夫から妻へ家の名義変更をする際、最も懸念されるのが高額な贈与税や手続きの複雑さです。結論から言うと、婚姻期間20年以上の夫婦なら「贈与税の配偶者控除」を活用して最大2,110万円まで非課税にでき、離婚時の財産分与であれば…
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虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士伊澤 大輔経歴:
2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。 -
宅地建物取引士杉本 英紀経歴:
2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。
目次
夫から妻へ家の名義変更をする際、最も懸念されるのが高額な贈与税や手続きの複雑さです。結論から言うと、婚姻期間20年以上の夫婦なら「贈与税の配偶者控除」を活用して最大2,110万円まで非課税にでき、離婚時の財産分与であれば原則として税金はかかりません。この記事では、名義変更に必要な登録免許税や不動産取得税などの費用内訳から、税負担を抑える特例の適用要件、法務局での登記手続きに必要な書類までを分かりやすく解説します。スムーズな不動産移転と節税対策のために、ぜひ参考にしてください。
家の名義変更を夫から妻へ行う際にかかる費用と税金

夫から妻へ家の名義を変更する場合、単に名前を書き換えるだけでなく、法的な手続きに伴いさまざまな費用と税金が発生します。特に夫婦間であっても、対価を支払わずに不動産の名義を変える行為は法律上「贈与」とみなされるため、高額な贈与税が課税される可能性がある点に最大の注意が必要です。
ここでは、名義変更手続き全体で必要となる費用の内訳と、その計算基準について詳しく解説します。
贈与税以外にも登録免許税や不動産取得税が必要
不動産の名義変更(所有権移転登記)を行う際には、贈与税だけでなく、登記手続きそのものにかかる税金や、不動産を取得したことに対する税金、さらには手続きを専門家に依頼するための報酬などが必要です。これらは「現金」で用意する必要があるため、事前に資金計画を立てておくことが重要です。
夫から妻への名義変更(生前贈与)で主にかかる費用は以下の通りです。
| 費用の項目 | 概要と目安 |
|---|---|
| 贈与税 | 基礎控除額(年間110万円)を超えた分に対して課税されます。特例を使わない場合、税率は非常に高く設定されています。 |
| 登録免許税 | 法務局で名義変更の登記をする際に納める税金です。贈与の場合、固定資産税評価額の2.0%がかかります。 |
| 不動産取得税 | 不動産を新たに取得した人に課される地方税です。原則として評価額の4%ですが、土地や住宅には軽減措置(3%など)があります。 |
| 印紙税 | 贈与契約書を作成する際に貼付する収入印紙代です。記載金額のない贈与契約書の場合は一律200円です。 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを司法書士に依頼する場合の手数料です。物件の数や複雑さによりますが、一般的に5万円~10万円程度が相場です。 |
| 必要書類の取得費 | 固定資産評価証明書、印鑑証明書、登記事項証明書などの発行手数料です。数千円程度かかります。 |
このように、贈与税がゼロになったとしても、登録免許税や不動産取得税だけで数十万円単位の現金が必要になるケースも珍しくありません。特に登録免許税は、相続(0.4%)や財産分与(2.0%※実質非課税枠等の議論とは別)と比較しても、贈与(2.0%)は税率が高めに設定されている点を理解しておきましょう。
固定資産税評価額を基準にした費用の計算方法
名義変更にかかる税金を計算する際、基準となるのは「実際に購入した価格(実勢価格)」や「建築費」ではありません。市町村(東京23区は都)が定めた「固定資産税評価額」をもとに計算します。
固定資産税評価額は、毎年春ごろに役所から届く「固定資産税納税通知書」に添付されている課税明細書を見るか、役所の窓口で「固定資産評価証明書」を取得することで確認できます。一般的に、固定資産税評価額は実勢価格(市場価格)の70%程度が目安と言われています。
1. 登録免許税の計算式
登録免許税は、以下の計算式で算出します。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 2.0%(20/1000)
例えば、土地と建物の評価額合計が2,000万円の場合、
2,000万円 × 2.0% = 40万円
となり、この金額を登記申請時に収入印紙などで納付する必要があります。
2. 不動産取得税の計算式
不動産取得税の基本税率は4%ですが、土地や住宅に関しては軽減措置が設けられています(要件あり)。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3.0%(標準的な軽減税率)
ただし、宅地(土地)については評価額を2分の1にして計算する特例や、一定の要件を満たす住宅家屋には控除額が適用されるケースもあり、計算結果がゼロになることもあります。正確な税額を知りたい場合は、管轄の都道府県税事務所へ確認することをおすすめします。
3. 贈与税の計算の基礎
贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して税率を掛けて計算します。
贈与税額 = (課税価格 - 110万円) × 税率 - 控除額
もし評価額2,000万円の家をそのまま贈与し、特例(配偶者控除など)を使わなかった場合、基礎控除後の1,890万円に対して高い税率がかかり、数百万円もの贈与税が発生してしまいます。そのため、次章で解説する「贈与税の配偶者控除」の活用が不可欠となるのです。
贈与税を安く抑える贈与税の配偶者控除の活用法

夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合、通常であれば高額な贈与税が課せられる可能性があります。しかし、長年連れ添った夫婦の間で行われる贈与には、通称「おしどり贈与」と呼ばれる「贈与税の配偶者控除」という特例制度が用意されています。
この制度を正しく理解し活用することで、数百万円単位の節税が可能となり、実質的に贈与税を支払うことなく名義変更ができるケースも少なくありません。ここでは、この特例の仕組みや要件、そして相続税対策としてのメリットについて詳しく解説します。
基礎控除110万円と合わせて最大2110万円まで非課税
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産またはそれを取得するための金銭の贈与が行われた場合、最高2,000万円まで控除できるという特例です。
贈与税には、誰でも利用できる「暦年課税の基礎控除(年間110万円)」が存在します。配偶者控除はこの基礎控除と併用することが可能です。つまり、不動産の評価額が以下の計算式の範囲内であれば、贈与税はかかりません。
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 配偶者控除(特例) | 最高 2,000万円 |
| 基礎控除(暦年課税) | 110万円 |
| 合計非課税枠 | 最大 2,110万円 |
ここで注意が必要なのは、不動産の価値は市場価格(売買価格)ではなく、「固定資産税評価額」を基準に判定されるという点です。一般的に固定資産税評価額は市場価格の7割程度となることが多いため、時価が3,000万円程度の家や土地であっても、評価額が2,110万円以下であれば、贈与税ゼロで夫から妻へ名義変更が可能となります。
配偶者控除を受けるための適用要件と必要書類
この大きな節税メリットを享受するためには、国税庁が定める厳格な要件をすべて満たす必要があります。単に夫婦であれば良いわけではなく、婚姻期間や居住の実態が問われます。
配偶者控除の主な適用要件
- 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
- 配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であること(または居住用不動産を取得するための金銭)
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に住んでおり、その後も住み続ける見込みがあること
- 過去に同じ配偶者からこの特例を受けていないこと(一生に一度のみ適用)
また、特例を適用して贈与税額が0円になる場合であっても、必ず贈与税の申告書を税務署へ提出しなければなりません。申告を忘れると特例が適用されず、高額な税金が発生する恐れがあります。
申告の際には、以下の書類を添付する必要があります。
| 必要書類 | 取得場所・備考 |
|---|---|
| 戸籍謄本または抄本 | 市区町村役場(婚姻期間の証明のため) |
| 戸籍の附票の写し | 市区町村役場(住所移転の履歴確認のため) |
| 固定資産評価証明書 | 都税事務所または市区町村役場(不動産評価額の証明) |
| 登記事項証明書 | 法務局(名義変更完了の証明) |
詳細な手続きや最新の要件については、国税庁の公式情報もあわせてご確認ください。
参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
将来の相続税対策として生前贈与を行うメリット
夫から妻へ生前に家の名義変更を行うことは、将来夫が亡くなった際の相続税対策としても有効です。最大のメリットは、相続財産の総額を減らせる点にあります。
夫名義の不動産を妻へ贈与しておけば、その不動産は夫の相続財産から外れます。もし夫が亡くなった時に、自宅不動産を含めると基礎控除額を超えて相続税が発生しそうな場合、生前に2,110万円分の資産を非課税で妻に移転しておくことで、相続税の課税対象額を圧縮できます。
生前贈与加算(持ち戻し)の対象外となる
通常の贈与では、贈与者が亡くなる前3年以内(令和6年以降の贈与は段階的に7年以内へ延長)に行われた贈与は、相続財産に足し戻して計算される「生前贈与加算」というルールがあります。しかし、この配偶者控除を利用した贈与分については、持ち戻しの対象外となります。
つまり、贈与を行った直後に夫に万が一のことがあったとしても、贈与された不動産は相続財産に加算されず、妻の固有財産として守られるのです。これは、配偶者の生活保障を目的とした制度ならではの強力なメリットといえます。
離婚による財産分与で家の名義変更をする場合の違い

夫婦間で家の名義変更を行う際、それが「婚姻中の贈与」なのか、それとも「離婚に伴う財産分与」なのかによって、税金の扱いや手続きのルールが大きく異なります。離婚時の財産分与は、夫婦が協力して築き上げた財産を清算する手続きであるため、単なる資産の譲渡とは異なる法的性質を持つからです。
ここでは、離婚を機に夫から妻へ家の名義を変更する場合の特有のルールや、住宅ローンが残っている場合の注意点について詳しく解説します。
財産分与なら原則として贈与税はかからない
離婚による財産分与で不動産の名義を夫から妻へ変更する場合、原則として妻側に贈与税は課税されません。これは、財産分与が「相手から贈与を受けた」のではなく、「夫婦共有の財産から自分の持ち分を受け取っただけ」とみなされるためです。
ただし、どのような場合でも非課税になるわけではなく、以下のケースでは贈与税がかかる可能性があります。
- 分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力関係や事情を考慮しても多すぎると認められる場合(過当な部分に課税)
- 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
また、通常の贈与と財産分与では、不動産取得税や登録免許税の扱いにも違いがあります。それぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 税金・費用 | 婚姻中の贈与(夫→妻) | 離婚による財産分与(夫→妻) |
|---|---|---|
| 贈与税 | 原則課税 (配偶者控除の特例あり) |
原則非課税 |
| 不動産取得税 | 課税される | 原則非課税 (清算的財産分与の場合) |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の2.0% | 固定資産税評価額の2.0% |
| 譲渡所得税 (渡す側) |
かからない | 値上がり益がある場合は課税 (夫側に発生する可能性あり) |
特に注意が必要なのは、家を受け取る妻側ではなく、家を渡す夫側に「譲渡所得税」がかかる可能性がある点です。不動産を購入時よりも高い価格(時価)で妻に分与したとみなされる場合、その値上がり益に対して夫に課税されることがあります。ただし、居住用財産の3,000万円特別控除などが使える場合もあります。
税務上の詳細な要件については、国税庁のWebサイトもあわせてご確認ください。
No.4414 離婚して財産をもらったとき|国税庁
離婚成立前に名義変更すると贈与とみなされる注意点
「財産分与」として税制上の優遇を受けるためには、必ず離婚届を提出して離婚が成立した後に名義変更(所有権移転登記)を行う必要があります。
もし離婚届を出す前に名義変更を行ってしまうと、それは法的に「夫婦間での贈与」として扱われます。その場合、前章で解説した「贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)」の要件を満たしていれば非課税にできる可能性はありますが、特例を使えない場合は高額な贈与税が発生するリスクがあります。
手続きの順序としては以下の流れが鉄則です。
- 離婚協議書(公正証書など)を作成し、家の財産分与について取り決める
- 役所に離婚届を提出し、受理される
- 法務局で「財産分与」を登記原因として名義変更の申請をする
登記申請書に記載する「登記の原因」の日付も、離婚成立日(離婚届提出日)以降である必要があります。先走って手続きをしないよう十分注意してください。
住宅ローンの名義変更や借り換えに関する問題
家に住宅ローンが残っている場合、名義変更は非常にハードルが高くなります。なぜなら、銀行の承諾なしに勝手に家の名義を夫から妻へ変更することは、金銭消費貸借契約違反となるからです。最悪の場合、契約違反としてローンの一括返済を求められる恐れがあります。
離婚に伴い、夫名義のローンのまま妻が住み続ける、あるいは妻名義にローンを書き換える場合には、以下のような課題が生じます。
1. 妻が単独でローンを引き継ぐ(免責的債務引受)
夫のローンを妻が引き継ぐ方法です。しかし、これを実現するには妻自身に「夫と同等かそれ以上の返済能力(年収や勤続年数)」が求められます。専業主婦やパート勤務の場合、審査に通ることは極めて困難です。
2. 妻が別の金融機関で借り換える
妻が自分の名義で新たに住宅ローンを組み、夫のローンを完済する方法です。これも上記と同様に、妻自身の安定した収入と信用情報が必要となります。
3. 夫がローンを払い続け、妻が住む
名義変更はせず(または銀行の承諾を得て持分のみ変更し)、夫が返済を継続するパターンです。しかし、夫が再婚したり支払いが滞ったりした場合、家が競売にかけられ妻が退去を余儀なくされるリスクがあります。
住宅ローンが残っている家の財産分与は、税金の問題以上に「銀行との交渉」が重要になります。自己判断で登記を進めず、必ず金融機関や専門家に相談してから手続きを進めてください。
夫から妻への名義変更手続きをスムーズに進めるポイント

家の名義変更(所有権移転登記)は、管轄の法務局に対して申請を行うことで完了します。司法書士に依頼すれば手間はかかりませんが、数万円から十数万円の報酬が発生するため、費用を節約したい場合は自分で行うことも可能です。ただし、書類に不備があると受理されないため、事前の準備と正確な記載が不可欠です。
法務局へ行く前に準備すべき印鑑証明書などの書類
名義変更の申請には、現在の所有者である夫(義務者)と、新しい所有者となる妻(権利者)の双方で用意すべき書類があります。これらは法務局へ行く前に、市役所や自宅で揃えておく必要があります。
夫(あげる側・義務者)が用意するもの
夫は不動産を手放す側であるため、本人の意思確認として厳格な書類が求められます。
| 書類名 | 詳細・注意点 |
|---|---|
| 登記識別情報(または登記済権利証) | 家を取得した際に法務局から発行された12桁の英数字が記載された通知書、またはいわゆる「権利証」。紛失した場合は事前通知制度などの代替手段が必要になります。 |
| 印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内のものが必要です。実印が押印された書類の真正性を証明します。 |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税を計算するために必要です。都税事務所や市町村役場で最新年度のものを取得します。 |
| 実印 | 委任状や贈与契約書への押印に使用します。 |
妻(もらう側・権利者)が用意するもの
妻が用意する書類は比較的シンプルですが、住所の記載には注意が必要です。
| 書類名 | 詳細・注意点 |
|---|---|
| 住民票の写し | 新しい所有者として登記簿に記載される住所を証明します。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを取得してください。 |
| 認印(または実印) | 申請書への押印に使用します。認印でも可能ですが、重要な契約のため実印を使用するのが無難です。 |
共通で作成・準備するもの
公的書類以外に、名義変更の原因を証明する私文書も作成します。
- 登記原因証明情報:
贈与の場合は「贈与契約書」、財産分与の場合は「財産分与協議書」などが該当します。誰から誰へ、どのような理由で不動産が移転したかを記載した書面です。 - 委任状:
原則として申請は夫婦共同で行いますが、夫が法務局に行かず妻だけが窓口に行く場合(またはその逆)に必要です。
登記申請書の正確な書き方と提出方法
必要書類が揃ったら、「登記申請書」を作成します。法務局の窓口で用紙をもらうこともできますが、現在は法務局のホームページから様式をダウンロードして自宅で作成するのが一般的です。
登記申請書の記載項目とポイント
申請書はA4用紙に横書きで作成します。記載内容が登記簿上の情報や添付書類と一字一句合致している必要があります。
- 登記の目的:
「所有権移転」と記載します。 - 原因:
「令和〇年〇月〇日贈与」のように記載します。日付は贈与契約の締結日です。財産分与の場合は、離婚届が受理された日(離婚成立日)以降の日付となります。 - 権利者・義務者:
妻を「権利者」、夫を「義務者」とし、それぞれの住所・氏名を記載します。夫の住所は現在の登記簿上の住所と一致している必要があります。もし引越しで住所が変わっている場合は、先に住所変更登記が必要です。 - 課税価格:
固定資産評価証明書に記載された評価額の合計を記載します(1,000円未満切り捨て)。 - 登録免許税:
課税価格に税率(贈与・財産分与ともに原則20/1000)を掛けた金額を記載します(100円未満切り捨て)。 - 不動産の表示:
登記事項証明書(登記簿謄本)を見ながら、所在、地番、家屋番号などを正確に転記します。
申請書の様式や記載例は、法務局の公式サイトで確認できます。
書類の綴じ方と提出の流れ
作成した申請書と添付書類をまとめ、管轄の法務局へ提出します。
- 収入印紙の貼付:
計算した登録免許税額分の収入印紙を購入し、白い台紙に貼って申請書と合わせます。このとき、印紙には消印をしないでください。 - 契印(割り印):
申請書が複数枚になる場合や、印紙台紙との綴り目には、申請書に使った印鑑で契印を押します。 - 提出:
不動産の所在地を管轄する法務局の窓口へ持参するか、郵送で提出します。提出時に「登記完了予定日」を確認しておきましょう。 - 完了証の受領:
不備がなければ1〜2週間程度で登記が完了します。その後、窓口で「登記識別情報通知(新しい権利証)」と「登記完了証」を受け取ります。
手続きに不安がある場合や、平日に法務局へ行く時間が取れない場合は、無理をせず司法書士へ依頼することを検討してください。
夫から妻へ名義変更が完了した不動産を買取専門店に売却する

夫から妻への名義変更が完了した後、事情によりその不動産を売却して現金化したいと考えるケースもあります。特に離婚に伴う財産分与や、住み替えの資金計画においては、速やかに売却できる「買取」が有効な選択肢となります。
しかし、名義変更の原因が「贈与」なのか「財産分与」なのかによって、売却時にかかる税金の計算方法や所有期間の判定が大きく異なります。ここでは、名義変更後の売却における税金の仕組みと、買取専門店を利用するメリットについて詳しく解説します。
「贈与」か「財産分与」かで異なる売却時の税金と所有期間
不動産を売却した際の利益(譲渡所得)にかかる税金は、その不動産の所有期間によって税率が変わります。重要なのは、名義変更の理由によって所有期間が引き継がれるかどうかが異なるという点です。
| 名義変更の原因 | 所有期間の判定 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 贈与 (配偶者控除など) |
夫の所有期間を引き継ぐ | 夫の取得日から5年超なら約20% (長期譲渡所得) |
| 財産分与 (離婚) |
引き継がない (分与日から計算) |
分与日から5年以下なら約39% (短期譲渡所得) |
贈与で取得した場合は、夫が所有していた期間を通算できるため、夫が長く所有していれば「長期譲渡所得」として低い税率が適用されます。一方、離婚による財産分与で取得した場合は、分与を受けた日から所有期間がリセットされるため、直後に売却すると「短期譲渡所得」となり、高い税率が課される点に注意が必要です。
なお、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)を利用して名義変更を行った場合、その特例の要件には「贈与後も引き続き居住する見込みであること」が含まれています。そのため、名義変更直後に売却してしまうと、特例の適用が否認され、高額な贈与税が課されるリスクがあります。
居住用財産の3000万円特別控除の活用
売却によって利益が出た場合でも、マイホーム(居住用財産)であれば「3,000万円の特別控除」を利用できる可能性があります。この特例は、所有期間の長短に関わらず適用できるため、財産分与で取得した直後の売却(短期譲渡所得)であっても利用可能です。
この特例を適用すれば、売却益から最大3,000万円まで差し引くことができるため、売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得税はゼロになります。ただし、適用を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。
- 現在、主として居住している家屋であること(または住まなくなってから3年目の年末までであること)
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
- 前年や前々年にこの特例を受けていないこと
特に、離婚後に妻が単独名義で売却する場合、妻自身がその家に住んでいれば問題なく適用できます。これにより、短期譲渡所得の高税率による影響を回避できるケースが多くなります。
不動産買取専門店を利用するメリットと仲介との違い
名義変更後の不動産を売却する方法には、不動産会社に買い取ってもらう「買取」と、買主を探してもらう「仲介」の2種類があります。離婚による財産分与の現金化や、周囲に知られずに処分したい場合には、買取専門店が適していることが多いです。
| 項目 | 買取専門店(買取) | 不動産会社(仲介) |
|---|---|---|
| 現金化までの期間 | 最短数日〜1ヶ月程度 | 3ヶ月〜半年以上かかることも |
| 売却価格 | 市場価格の7〜8割程度 | 市場価格に近い金額が期待できる |
| 仲介手数料 | 不要 | 必要(売買価格×3%+6万円+税) |
| 契約不適合責任 | 免責(責任を負わない) | 売主が一定期間責任を負う |
| 周囲への周知 | 広告を行わないためバレにくい | チラシやネット広告で公開される |
買取専門店を利用する最大のメリットは、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が免責される点です。築年数が古い家や設備の不具合がある家でも、買取業者がそのまま買い取ってくれるため、売却後にクレームや補修費用を請求される心配がありません。離婚後の新生活に向けて、後腐れなく手続きを完了させたい方にとって大きな安心材料となります。
売却代金の清算と確定申告の必要性
買取専門店への売却が完了し、代金を受け取った後は、必ず翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。特に「3,000万円特別控除」を利用する場合は、税金がゼロになる場合であっても確定申告が必須です。申告を忘れると特例が適用されず、高額な税金が発生してしまうため注意しましょう。
また、離婚に伴う財産分与で得た不動産を売却して現金化(換価分割)する場合、手元に残った現金の使い道や、元夫との最終的な清算についても、事前に取り決めをしておくことがトラブル防止につながります。
まとめ

夫から妻への家の名義変更は、贈与税や不動産取得税などのコストが発生しますが、婚姻期間20年以上の夫婦であれば「贈与税の配偶者控除」を利用して最大2,110万円まで非課税にすることが可能です。一方で、離婚に伴う財産分与の場合は原則非課税となるものの、住宅ローンの取り扱いや名義変更のタイミングには十分な注意が求められます。手続きには法務局への登記申請が必要となり、書類作成も複雑なため、無理に自分で進めずに司法書士や税理士といった専門家に相談することで、スムーズかつ確実に手続きを完了させましょう。
共有持分の売却を検討したいとお考えの方、共有持分の買取についてくわしく知りたい方は、ぜひ東京都中央区に拠点を置く、訳あり物件買取センターにご相談ください。
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