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相続登記とは?2024年に義務化された背景や対象となる条件、放置するリスクを解説

不動産を相続した場合に、必ず行わなければならないのが相続登記です。
しかし、この手続きを知らずに放置してしまう人も多く、そのためにトラブルや罰則が発生するケースもあります。2024年4月からは相続登記が法律で義務化され、期限内に申請しないと罰則が科される可能性もあるため注意が必要です。
相続登記は、不動産の名義を自分のものに変更するための重要な手続きであり、早めの対応が求められます。
この記事では、相続登記の義務化の背景やリスク、具体的な流れまで詳しく紹介します。

この記事の監修者
  • 虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士
    伊澤 大輔
    経歴:
    2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
    不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
    元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。
  • 宅地建物取引士
    鈴木 成三郎
    経歴:
    2013年より不動産業に従事。2019年に宅地建物取引士を取得。
    借地権のスペシャリスト。
    借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
    趣味は仕事。年間取引数は70件に及ぶ。

相続登記とは

相続登記とは
相続登記とは、被相続人から不動産を相続した際に、その不動産の所有者名義を相続人に変更する登記手続きのことです。

この手続きを行うことで、不動産の権利関係が正式に相続人に移転し、法律上の所有者として認められます。

相続登記をしないまま放置すると、不動産の売却が困難になるだけでなく、複数の相続人間でのトラブルや権利関係が複雑化するリスクも高まるため注意が必要です。

また、抵当権の設定や融資を受ける際にも相続登記が完了していないと手続きが進みにくくなります。

したがって、相続した不動産の権利を確実に保全し、資産管理や処分を円滑に行うためにも、速やかに相続登記を済ませることが重要です。

相続登記の義務化

相続登記の義務化
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。

ここでは、義務化の概要とその背景について解説します。

2024年4月1日から相続登記が義務化

2024年4月1日から、相続登記の申請が法律上義務付けられました。

これにより、相続人は相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を完了しなければなりません。

義務化の目的は、相続登記の長期放置による不動産の所有権不明問題を解消し、不動産取引の透明化と円滑化を図ることにあります。これまでは任意手続きでしたが、放置が社会問題化したことから義務化されました。

期限内に登記をしない場合は罰則の適用対象となるため、早めの対応が求められます。

相続登記が義務化された背景

相続登記が義務化された背景には、不動産の名義が長期間変更されずに放置されるケースが多発し、所有権が不明確な状態が増加したことがあります。

これにより、不動産の売買や活用が困難となり、相続人間の権利紛争も増加しました。さらに、相続登記がされていないと抵当権の設定や金融取引にも支障が出るため、社会経済的な問題が深刻化しています。

このため、民法改正により2024年4月から相続登記を義務化し、所有権の早期確定と不動産市場の健全化を促進します。

相続登記義務化の対象となる条件

相続登記義務化の対象となるのは、被相続人が所有していた不動産を相続し、相続人がその所有権を取得した場合です。

具体的には、土地や建物などの不動産を相続したすべての相続人に義務が課され、相続が開始した日から3年以内に新所有者への登記申請を行う必要があります。これらの条件を満たす不動産相続は義務化の対象となるため注意しましょう。

また、2024年4月1日以前に発生した相続で、まだ登記をしていない場合も義務化の対象となり、この場合の申請期限は2027年3月31日までです。

ただし、相続人が未確定の場合や、遺産分割協議が終わっていない場合は、一定の猶予期間が認められています。

相続登記を行わなかった場合の罰則

2024年4月の義務化に伴い、相続登記を期限内に行わなかった場合には罰則が科される可能性があります。

具体的には相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が科されることが法律で定められています。

出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A 過料について

これは、不動産の権利関係の明確化を促進するための措置であり、罰則を避けるためにも、相続が発生したら速やかに登記手続きを進めることが重要です。

ただし、相続人に正当な理由がある場合は罰則の適用が免除されることがあります。

相続登記を放置するリスク

相続登記を放置するリスク
相続登記を放置してしまうと、相続人や不動産に関するさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

ここでは、放置によって起こりやすいリスクについて解説します。

相続問題の複雑化

相続登記を長期間放置すると、相続関係が複雑化し、手続きが困難になります。

時間が経つと最初の相続人が亡くなり、その人の相続分が次の世代に引き継がれる「数次相続」が発生し、関係者が増えて意見の一致が難しくなります。その結果、遺産分割協議が進まず、登記手続きがさらに遅れる悪循環に陥ることも珍しくありません。

また、相続人の一部と連絡が取れなくなったり、所在不明になったりするケースも多く、財産の管理自体が不可能になる場合もあります。

このような複雑化を防ぐためには、相続が発生した段階で速やかに登記を行い、権利関係を明確にしておくことが重要です。

不動産売却が難しくなる

相続登記をしていない不動産は、法的に名義が被相続人のままの状態となり、売却することができません。

不動産の売買には登記簿上の名義が必要不可欠であり、名義変更が完了していなければ契約が成立しないためです。さらに、相続人が複数いる場合は、売却には全員の同意が必要になりますが、登記をしていないとその調整も難航します。

円滑に不動産を売却し、資産を有効に活用するためにも、相続登記を早めに完了させることが不可欠です。

抵当物件としての利用ができない

相続登記を行っていないと、その不動産を担保にして融資を受けることができません。

金融機関で抵当権を設定する際には、登記簿上の所有者が申込み人本人である必要があるため、被相続人名義のままでは審査対象外となります。つまり、相続登記をしていないと、不動産を活用して資金調達を行うことが不可能になるのです。

資産価値のある不動産を有効に利用するためにも、早期の相続登記が欠かせません。

相続登記の違反をしないための対策

相続登記の違反をしないための対策
相続登記が義務化された現在、期限内に手続きを行わないと過料の対象になる可能性があります。

ここでは、違反を避けるために知っておくべき具体的な対策を紹介します。

正当な理由があれば違反にならない

相続登記の申請期限を過ぎた場合でも、正当な理由がある場合は違反として扱われません。

やむを得ない事情があると認められれば、過料の適用が免除される場合があります。

主な正当な理由は以下の通りです。

  • 遺産分割協議がまとまらず、登記の内容を確定できない場合
  • 相続人の一部が所在不明、または連絡が取れない場合
  • 必要書類の取得や整理に時間を要している場合
  • 被相続人の財産が多く、相続関係の調査に長期間を要した場合

期限を過ぎそうな場合は、状況を説明できるよう記録を残しておくことが大切です。

相続人申告登記を行う

相続人申告登記とは、相続が発生したことを法務局に届け出る手続きで、登記の義務化に対応するための救済措置です。

相続登記をすぐに行えない場合でも、この申告をすれば「登記義務を怠った」とはみなされません。申告には、被相続人の氏名や住所、不動産の登記事項証明書、被相続人の死亡を証明する書類、相続人であることを示す戸籍などを提出します。

申告後に遺産分割がまとまった段階で正式な登記を行えばよいため、時間的余裕をもって対応できます。

相続土地国庫帰属制度で土地を国に返す

不要な土地を相続した場合には、相続土地国庫帰属制度を利用し、一定の条件を満たす土地を国に引き取ってもらうことが可能です。

この制度は、手放したい土地を国が引き取る仕組みで、2023年4月から始まりました。土地の所有者が不要と判断し、以下の一定の条件を満たせば、申請を通じて国に帰属させることができます。

  • 建物が存在していない土地
  • 担保権や使用収益権が設定されていない土地
  • 他人が利用する予定がない土地
  • 土壌汚染がなく、環境上問題のない土地
  • 境界が明確であり、所有権に関する争いがない土地
  • 崖地や急勾配地など、管理に過大な費用・労力を要しない土地
  • 地上または地下に撤去が必要な構造物や埋設物がない土地
  • 隣地との争いを伴わず通常の管理・処分ができる土地

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要

これにより、管理負担や固定資産税等の負担を将来的に解消することができます。

ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、傾斜地や建物付きの土地などは対象外となるため注意が必要です。

相続登記の流れ

相続登記の流れ
相続登記は、相続した不動産を正式に自分の名義に変更するための一連の手続きです。

ここでは、登記完了までに行う主な流れを具体的に説明します。

相続物件の特定

最初に行うのは、相続対象となる不動産の特定です。

被相続人が所有していた土地や建物を確認し、その所在地や面積、権利関係などを洗い出します。登記事項証明書を法務局で取得して、所有名義や持分割合、共有者の有無を確認し、どの物件に相続登記が必要かを明確にします。

また、不動産が複数筆に分かれていたり、共有状態にある場合もあるため、一つひとつを正確に把握することが重要です。​

被相続人の書類を収集

次に、被相続人の情報を証明する戸籍関係の書類を集めます。

具体的には以下の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の除籍謄本または改製原戸籍(戸籍の変更がある場合)
  • 被相続人の住民票の除票

加えて、以下の書類も集める必要があります。

  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を相続する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議による相続の場合)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 収入印紙

戸籍は本籍地の市区町村で請求できますが、婚姻や本籍変更を経ている場合は、複数の自治体にまたがることがあります。

相続人の確定

被相続人の戸籍をもとに、法定相続人を特定します。

配偶者・子・両親・兄弟姉妹など、民法で定められた範囲内での相続関係を明らかにします。相続人が複数いる場合は、全員が関与する必要があるため、誰がどの権利を持つのかを明確にすることが重要です。

法定相続情報一覧図を作成すれば、各相続人の関係を整理した書面を法務局が証明してくれるため、後の手続きがスムーズになります。

誤りや漏れがあると登記が受理されないこともあるため、慎重な確認が必要です。

遺産分割協議~遺産分割協議書の作成

すべての相続人が確定したら、不動産をどのように分けるかを話し合う「遺産分割協議」を行います。

協議は相続人全員の参加と合意が必須であり、決定した内容は「遺産分割協議書」として書面にまとめます。この協議書には、不動産の所在地、地番、面積、取得者の氏名などの情報を正確に記載し、全員が署名押印します。

協議書は登記申請で必ず必要となるため、法的な誤りがないよう確認しましょう。

また、協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停に移行します。

相続登記申請書の作成・申請

最終段階は、法務局への登記申請です。

相続登記申請書の作成は以下の流れで行います。

  1. 登記の目的を記入
  2. 登記の原因として、被相続人の死亡日付と「相続」を記載
  3. 被相続人の氏名、相続人全員の氏名・住所・電話番号を明記
  4. 登記対象の不動産の表示(所在地、地番、面積など)を正確に記載
  5. 登録免許税の課税価格を記載し、収入印紙を貼付
  6. 申請日と管轄法務局を記入

申請書は法律で定められた様式はありませんが、必要な記載事項が漏れなく、正確に記載されていることが重要です。

申請は必要書類を添付のうえ、窓口・郵送・オンラインいずれの方法でも可能です。法務局の審査を経て、問題がなければ登記が完了し、登記完了証と登記識別情報が発行されます。

これで正式に相続人名義の不動産となります。

まとめ

相続登記は法的な義務となり、期限内に行わないと罰則を受ける可能性があります。

登記を放置すると、不動産の売却や相続人間のトラブルが生じやすくなり、資産活用が困難になります。スムーズな手続きには、相続物件の特定や戸籍の収集、相続人確定、遺産分割協議の実施と書面作成、そして法務局への申請が必要です。複雑な相続や不動産の運用でお悩みの場合は、専門家への相談が安心です。

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