれ、現在は市町村などが管理しているケースが多いですが、建築基準法上の道路指定を受けていない場合は、単なる通路扱いとなり接道義務を満たせません。
物件を調査する際は、現地の見た目だけで判断せず、役所の建築指導課や道路課にある道路台帳を確認し、その道路が建築基準法第42条のどの項・号に該当するかを特定することが不可欠です。
位置指定道路と再建築不可の関係
私道において建築を可能にするための代表的な制度が「位置指定道路(建築基準法第42条1項5号道路)」です。これは、土地を分譲する際などに、特定行政庁から道路の位置の指定を受けた私道のことを指します。しかし、過去に位置指定道路として認められた道路であっても、現状において再建築不可の要因となるケースが存在します。
位置指定道路に接しているにもかかわらず、再建築不可や建築制限がかかる主な理由は以下の通りです。
指定図面と現況の不一致
位置指定道路の認定を受けた当時の図面(指定図)と、現在の道路の形状や幅員が異なっている場合があります。長い年月の間に塀が作られたり、敷地の一部として利用されたりして幅員が4mを割り込んでいる場合、現況が図面通りに復元されない限り、建築確認が下りない可能性があります。
底地の所有権と権利関係のトラブル
位置指定道路はあくまで私道であるため、道路部分の土地所有者が別に存在します。再建築の際には、上下水道管やガス管の引き込み工事で道路を掘削する必要がありますが、私道の所有者から「掘削承諾」や「通行承諾」が得られない場合、実質的に工事ができず再建築が困難になることがあります。これは法的な「建築不可」とは少し異なりますが、実務上、再建築不可物件と同様に扱われる大きな要因です。
位置指定の取り消しや廃止
極めて稀なケースですが、過去に指定された道路が、その後の変更や申請によって位置指定を取り消されている場合もあります。この場合、その道は法的には「道路」ではなくなり、接道義務を満たせなくなります。
したがって、位置指定道路に接している物件であっても、必ず指定図の写しを取得し、現地で幅員や延長距離を測量して、図面との整合性が取れているかを確認することが重要です。
再建築不可でも建築可能になる43条但し書きの救済措置

再建築不可物件であっても、一定の条件を満たすことで再建築が可能になる救済措置が存在します。不動産業界では長らく「43条但し書き道路」という通称で呼ばれてきましたが、平成30年(2018年)の建築基準法改正により、現在は「法第43条第2項の認定・許可」という制度に移行しています。
この制度を利用し、特定行政庁(自治体)から「交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない」と認められれば、接道義務を満たしていない土地でも建築確認を取得し、家の建て替えや新築ができるようになります。
43条但し書き適用のための要件と手続き
かつての「43条但し書き」は、法改正によって「43条2項1号認定」と「43条2項2号許可」の2つに分類されました。どちらも接道義務の例外規定ですが、適用される条件や手続きの難易度が異なります。
それぞれの違いを整理すると以下のようになります。
| 区分 | 法第43条第2項第1号【認定】 | 法第43条第2項第2号【許可】 |
|---|---|---|
| 旧制度の名称 | (新設された制度) | 43条但し書き許可 |
| 対象となる道 | 幅員4m以上の農道、林道、港湾道路など、特定行政庁が認めた道 | 建築基準法上の道路基準を満たさないが、周囲に空地等がある場合 |
| 建築審査会の同意 | 不要 | 必要 |
| 難易度 | 比較的スムーズ | 要件が厳しく時間がかかる |
「1号認定」は、実質的に道路として機能している幅員4m以上の道に接しているケースで適用されやすく、建築審査会の同意が不要なため手続きが簡素化されています。一方、多くの再建築不可物件で問題となるのは、幅員が4m未満であったり、通路の形態が整っていなかったりするケースであり、これらは「2号許可」を目指すことになります。
手続きの一般的な流れは以下の通りです。
- 事前相談:自治体の建築指導課などの窓口で、救済措置の対象になるか相談します。
- 事前協議:関係部署(消防や道路管理課など)との協議を行います。
- 申請書の提出:必要な図面や同意書を揃えて申請します。
- 建築審査会の審査:(2号許可の場合のみ)
- 認定・許可通知書の交付:これをもって建築確認申請が可能になります。
建築審査会の同意が必要なケース
前述の通り、法第43条第2項第2号の許可を受けるためには、第三者機関である「建築審査会」の同意が必要です。これは、本来建築が認められない土地に対して特例的に許可を出すため、慎重な判断が求められるからです。
建築審査会の同意を得るためには、主に以下の基準を満たす必要があります。
- 敷地の周囲に広い空地があること:公園、緑地、広場などに接している、あるいは敷地自体が広く、隣地との間に十分な空間を確保できる場合。
- 協定通路等の確保:将来にわたって通行が可能であるよう、通路部分の権利者全員の承諾を得ており、その幅員や形態が基準を満たしていること。
- 建築物の制限:階数が2階以下であることや、用途が一戸建て住宅に限られるなど、規模や用途が制限される場合があります。
また、多くの自治体では、個別の案件ごとに毎回審査会で議論する手間を省くため、あらかじめ定型的な基準を定めた「包括同意基準」を設けています。この基準に合致していれば、審査会での個別の審議が省略され、スムーズに許可が下りる傾向にあります。詳しくは埼玉県や横浜市などの特定行政庁が公表している基準を確認するとよいでしょう。
一方で、包括同意基準に当てはまらない特殊なケースでは「個別提案」となり、許可取得のハードルは非常に高くなります。セットバック(敷地後退)によって通路幅を広げることで許可が得られるケースもあるため、専門家である建築士や土地家屋調査士への相談が不可欠です。
再建築不可物件を活用するための選択肢

再建築不可物件は、一度建物を解体して更地にしてしまうと、原則として新たな家を建てることができません。そのため、活用方法には慎重な判断が求められます。主な選択肢として、既存の建物を活かしてフルリフォームを行うか、再建築不可物件に強い専門業者へ売却するかの2つが挙げられます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合わせた最適な方法を選びましょう。
建て替えではなくフルリフォームを行う
再建築不可物件であっても、建物のすべてを解体せずに基礎や柱などの主要構造部を残した状態であれば、リフォームやリノベーションを行うことが可能です。特に「スケルトンリフォーム」と呼ばれる手法であれば、内装や設備をすべて一新し、新築同様の住み心地を実現できます。
ただし、建築基準法において「建築確認申請」が必要となる大規模な修繕や模様替えを行う場合、現行の法規(接道義務など)への適合を求められることがあります。そのため、建築確認申請が不要な範囲内でのリフォームに留めるか、自治体ごとの緩和規定を確認することが重要です。また、一般的な住宅ローンは利用できないケースが多いため、金利がやや高めのリフォームローンを利用することになる点にも注意が必要です。
リフォームの種類と費用の目安
再建築不可物件のリフォーム費用は、建物の劣化状況や工事範囲によって大きく異なります。特に築年数が古い物件では、耐震補強や断熱工事も同時に行うことが推奨されます。
| リフォームの内容 | 費用の目安 | 工事のポイント |
|---|---|---|
| 表層リフォーム | 300万円 ~ 600万円 | クロスや床の張り替え、水回り設備の交換など、見た目をきれいにする工事です。 |
| スケルトンリフォーム | 1,000万円 ~ 2,000万円 | 骨組みだけを残して間取り変更や配管更新を行う大規模な工事です。新築に近い状態になります。 |
| 耐震・断熱補強 | 150万円 ~ 300万円 | 旧耐震基準の物件の場合、安全性を確保するために必須となる工事です。 |
再建築不可物件を専門業者に売却する
「住む予定がない」「リフォーム費用を捻出できない」という場合は、売却して現金化することをおすすめします。しかし、一般的な不動産仲介市場では、再建築不可物件は「住宅ローンが組めない」「建て替えができない」という理由から敬遠されがちで、買い手を見つけるのが非常に困難です。
そこで有効なのが、再建築不可物件や訳あり物件を専門に取り扱う買取業者への売却です。専門業者は独自の再生ノウハウや運用ルートを持っているため、現状のままで買い取ってもらえる可能性が高くなります。
仲介売却と業者買取の違い
一般個人に向けた「仲介」と、不動産会社が直接買い取る「買取」では、売却までのスピードや条件が大きく異なります。再建築不可物件においては、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が免責される買取の方が、売主のリスクを抑えられるメリットがあります。
| 比較項目 | 一般的な仲介売却 | 専門業者による買取 |
|---|---|---|
| 買い手 | 一般の個人 | 不動産会社(プロ) |
| 売却期間 | 半年以上かかることも多い | 最短数日 ~ 1ヶ月程度 |
| 売却価格 | 市場価格に近い(売れれば高値) | 市場価格の5割 ~ 7割程度 |
| 契約不適合責任 | 原則として売主が負う | 売主は免責される(責任なし) |
| リフォーム | 売主負担で必要な場合あり | 現状渡しでOK(不要) |
まとめ

再建築不可となる最大の理由は、建築基準法上の道路に敷地が2m以上接していない「接道義務」を満たしていないことにあります。公道に面していても幅員が不足している場合や、位置指定道路の要件を満たしていないなど、その原因は土地ごとに異なります。
ただし、特定行政庁の許可(旧43条但し書き)を得ることで再建築が可能になるケースもあります。もし法的制限が解除できない場合でも、フルリフォームによる再生や、専門業者への売却といった選択肢は残されています。まずはご自身の土地が再建築不可である法的根拠を正しく理解し、状況に合わせた最適な解決策を検討しましょう。
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