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アパートの相続税が払えない時の対処法5選!売却や延納を徹底解説

アパートの相続税が払えない時の対処法5選!売却や延納を徹底解説

アパートを相続したものの、手元の現金が不足して「相続税が払えない」と頭を抱えていませんか?期限内に納税できないまま放置すると、高額な延滞税の発生や、最悪の場合は財産が差し押さえられるリスクがあります。しかし、焦る必要はあ…

この記事の監修者
  • 虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士:伊澤 大輔
    虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士
    伊澤 大輔
    経歴:
    2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
    不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
    元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。
  • 宅地建物取引士:杉本 英紀
    宅地建物取引士
    杉本 英紀
    経歴:
    2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
    借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
    訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
    趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。

アパートを相続したものの、手元の現金が不足して「相続税が払えない」と頭を抱えていませんか?期限内に納税できないまま放置すると、高額な延滞税の発生や、最悪の場合は財産が差し押さえられるリスクがあります。しかし、焦る必要はありません。適切な手順を踏めば解決策は見つかります。

本記事では、アパートの売却や延納・物納制度の利用、金融機関からの借入など、相続税が払えない時にとるべき5つの対処法を徹底解説します。小規模宅地等の特例による評価額の減額や滞納のリスク回避策も網羅していますので、ご自身の状況に最適な資金調達方法が必ず分かります。

アパートの相続税が払えないとどうなるのか

アパートの相続税が払えないとどうなるのか

アパートのような不動産を相続した場合、評価額が高額になりやすく、手元の現金だけでは相続税を納付できないケースは珍しくありません。しかし、「払えないから」といって放置してしまうと、経済的な負担が増えるだけでなく、最終的には財産を失うリスクがあります。

相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎてしまった場合に具体的にどのような事態に陥るのか、法的なペナルティと執行手続きの観点から解説します。

延滞税や加算税などのペナルティが発生する

期限内に相続税を完納できない場合、本来納めるべき税額に加え、罰金としての性質を持つ「附帯税」が課されます。これにより、時間の経過とともに支払い総額が雪だるま式に増えていくことになります。

延滞税(利息に相当するペナルティ)

延滞税は、納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される、いわば「利息」のような税金です。延滞税の税率は、納付期限から2ヶ月を経過するかどうかで大きく異なります。

  • 納期限から2ヶ月以内:原則として年7.3%(特例基準割合により変動あり)
  • 納期限から2ヶ月経過後:原則として年14.6%(特例基準割合により変動あり)

特に2ヶ月を過ぎると税率が跳ね上がるため、未納期間が長引くほど負担が重くなります。

加算税(申告不備に対するペナルティ)

期限までに申告自体を行わなかったり、実際の額より少なく申告したりした場合には、さらに「加算税」が上乗せされます。悪質性や状況に応じて以下の4種類に分類されます。

加算税の種類 発生するケース 税率(目安)
過少申告加算税 期限内に申告したが、申告額が少なかった場合 10% または 15%
無申告加算税 期限までに申告しなかった場合 15% ~ 20%
不納付加算税 源泉徴収した税金を期限内に納めなかった場合 10%
重加算税 財産隠しや書類改ざんなど、悪質な隠蔽があった場合 35% または 40%

このように、単に「現金がない」という理由で放置すると、本来の税額に加えて最大で40%以上の追加徴税が行われるリスクがあるのです。

参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

最悪の場合は財産の差し押さえが行われる

税務署からの督促を無視し続け、納税の意思が見られないと判断された場合、国税徴収法に基づき滞納処分、すなわち「財産の差し押さえ」が執行されます。

滞納から差し押さえまでの流れ

一般的には、納付期限を過ぎてからすぐに差し押さえが行われるわけではありません。通常は以下のような段階を経て手続きが進みます。

  1. 督促状の送付:納期限から50日以内に送付されます。
  2. 催告(電話・訪問・書面):税務署から納税の催促が行われます。
  3. 財産調査:預貯金、給与、不動産などの資産状況が調査されます。
  4. 差押予告書の送付:最終通告として送られます。
  5. 差し押さえの執行:財産が凍結または没収されます。

特に注意が必要なのは、督促状が発布された日から10日を経過すると、法律上はいつでも財産を差し押さえできる状態になるという点です。予告なしに銀行口座が凍結され、生活費が引き出せなくなるケースもあります。

アパートが「公売」にかけられるリスク

預貯金だけで滞納分を賄えない場合、相続したアパートそのものが差し押さえの対象となります。差し押さえられた不動産は、国による入札制度である「公売(こうばい)」にかけられ、強制的に売却されます。

公売での売却価格は、市場価格の約7割程度と極めて安くなる傾向があります。自身で不動産会社を通じて売却すれば完済できたはずの税金が、公売では安く叩き売られてしまい、アパートを失った上にまだ税金の滞納が残る、という最悪の事態も想定されます。

アパートの相続税が払えない時の対処法5選

アパートの相続税が払えない時の対処法5選

アパートのような不動産を相続した場合、評価額が高額になりやすく、想定以上の相続税が発生することがあります。しかし、相続税は原則として現金で一括納付しなければなりません。手元の資金が不足している場合、そのまま放置すると延滞税などのペナルティが科されるため、早急に対策を講じる必要があります。

ここでは、アパートの相続税が払えない場合に検討すべき5つの具体的な対処法について、優先度や状況に応じた選び方を解説します。

対処法 概要 メリット デメリット・注意点
1. アパート売却 不動産を売って現金化する 納税資金を確実に確保できる 先祖代々の土地を失う可能性がある
2. 資金借入 金融機関から融資を受ける アパートを手元に残せる 返済負担と利息が発生する
3. 延納 国に分割払いを申請する 時間をかけて納税できる 利子税がかかり総支払額が増える
4. 物納 不動産そのもので納税する 現金がなくても納税可能 評価額が時価より低くなる傾向がある
5. 相続放棄 相続の権利を一切手放す 借金や納税義務から解放される プラスの財産もすべて受け取れない

アパートを売却して現金化する

最も確実で多くの人が選択する方法が、相続したアパートを売却してその代金を納税に充てることです。特に、相続人が複数いて遺産分割が難しい場合や、アパートの老朽化が進んでおり今後の賃貸経営に不安がある場合は、売却して現金化することでスムーズに解決できるケースが多いです。

ただし、相続税の申告・納付期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。不動産の売却には査定から引き渡しまで数ヶ月かかることが一般的であるため、期限に間に合うように早めに不動産会社へ相談し、売却活動を開始する必要があります。

金融機関から納税資金を借り入れる

「先祖代々受け継いできた土地を守りたい」「家賃収入が安定しており手放したくない」という場合は、金融機関から納税資金を借り入れる方法を検討します。これを「納税資金ローン」と呼ぶこともあります。

アパート経営による家賃収入があり、返済能力が十分であると判断されれば、アパート自体を担保にして融資を受けられる可能性があります。ただし、融資には審査があり、当然ながら金利負担が発生します。家賃収入からローンの返済を行っても収支がプラスになるか、慎重なシミュレーションが求められます。

制度を利用して延納を申請する

現金での一括納付が困難で、かつ借入も難しい場合には、国税庁の制度である「延納」を検討します。延納とは、要件を満たした場合に限り、相続税を年賦(分割払い)にできる制度です。

延納を利用するためには、「金銭で一度に納付することが困難である理由」が必要です。また、延納期間中は「利子税」という利息のようなものがかかります。銀行からの借入金利と比較して、延納にかかる利子税の方が高くなるケースもあるため、どちらが有利かを税理士に相談して比較検討することが重要です。

参考:No.4211 相続税の延納|国税庁

現金の代わりに物納を選択する

延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限り、例外的に認められるのが「物納」です。これは現金ではなく、相続したアパートや土地などの不動産、あるいは国債や株式などの有価証券で税金を納める方法です。

物納は最終手段という位置づけであり、国の審査は非常に厳格です。また、物納する際の財産の価値は「相続税評価額」で計算されます。一般的に不動産の相続税評価額は市場価格(実勢価格)よりも低く設定されているため、市場で売却して現金で納めるよりも損をする可能性が高い点に十分な注意が必要です。

参考:No.4214 相続税の物納|国税庁

相続放棄を検討する

もし相続したアパートの収益性が著しく低く、修繕費や維持費ばかりがかさむ場合や、被相続人に多額の借金がある場合には、「相続放棄」も選択肢の一つとなります。相続放棄をすれば、最初から相続人ではなかったものとみなされ、相続税の支払い義務もなくなります。

しかし、相続放棄を選択すると、預貯金や自宅など他のすべてのプラスの財産も一切受け取れなくなります。また、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があるため、判断までの時間は非常に限られています。

アパートを売却して相続税を払うメリットと注意点

アパートを売却して相続税を払うメリットと注意点

相続税の納税資金が手元にない場合、相続したアパートそのものを売却して現金化し、その資金で税金を納めることは非常に有効な手段です。これを「換価分割」や単なる「資産の組み換え」と捉えることもできます。

しかし、不動産の売却には特有の税金やスケジュールの制約が存在します。ここでは、アパートを売却して納税する場合の具体的なメリットと、必ず押さえておくべき注意点について解説します。

売却代金で納税し残りを現金で受け取る

アパートを売却する最大のメリットは、まとまった現金を確保し、相続税を完済できることです。延納や物納といった複雑な手続きを選択する前に、まずは売却によって金銭納付が可能かを検討するのが基本となります。

売却代金から相続税や仲介手数料などの諸経費を差し引いた残りの金額は、相続人の手元に残ります。これを「手残り」と呼びます。また、不動産という「分けにくい資産」を現金という「分けやすい資産」に変えることで、複数の相続人がいる場合に1円単位で公平に遺産分割ができるという点も大きなメリットです。

譲渡所得税がかかる点に注意が必要

アパートを売却して現金化する際に、最も注意しなければならないのが「譲渡所得税」の存在です。相続税とは別に、不動産を売って得た利益(譲渡所得)に対して所得税と住民税が課税されます。

多くの人が「売却代金がそのまま手元に残る」と勘違いしがちですが、実際には以下の計算式で算出される税金を支払う必要があります。

項目 計算式・内容
譲渡所得(利益) 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
取得費 土地や建物の購入代金や建築費(不明な場合は売却価格の5%)
譲渡費用 仲介手数料、測量費、印紙税など売却にかかった経費

特に、先代からの相続でアパートの取得費(購入時の価格)が不明な場合、売却価格の5%しか取得費として認められない「概算取得費」が適用されることが多く、その結果、譲渡所得が大きくなり税額が高額になるケースがあります。

相続税を取得費に加算できる特例を活用する

相続税を支払うためにアパートを売却した場合、一定の要件を満たせば「取得費加算の特例」を利用できます。これは、支払った相続税の一部を「取得費」として加算し、譲渡所得税を安くできる制度です。

この特例を使うことで、手元に残る現金を最大化できる可能性があります。ただし、この特例を受けるには「相続開始のあった日の翌日から3年10ヶ月以内」に売却するなどの条件があるため、詳細は国税庁の情報を確認するか、税理士へ相談することをおすすめします。

参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

相続税の申告期限までに売却を完了させる

相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。アパートを売却して納税する場合、この期限までに「売買契約」だけでなく「決済(現金の受け渡し)」まで完了させ、さらに税務署へ納付する必要があります。

売却活動のスケジュール管理が重要

不動産の売却には、査定から引き渡しまで通常3ヶ月〜半年程度の時間がかかります。アパートの場合は入居者の状況確認や、収益物件としての評価などが必要となり、一般的な戸建てよりも時間がかかることも珍しくありません。

期限ギリギリになって売り急ぐと、相場よりも大幅に安い価格で買い叩かれてしまうリスクがあります。そのため、相続税が払えないと分かった時点で、直ちに信頼できる不動産会社に査定を依頼し、販売活動を開始することが重要です。

売却方法 特徴とメリット・デメリット
仲介売却 メリット:市場価格で高く売れる可能性がある。
デメリット:買い手が見つかるまで時間がかかる(数ヶ月以上)。期限に間に合わないリスクがある。

業者買取 メリット:最短数週間で現金化が可能。仲介手数料がかからない。
デメリット:市場価格の7〜8割程度の価格になることが多い。

10ヶ月の期限に間に合わない可能性がある場合は、一時的に金融機関から「つなぎ融資」を受けて納税し、その後じっくりと売却活動を行うという選択肢も検討する必要があります。

延納や物納を利用するための条件とは

延納や物納を利用するための条件とは

相続税は原則として「現金一括納付」がルールですが、アパートなどの不動産が遺産の大部分を占め、手元の現金が不足している場合には、特例として「延納(分割払い)」や「物納(現物納付)」が認められることがあります。

しかし、これらの制度は希望すれば誰でも利用できるわけではなく、国税庁が定める厳格な要件を満たし、審査に通る必要があります。ここでは、それぞれの制度を利用するための具体的な条件について解説します。

延納が認められるための要件と利子税

延納とは、相続税を年払いで分割して納める制度です。アパート経営などの不動産貸付業を行っている場合、不動産の割合が大きくなるため、一般的に最長20年の長期分割が認められやすい傾向にあります。

延納の許可を受けるためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
1. 税額の基準 納付すべき相続税額が10万円を超えていること。
2. 金銭納付の困難性 納期限までに金銭で納付することが困難な事由があり、かつ、その納付できない金額の範囲内であること。
3. 担保の提供 延納税額に相当する担保を提供すること。
(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要)
4. 期限内の申請 相続税の納期限(申告期限)までに、「延納申請書」と「担保提供関係書類」を税務署長に提出すること。

特に重要なのが「金銭納付の困難性」です。単に「手元にお金を残したいから分割にしたい」という理由は認められません。また、延納期間中は、銀行の融資と同様に「利子税」という利息がかかります。

アパートのような不動産が遺産総額の50%以上を占める場合、不動産等に係る延納利子税の税率は低く設定される優遇措置がありますが、毎年の支払いがキャッシュフローを圧迫しないか、慎重なシミュレーションが必要です。

詳しくは国税庁の延納の手引等で最新の利率を確認することをおすすめします。

物納が認められるための要件と収納順位

物納とは、金銭で納付する代わりに、相続した財産そのもので税金を納める制度です。これは「延納によっても金銭で納付することが困難な場合」に限って許可される、最終的な手段と位置づけられています。

物納が認められるためには、延納の要件に加え、以下の条件をクリアしなければなりません。

  • 延納によっても金銭で納付することが困難な事由があること
  • 申請する財産が日本国内にあり、棚卸資産(販売用の不動産など)ではないこと
  • 管理処分不適格財産に該当しないこと(境界が不明確、抵当権がついている、係争中である等)

また、物納できる財産には優先順位(収納順位)が決められています。税務署は「現金化しやすいもの」や「国が管理しやすいもの」から順に受け取るルールになっているため、アパートなどの不動産は比較的優先順位が高い財産に分類されます。

順位 財産の種類 備考
第1順位 不動産、船舶、国債、地方債、上場株式など アパートやマンションはここに含まれます。ただし、抵当権が設定されている場合は抹消する必要があります。
第2順位 非上場株式など 第1順位の財産で納付が困難な場合に限り認められます。
第3順位 動産 家具、宝石、自動車など。第2順位までの財産がない場合に検討されます。

アパートを物納する場合の最大の注意点は、「相続税評価額」での収納になるという点です。一般的に相続税評価額は市場価格(実勢価格)よりも低くなるため、市場で売却して現金化し、税金を払った方が手元に残るお金が多くなるケースがほとんどです。

物納の手続きや劣後財産の詳細については、国税庁の物納に関する情報もあわせてご確認ください。

アパートの相続税額を減らすための特例措置

アパートの相続税額を減らすための特例措置

アパートなどの賃貸物件を相続する場合、そのままの評価額で計算すると相続税が高額になり、納税資金が不足する原因となります。しかし、一定の条件を満たすことで土地の評価額を大幅に引き下げることができる特例措置が存在します。ここでは、アパート相続において最も重要となる「小規模宅地等の特例」について詳しく解説します。

小規模宅地等の特例を活用して評価額を下げる

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人(亡くなった方)が自宅や事業に使っていた土地を相続人が引き継ぐ際、一定の要件を満たせばその土地の評価額を最大80%まで減額できる制度です。アパートや駐車場などの賃貸経営を行っている土地は「貸付事業用宅地等」に分類され、この特例を適用することで評価額を50%減額することが可能です。

貸付事業用宅地等の適用要件とは

アパートの敷地についてこの特例を受けるためには、被相続人と相続人の双方が以下の要件を満たす必要があります。単にアパートを持っていれば適用されるわけではないため、事前の確認が不可欠です。

  • 被相続人の要件:相続開始の直前において、その土地でアパート経営などの貸付事業を行っていたこと。
  • 相続人の要件:その貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、申告期限までその事業を継続して行っていること。
  • 保有継続要件:その土地を相続税の申告期限まで所有していること。

この特例は、事業の継続性を保護するためのものです。したがって、相続してすぐにアパートを売却してしまった場合や、賃貸経営をやめてしまった場合は適用を受けられない点に注意してください。

減額される割合と限度面積の計算例

貸付事業用宅地等として認められた場合、土地の評価額に対して以下の割合で減額計算を行います。

区分 限度面積 減額割合
貸付事業用宅地等
(アパート・駐車場など)
200㎡ 50%

例えば、評価額が5,000万円で面積が200㎡のアパート敷地の場合、特例を適用すると評価額は2,500万円となり、課税対象額を大きく圧縮できます。ただし、敷地面積が200㎡を超える場合は、200㎡までの部分についてのみ50%減額が適用され、超えた部分は通常の評価額となります。

「3年縛り」の制限に注意が必要

相続税対策としての駆け込み的なアパート建設を防止するため、平成30年度の税制改正により要件が厳格化されました。原則として、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された土地については、この特例の対象外となります。

ただし、これには例外があります。被相続人が相続開始の3年以上前から本格的な貸付事業(いわゆる事業的規模)を行っていた場合などは、3年以内に取得した土地であっても特例の対象となる可能性があります。ご自身の状況が要件に合致するかどうかは、国税庁のWebサイト等で詳細を確認するか、専門家に相談することをおすすめします。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

相続税滞納のリスクと回避するためのポイント

相続税滞納のリスクと回避するためのポイント

相続税の支払いが困難であるにもかかわらず、何の対策も講じずに放置してしまうことは最も避けるべき事態です。税務署は納税の公平性を保つため、滞納者に対して厳格な対応を行います。ここでは、滞納を続けた場合に具体的にどのような処分が下されるのか、そして最悪の事態を回避するために今すぐ取るべき行動について解説します。

払えないまま放置した場合の督促と処分

相続税を納期限までに納付せず、また延納や物納などの申請も行わずに放置した場合、税務署は法律に基づき滞納処分を執行します。単に延滞税が増えていくだけでなく、社会的信用を失い、最終的には大切な財産を強制的に失うことになります。

税務署からの督促を無視し続けると、予告なしに預金や不動産などの財産が差し押さえられるリスクがあります。

滞納から公売までのタイムライン

滞納が発生してから財産が処分されるまでの一般的な流れは以下の通りです。税務署は財産調査において強力な権限を持っており、金融機関や取引先に対しても反面調査を行うことができます。

段階 時期の目安 行われる措置と内容
未納の発生 納期限の翌日 延滞税の発生が開始されます。日割り計算で債務が増加し続けます。
督促状の送付 納期限から50日以内 法律に基づき督促状が発送されます。これが届いた時点で自主的に納付しなければ、差押えの要件を満たすことになります。
財産調査・催告 督促後随時 電話や文書による催告のほか、官公庁や金融機関への照会、自宅や事業所への捜索などが行われます。
差押え 調査完了後 不動産登記簿に「差押」と記載され、自由な売却や処分ができなくなります。預金や給与が差し押さえられることもあります。
公売(換価) 差押え後 差し押さえられた財産が入札形式などで強制的に売却され、その代金が滞納税額に充当されます。

公売によって不動産が売却される場合、市場価格の約7割程度の低い価格で落札されることが一般的です。ご自身で任意売却を行えば市場価格で売れて手元に現金が残ったはずのケースでも、公売になれば借金(未納分)だけが残ってしまう可能性すらあります。

詳しくは国税庁のWebサイトでも解説されています。
国税庁:国税を納期限までに納付しなかった場合

早めの不動産査定と資金計画が重要

アパートなどの不動産を相続した場合、納税資金が現金で用意できないのであれば、一刻も早く「資産の現金化」や「納税資金の調達」に向けた動き出しが必要です。相続税の申告・納付期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と決まっていますが、不動産の実務においてこの期間は決して長くありません。

アパートの売却には時間がかかる

特にアパートのような収益物件は、戸建て住宅に比べて買い手が限定される傾向にあります。また、入居者がいる状態での売却(オーナーチェンジ)となるため、賃貸借契約の内容確認や利回りの計算など、検討事項が多く成約までに時間を要します。

売り急ぐと足元を見られて相場より安く買い叩かれるリスクがあるため、余裕を持ったスケジュールで売却活動を行うことが重要です。

適正価格を知るための査定と資金繰りの確認

まずは信頼できる不動産会社に査定を依頼し、アパートがいくらで売れるのか、手取り額はいくらになるのか(譲渡所得税や仲介手数料を引いた額)を把握しましょう。その上で、以下の判断を期限の数ヶ月前までに行う必要があります。

  • 売却して納税する:売却代金で相続税を完納できるか確認する。
  • 納税資金を借りる:アパートを担保に銀行から借り入れを行い、家賃収入で返済する。
  • 延納や物納を検討する:売却が困難な場合、早めに税理士へ相談し要件を確認する。

もし納期限までに現金での納付が困難な場合でも、事前に税務署へ相談に行くことで「換価の猶予」などの制度が適用できる可能性があります。最も危険なのは、払えないからといって連絡を絶ち、問題を先送りにしてしまうことです。

まとめ

アパートの相続税が払えない時の対処法5選!売却や延納を徹底解説まとめ

アパートの相続税が払えない場合、放置すると延滞税や加算税が課され、最悪のケースでは財産が差し押さえられるため早急な対応が必要です。対処法には、アパートの売却、金融機関からの借入、延納・物納制度の利用、相続放棄の5つがあります。

中でも売却は納税資金を確保しやすいため有効ですが、申告期限や譲渡所得税への注意が欠かせません。また、「小規模宅地等の特例」を活用して税額を減らせるか確認することも大切です。解決にはスピードが求められるため、早めに税理士へ相談し、不動産査定を行って資金計画を立てましょう。

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