旗竿地とは、文字通り竿に取り付けた旗のように見え、間口は小さく、奥に広い土地がある形状を指します。旗竿地は、一般的な整形地と違い評価額を算出する際に気をつけたいポイントがあります。
本記事では、旗竿地の評価の実情と、相続税評価額の計算方法について解説していきます。
目次
旗竿地の評価額について

旗竿地とは、道路に面した部分(間口)は小さく、奥の方に広い敷地がある土地のことです。狭い間口から奥の広い敷地までは、細長い通路のようになっており、竿に旗を立てている形状に似ていることから「旗竿地」と呼ばれます。
旗竿地は、この独特の形状から土地の活用が問題になりやすく、評価額が一般的な整形地よりも低い場合がほとんどです。旗竿地の評価額が低くなる理由として、次のものが考えられます。
- 周りを建物に囲まれているため日当たりが悪くなりやすい
- 再建築に制限がかかることがある
- 再販価格がつきづらい
- 駐車場を作る場合には縦列駐車になり使いづらい
多くの旗竿地は周りを建物に囲まれており、一般的に日当たりがあまり良くありません。さらに接している間口の幅や、接している道路の幅などによっては、現行の建築基準法における「接道義務」を満たしていない場合があります。接道義務を満たしていないと、すでに建っている建物を解体して処分する際に「再建築不可」とみなされるケースもあります。
再建築不可と判断されれば、さらに評価額は大幅に下がってしまい、再販価格がつきづらくなると言えるでしょう。
駐車場を作ったとしても、せいぜい1台分(2メートル)ほどの幅しか取れないため、2台以上を希望する場合には縦列駐車となるでしょう。
旗竿地の相続税評価額の計算方法

旗竿地の概要に基づいて、ここからは相続税評価額について解説していきます。具体的な旗竿地の相続税評価額の計算方法についてもまとめて紹介します。
通常の土地評価方法
通常の土地(整形地)の評価方法は、次のとおりです。
計算式内の「奥行価格補正率」とは、国税庁が定めている補正率です。奥行価格補正とは、正面路線からの垂直的な奥行距離が長い場合に、土地の評価額を減額するルールです。
「路線価」とは、国税庁が毎年公表している固定資産税などの根拠になる1㎡あたりの土地の価格です。路線価の数値は実勢価格の約7〜8割とされています。
かげ地を差し引いて計算する評価方法
かげ地を差し引いて計算する方法とは、評価対象となる区画全部を「想定整形地」とし、ここから、「かげ地(想定整形地のなかの評価対象外の部分)」の分を差し引きます。その結果、旗竿地部分の評価額が算出できます。
一般的には、前述の通常の土地の評価方法よりも高くなることはないので、原則としてかげかげ地を差し引いて計算する評価方法のほうが相続税の負担軽減としては有利になります。

不整形地補正減額で求める評価方法
不整形地補正減額で求める評価方法とは、次の2つがあります。いずれか補正率が小さくなるほうを使って計算することで、評価額や相続税額が低く抑えられます。
間口狭小補正率とは、旗竿地のように間口が狭い宅地の相続税の評価をするときに用いられ 、宅地の路線価に乗じることができる割合のことです。旗竿地のように間口が狭いと、一般的な整形地と比較して使い勝手が悪いため、土地の価値が低く算出されます。そのため、これらの土地の評価をするときに補正率を用いて、正しい評価額を算出するのです。
まとめ
旗竿地は、流通することを考えると整形地よりも不利になることが多いでしょう。一方で相続の場面においては、整形地よりも評価額が低い特徴をメリットととらえることもできます。
評価額が少ないということは、相続税も抑えられるということです。土地の評価額や、税額の計算については、各種専門家へ相談の上確実に進めましょう。