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相続した実家の売却で失敗しない!知っておくべき特例と手続き

相続した実家の売却で失敗しない!知っておくべき特例と手続き

“親から相続した実家の売却でお悩みではありませんか?”相続した実家を売却する際は、相続登記や遺産分割などの手続きに加え、譲渡所得税や税制上の特例についても理解しておくことが大切です。この記事では、実家を売却する際の手続き…

この記事の監修者
  • 虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士:伊澤 大輔
    虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士
    伊澤 大輔
    経歴:
    2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
    不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
    元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。
  • 宅地建物取引士:杉本 英紀
    宅地建物取引士
    杉本 英紀
    経歴:
    2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
    借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
    訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
    趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。

目次

“親から相続した実家の売却でお悩みではありませんか?”相続した実家を売却する際は、相続登記や遺産分割などの手続きに加え、譲渡所得税や税制上の特例についても理解しておくことが大切です。この記事では、実家を売却する際の手続きの流れや必要書類、譲渡所得税の計算方法、売却にかかる費用の目安、活用できる税制上の特例について分かりやすく解説します。相続した実家の売却をスムーズに進めるためのポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

相続した実家の売却を検討する前に知っておくべき基礎知識

相続した実家の売却を検討する前に知っておくべき基礎知識

親が住んでいた実家を相続し、将来的に住む予定がない場合、売却は有力な選択肢となります。しかし、不動産の売却にはさまざまな手続きや税金が絡むため、まずは相続に関する基本的なルールや、売却に向けたベストなタイミングを把握しておくことが重要です。ここでは、実家の売却を本格的に検討する前に押さえておくべき基礎知識を解説します。

実家を相続する方法と相続の種類(単純承認・限定承認・相続放棄)

実家を売却するためには、まず相続人としてその不動産を引き継ぐ必要があります。相続が発生した際、相続人には大きく分けて3つの選択肢が用意されています。実家の資産価値だけでなく、被相続人(亡くなった親など)の借金などのマイナスの財産も含めて、どの方法を選ぶべきか慎重に判断しなければなりません。

相続の3つの種類とその特徴は以下の通りです。

相続の種類 概要 実家売却の可否
単純承認 プラスの財産(実家や預貯金)もマイナスの財産(借金など)もすべて無条件で引き継ぐ方法です。特別な手続きは不要です。 可能(最も一般的なケース)
限定承認 プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。相続人全員で家庭裁判所へ申述する必要があります。 可能(ただし手続きが非常に複雑)
相続放棄 プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない方法です。初めから相続人ではなかったことになります。 不可(実家の所有権を取得できないため)

実家を売却して現金化したい場合は、原則として「単純承認」を選択し、実家の所有権を正式に取得する必要があります。なお、相続放棄や限定承認を選択する場合は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければならないと裁判所のホームページでも定められているため、期限には十分注意しましょう。

相続した実家を売却するベストなタイミングとは

実家を相続した後、「いつ売却すべきか」と悩む方は少なくありません。売却を検討している場合は、できるだけ早めに準備を始めることが大切です。

その理由として、空き家のまま放置すると以下のようなデメリットが発生するからです。

  • 固定資産税や都市計画税などの維持費が毎年かかり続ける
  • 建物の老朽化が進み、資産価値が下落しやすくなる
  • 特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が除外され税負担が跳ね上がるリスクがある

また、相続した不動産を売却する際に利用できる税制優遇(特例)の多くは、「相続開始のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」といった厳しい期限が設けられています。期限を過ぎてしまうと数百万円単位で税金が変わることもあるため、相続登記や遺産分割協議が終わり次第、速やかに不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。

生前売却と相続後売却どちらが節税上有利か

親が健在で施設に入所するなどの理由で実家が空き家になる場合、「親の生前に売却するか、それとも相続してから売却するか」で迷うケースがあります。どちらが節税上有利になるかは、実家の評価額や親の財産状況によって異なります。

生前売却が有利になるケースは、親自身が売却することで「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用できる場合です。これにより、売却益に対する譲渡所得税を大幅に抑えることが可能です。売却して得た現金は分割しやすいため、将来の遺産分割トラブルを防ぐ効果もあります。

一方、相続後売却が有利になるケースは、「小規模宅地等の特例」を活用できる場合です。この特例を利用すると、実家の土地の相続税評価額を最大80%減額できるため、相続税そのものを大幅に抑えることができます。また、相続後に一定の要件を満たして売却すれば、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用して譲渡所得税を抑えることも可能です。

このように、生前売却は「譲渡所得税の節税や遺産分割のしやすさ」、相続後売却は「相続税の節税」にメリットがあると言えます。ご自身の状況においてどちらが適しているかは、不動産の価値や預貯金の額を総合的に見て判断する必要があります。

相続した実家の売却手続きの流れと必要書類

相続した実家の売却手続きの流れと必要書類

相続した実家を売却するためには、通常の不動産売却とは異なり、まず「亡くなった方から相続人へ名義を変更する手続き」が必要になります。ここでは、相続発生から実家の引き渡しに至るまでの一連の流れと、各ステップで準備すべき必要書類について詳しく解説します。

相続人の確定と遺産分割協議書の作成

実家の売却を進める第一歩は、誰が実家を相続するのかを明確にすることです。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、法定相続人をすべて洗い出します。相続人が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、実家を誰が取得するのか、あるいは売却して現金を分け合う(換価分割)のかを決定します。

協議がまとまったら、その内容を書面にまとめた「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印での押印が必須であり、のちの相続登記でも必ず求められる重要な書類です。実家を売却して代金を分ける換価分割の場合は、代表者名義で登記をして売却する旨を協議書に明記しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。

法務局への相続登記(所有権移転登記)の申請方法

遺産分割協議が完了したら、実家を管轄する法務局で相続登記(所有権移転登記)を行います。亡くなった方の名義のままでは不動産を売却することはできないため、必ず相続人名義に変更しなければなりません。また、法務省の案内にもある通り、2024年4月1日より相続登記が義務化されており、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わないと過料の対象となる可能性があるため注意が必要です。

相続登記は自分で行うことも可能ですが、戸籍の収集や申請書の作成が複雑な場合は、司法書士に依頼するのが一般的です。相続登記に必要な主な書類は以下の通りです。

必要書類 取得先・作成者 備考
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場 相続人を確定するために必要
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 最後の住所地の市区町村役場 登記簿上の住所と同一人物であることを証明
相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地の市区町村役場 相続人が生存していることを証明
相続人全員の印鑑証明書 各相続人の住所地の市区町村役場 遺産分割協議書に押印した実印の証明
遺産分割協議書 相続人 全員の署名・実印の押印が必要
実家を相続する人の住民票 住所地の市区町村役場 新しく登記名義人になる方の住所証明
固定資産税評価証明書 実家のある市区町村役場(都税事務所) 登録免許税の計算に使用

不動産会社への売却相談と査定の進め方

相続登記が完了、または完了の目処が立った段階で、不動産会社へ実家の売却相談や査定を依頼します。相続した実家の適正な価格を把握するためには、相続不動産の売却実績が豊富な不動産会社へ相談することが大切です。机上査定(簡易査定)でおおよその価格を把握した後、訪問査定によって建物の状態や周辺環境などを確認し、より具体的な査定額を算出してもらいます。

査定価格だけでなく、担当者の対応や売却戦略なども比較したうえで、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結しましょう。媒介契約には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があるため、ご自身の売却希望時期や状況に合わせて最適な契約形態を選ぶことが大切です。

売買契約から引き渡し・残代金決済までの流れ

不動産会社が販売活動を行い、購入希望者が現れたら、価格や引き渡し条件などの交渉を行います。双方が合意に至れば、買主と売買契約を締結します。売買契約時には、物件の重要事項説明が行われ、買主から手付金(売却価格の5〜10%程度)を受け取ります。

売買契約から約1ヶ月〜2ヶ月後に、残代金の決済と物件の引き渡しを行います。決済日には、売主、買主、不動産会社、司法書士が金融機関に集まり、買主からの残代金の入金確認、固定資産税の清算、仲介手数料などの支払いを行います。同時に、司法書士によって買主への所有権移転登記の手続きが行われ、鍵や関係書類を買主に引き渡して売却手続きはすべて完了となります。

売買契約および引き渡し時に売主(相続人)が準備すべき主な書類は以下の通りです。

必要書類・持ち物 使用するタイミング 備考
登記識別情報通知(または権利証) 決済・引き渡し時 相続登記完了時に法務局から発行されたもの
実印と印鑑証明書 売買契約時 / 決済・引き渡し時 印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のもの
本人確認書類(運転免許証など) 売買契約時 / 決済・引き渡し時 顔写真付きの公的証明書
固定資産税・都市計画税の納税通知書 売買契約時 / 決済・引き渡し時 税金の清算額を確定するために使用
実家の鍵・建築時の図面・パンフレット等 決済・引き渡し時 買主へ引き渡すもの

相続した実家の売却で必ず確認したい税金の仕組み

相続した実家の売却で必ず確認したい税金の仕組み

相続した実家を売却して利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税(所得税および住民税)」が課せられます。税金の仕組みを正しく理解していないと、想定外の税負担に慌てることになりかねません。ここでは、実家売却にかかる税金の計算方法や、適用される税率の仕組みについて詳しく解説します。

相続した実家を売却したときの譲渡所得の計算方法

不動産を売却した際にかかる税金は、売却金額そのものではなく、売却によって得た利益である「譲渡所得」に対してかかります。譲渡所得は、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) - (取得費 + 譲渡費用)

ここでいう「譲渡価額」は実家が売れた金額、「取得費」は実家を購入したときの代金や建築代金、購入時の仲介手数料などの合計額から建物の減価償却費を差し引いた金額です。「譲渡費用」は、今回の売却にかかった仲介手数料や測量費、印紙代などを指します。計算の結果、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)になった場合は、原則として譲渡所得税はかかりません。詳しくは国税庁の譲渡所得の計算のしかたをご確認ください。

取得費が不明な場合の概算取得費(売却価格の5%)の扱い

先祖代々受け継いできた土地や、親が数十年前に購入した実家の場合、当時の売買契約書が見つからず、取得費がいくらか分からないケースが多々あります。このように実際の取得費が不明な場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算するルールが設けられています。

例えば、実家が3,000万円で売却できた場合、その5%である150万円を取得費として差し引くことができます。しかし、実際の購入代金よりも概算取得費の方が大幅に低くなることが多く、結果として譲渡所得が大きく計算され、税負担が重くなる傾向があるため注意が必要です。

長期・短期譲渡所得の区分と適用される税率の違い

譲渡所得にかかる税率は、売却した不動産の所有期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に区分され、それぞれ税率が大きく異なります。ここで重要なのは、相続した実家の所有期間は、亡くなった親(被相続人)が取得した日から引き継がれるという点です。相続が発生した日からの期間ではないため、親が長く所有していた実家であれば、税率の低い長期譲渡所得に該当するケースがほとんどです。

区分 所有期間の要件 所得税率 住民税率 合計税率
長期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年超 15.315% 5% 20.315%
短期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年以下 30.63% 9% 39.63%

※所得税率には復興特別所得税(2.1%)を含んでいます。

売却後の確定申告の手順と提出期限

相続した実家を売却し、計算の結果として譲渡所得(利益)が発生した場合は、必ず確定申告を行わなければなりません。確定申告の期間は、実家を売却した(引き渡した)年の翌年2月16日から3月15日までと定められています。

確定申告書は、管轄の税務署の窓口へ直接提出するほか、郵送やe-Tax(電子申告)を利用して提出することも可能です。申告には、売買契約書のコピーや仲介手数料の領収書、親が実家を購入した際の契約書(ある場合)、登記事項証明書など、多数の添付書類が必要となります。申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される恐れがあるため、売却手続きが完了したら早めに書類の準備を進めることが大切です。

相続した実家の売却で活用できる特例と控除を徹底解説

相続した実家の売却で活用できる特例と控除を徹底解説

相続した実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、通常は高額な譲渡所得税が課せられます。しかし、一定の要件を満たすことで大幅に税負担を軽減できる特例制度が用意されています。ここでは、実家の売却時に必ず検討すべき代表的な特例と控除について詳しく解説します。

被相続人の居住用財産(空き家)売却時の3000万円特別控除

相続によって取得した実家(空き家)を売却した際、最も節税効果が高いのが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。この特例を適用すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、税金がゼロになるケースも少なくありません。

空き家特例の適用要件と対象となる建物の条件

この特例を利用するためには、建物や売却のタイミングに関する厳格な要件をクリアする必要があります。国税庁の案内によると、主な適用要件は以下の通りです。

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準)
  • 区分所有建築物(マンションなど)ではないこと
  • 相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  • 相続時から売却時まで、事業の用、貸付の用、または居住の用に供されていたことがないこと(ずっと空き家であること)
  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること

また、売却時には「現在の耐震基準を満たすようにリフォームして売却する」か「家屋を取り壊して更地にして売却する」のいずれかを選択する必要があります(※令和6年1月1日以降の譲渡については、買主が譲渡日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行った場合も適用対象となりました)。

空き家特例の申請に必要な書類と手続きの流れ

空き家特例の適用を受けるためには、売却した翌年の確定申告期間(原則2月16日〜3月15日)に管轄の税務署へ申告を行う必要があります。確定申告書に添付する主な必要書類は以下の通りです。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 売買契約書の写しなど売却代金が1億円以下であることを証明する書類
  • 市区町村長が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(建物を残して売却した場合)

特に「被相続人居住用家屋等確認書」は、実家がある市区町村の窓口で発行手続きを行う必要があり、書類の収集から発行までに数週間から1ヶ月程度かかることがあるため、早めの準備が不可欠です。

取得費加算の特例(相続税の一部を取得費に加算する制度)

実家を相続した際に相続税を納付している場合、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」を利用できる可能性があります。これは、納付した相続税のうち、売却した不動産に対応する部分の金額を譲渡所得の計算上の「取得費」に加算できる制度です。取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、結果として譲渡所得税を減らすことができます。

取得費加算の特例の計算方法と適用要件

取得費加算の特例の適用を受けるための主な要件は以下の通りです。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること(実質的に相続開始から約3年10ヶ月以内)

加算できる相続税額の計算は、原則として「その者の相続税額 ×(譲渡した財産の相続税評価額 ÷ その者の相続税の課税価格)」で求められます。

空き家特例と取得費加算の特例を比較した場合の選択基準

「空き家特例(3,000万円特別控除)」と「取得費加算の特例」は、同一の不動産売却において併用することができません。そのため、どちらの特例を適用したほうが節税効果が高いかをシミュレーションして選択する必要があります。

比較項目 空き家特例(3,000万円特別控除) 取得費加算の特例
節税効果の目安 最大3,000万円の控除(効果が大きいことが多い) 納付した相続税額の割合による(相続税が高額な場合に有利)
建物の要件 昭和56年5月31日以前建築、マンション不可など厳しい 建物の建築年や種類(マンション等)を問わない
相続税の納付要件 相続税を納付していなくても利用可能 相続税を納付していることが必須
売却期限 相続開始から3年を経過する年の12月31日まで 相続税の申告期限の翌日から3年以内

実家が昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てであれば、まずは空き家特例の適用を検討し、要件を満たさない場合やマンションの場合、あるいは多額の相続税を納付している場合には取得費加算の特例を検討するのが一般的な流れです。

マイホームの3000万円特別控除との違いと使い分け

不動産売却の特例としてよく知られているものに「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(マイホーム特例)」があります。空き家特例と名称や控除額が似ていますが、適用条件が大きく異なります。

マイホーム特例は、売主自身が実際に住んでいた家を売却する場合に適用される制度です。したがって、親が住んでいた実家を相続し、相続人がそこに一度も住むことなく売却する場合には、マイホーム特例は使えません。この場合は前述の「空き家特例」の要件を満たすかどうかが鍵となります。

一方で、相続した実家に相続人自身が引っ越して生活の拠点とし、その後に売却を行う場合は、マイホーム特例の対象となる可能性があります。ただし、特例目的の一時的な入居は認められず、生活の実態が伴っていることが厳しく問われます。自身の居住状況や建物の築年数に応じて、どの特例が適用可能か、税理士などの専門家に確認しながら慎重に判断することが重要です。

相続した実家の売却にかかる諸費用の目安と節約のポイント

相続した実家の売却にかかる諸費用の目安と節約のポイント

相続した実家を売却する際には、売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、さまざまな諸費用が発生します。売却にかかる諸費用の総額は、一般的に売却価格の5%〜7%程度が目安と言われています。あらかじめどのような費用がかかるのかを把握し、手取り額を正確にシミュレーションしておくことが重要です。

仲介手数料・登記費用・測量費など売却時の主な費用一覧

実家の売却に伴って発生する主な費用には、不動産会社へ支払う仲介手数料や、税金、専門家への報酬などがあります。以下の表に、代表的な諸費用とその目安をまとめました。

費用の種類 費用の目安・計算式 支払いのタイミング
仲介手数料 売却価格の3% + 6万円 + 消費税(売却価格が400万円超の場合) 売買契約時(半額)と引き渡し時(残金)
印紙税 売買契約書の記載金額に応じた額(例:1,000万円超5,000万円以下の場合は1万円※軽減税率適用時) 売買契約時
登記費用(抵当権抹消など) 登録免許税(不動産1個につき1,000円)+ 司法書士報酬(1万〜2万円程度) 引き渡し時
境界確定測量費 30万〜80万円程度(隣接地や道路の状況により変動) 測量完了時
ハウスクリーニング・残置物撤去費 10万〜50万円程度(間取りや荷物の量により変動) 作業完了時

特に戸建ての実家を売却する場合、土地の境界が曖昧なことが多く、隣地との境界を明確にするための境界確定測量費が高額になるケースがあるため注意が必要です。

解体費用が発生するケースと空き家特例との関係

相続した実家が老朽化している場合、建物を解体して更地として売却する方が買い手がつきやすいケースがあります。木造一戸建ての解体費用の目安は、1坪あたり4万〜6万円程度です。30坪の家であれば、120万〜180万円ほどの費用がかかります。

また、解体は税金対策の観点でも重要になります。国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用して譲渡所得から最大3,000万円を控除するためには、実家が昭和56年5月31日以前に建築されている場合、現行の耐震基準を満たすようにリフォームして売却するか、建物を解体して更地にしてから売却する必要があります。解体費用はかかりますが、特例が適用されれば大幅な節税となるため、費用対効果をしっかりと計算することが大切です。

費用を抑えながら実家を高く売るためのポイント

売却にかかる費用をできるだけ抑え、手元に残る金額を増やすためには、不動産会社選びや売却準備が重要です。

不動産会社を選ぶ際は、仲介手数料だけで判断するのではなく、相続不動産の売却実績や担当者の対応、販売戦略などを総合的に比較することが大切です。信頼できる担当者に依頼することで、スムーズな売却につながる可能性が高まります。

また、解体費用や残置物の撤去費用についても、不動産会社から紹介された業者だけでなく、複数の専門業者から見積もりを取ることで費用を抑えられる場合があります。さらに、実家に残っている不用品を事前に整理しておくことで、処分費用の軽減にもつながります。

相続した実家の売却でよくある注意点と対策

相続した実家の売却でよくある注意点と対策

相続した実家の売却では、手続きの進め方や制度の理解不足によって、売却が予定より遅れたり、税制上の特例を利用できなくなったりすることがあります。ここでは、実家売却でよくある注意点と、スムーズに売却を進めるための対策を紹介します。

よくあるケース 想定される影響 対策
特例の適用期限を過ぎてしまう 税制特例が利用できず、税負担が大きくなる場合がある 期限を確認し、計画的に売却を進める
共有名義で売却を進める 共有者全員の同意が必要となり、手続きに時間がかかることがある 必要に応じて換価分割や代償分割も検討する
相続登記を後回しにする 売却手続きを進められず、売却時期が遅れる可能性がある 遺産分割協議後は早めに相続登記を行う

特例の期限(相続後3年以内)を見逃さないようにする

相続した実家を売却する際は、税制上の特例に適用期限があることを事前に確認しておくことが大切です。「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」や「取得費加算の特例」には、それぞれ期限が設けられています。特例を利用するためには、原則として「相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却を完了する必要があります。

遺品整理や相続人同士の話し合いに時間がかかると、売却の準備が思った以上に長引くこともあります。税負担を抑えるためにも、相続後は早めに不動産会社へ相談し、査定や売却スケジュールを確認しながら計画的に進めることが大切です。

共有名義で売却する場合は事前の話し合いが大切

相続人が複数いる場合、実家を共有名義で相続するケースは珍しくありません。ただし、共有名義の不動産を売却する際は、原則として共有者全員の同意が必要となるため、売却価格や時期などの意見がまとまるまで手続きが進まないことがあります。

こうした状況を避けるためには、売却方法について相続人同士で十分に話し合っておくことが大切です。状況によっては、売却代金を分ける「換価分割」や、実家を取得した相続人が他の相続人へ代償金を支払う「代償分割」を選択する方法もあります。それぞれの状況に応じて、適した方法を検討するとよいでしょう。

相続登記を早めに済ませておく

相続した実家を売却するためには、亡くなった方から相続人への名義変更(相続登記)が必要です。相続登記が完了していない場合は売却手続きを進めることができず、希望するタイミングで売却できない可能性があります。スムーズに売却を進めるためにも、遺産分割協議がまとまったら早めに相続登記を済ませておくことが大切です。

また、2024年4月1日からは相続登記の申請が義務化されており、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。売却を予定している場合はもちろん、将来的な手続きを円滑に進めるためにも、司法書士などの専門家へ相談しながら早めに対応しておくと安心です。

まとめ

相続した実家の売却で失敗しない!知っておくべき特例と手続きまとめ

相続した実家を売却する際は、相続登記や遺産分割などの手続きを計画的に進めることが大切です。また、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」や「取得費加算の特例」など、税負担を軽減できる制度には適用要件や期限があります。制度を正しく活用することで税負担を抑えられる可能性があるため、早めに準備を進め、必要に応じて不動産会社や税理士などの専門家へ相談しながら売却を進めると安心です。

訳あり物件買取センターの不動産買取の専門家に相談することで、これらの複雑な手続きやトラブルをスムーズに解決し、安心して資産を管理・処分することができます。

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