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土地相続の評価方法を解説!相続にかかる費用や税金も紹介

相続した土地の評価額が高く、相続税がどれほどかかるのか不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
土地は評価方法によって金額が大きく変わるうえ、相続税や登録免許税、固定資産税など複数の税金や費用も関係してきます。さらに、小規模宅地等の特例などの制度を知らないと、本来より多くの税負担をしてしまうこともあるため注意が必要です。
この記事では、土地相続時の評価方法や評価減のポイント、相続にかかる主な費用や税金についてわかりやすく紹介します。

この記事の監修者
  • 虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士
    伊澤 大輔
    経歴:
    2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
    不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
    元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。
  • 宅地建物取引士
    鈴木 成三郎
    経歴:
    2013年より不動産業に従事。2019年に宅地建物取引士を取得。
    借地権のスペシャリスト。
    借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
    趣味は仕事。年間取引数は70件に及ぶ。

相続した土地を評価する流れ

相続した土地を評価する流れ

相続した土地の価値を正しく把握することは、相続税の計算や分割方法を決めるうえで非常に重要です。

ここでは、土地の評価方法の基本的な流れと、地域や条件によって異なる評価の仕組みを解説します。

路線価地域の場合

路線価地域では、国税庁が定める路線価を基準に土地の相続評価額を算出します。

路線価とは、国税庁が毎年公表するもので、全国の主要道路ごとに設定された1㎡あたりの土地価格を示す指標です。

これは、公示価格の約8割程度にあたる指標であり、相続税の計算に直接影響します。具体的には、土地が接する道路の1㎡あたりの路線価に、その土地の面積や形状、間口の広さ、角地や奥行きなどの条件を加味し、補正率を適用して評価額を求めます。

評価額を正確に算出することで、適正な相続税の申告が可能です。

倍率地域の場合

倍率地域とは、路線価が設定されていない地域を指し、主に郊外や市街化調整区域などが該当します。

倍率地域の土地の相続税評価額は、「固定資産税評価額」にその地域や地目ごとに定められた「評価倍率」を乗じて算出します。たとえば、固定資産税評価額が1,000万円で倍率が1.1の場合、相続税評価額は1,100万円です。

固定資産税評価額は、毎年自治体から送付される課税明細書に記載されています。倍率は国税庁の評価倍率表で確認でき、土地の種類や場所によって異なります。

倍率地域は路線価地域より評価方法が簡易な一方、補正が必要な場合もあるため、正確な評価には専門的な知識が必要です。

評価減できるか

土地の相続税評価額は、土地の形状や利用状況によって評価減が可能な場合があるため、事前に確認しておきましょう。

例えば、不整形地や奥行きが長い土地など形が特殊な場合は、利用しにくいという理由で形状補正や奥行き価格補正が適用され、評価額が引き下げられます。また、被相続人が貸し付けていた土地の場合、貸宅地として自由に使えない分、通常の宅地より評価が減額されます。

これらの評価減は専門的な判断が必要なため、税理士や専門家に相談して適切に適用することが重要です。

正確な評価減を活用することで、相続税の負担を大きく軽減できる可能性があります。

賃貸されているか

賃貸されている土地は、相続税評価の際に「貸家建付地」や「貸宅地」として評価額が減額されます。

これは、賃貸物件には借主がおり、所有者が自由に使えないため、その分土地の価値が低くなるという考え方によるものです。具体的には、自用地としての評価額に対して、(1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)を乗じて減額後の評価額を算出します。

ただし、賃貸経営が継続されていることや、相続人が適切に土地を引き継ぐなど一定の条件が必要です。

小規模宅地等の特例が適用できるか

小規模宅地等の特例は、被相続人の居住用や事業用の宅地を相続した場合に適用でき、相続税評価額を最大80%評価減できる制度です。

適用の主要な条件としては以下が挙げられます。

  • 被相続人が居住または事業用に供していた宅地であること
  • 相続人がその土地を相続し、相続税の申告期限まで所有し続けること
  • 同居親族が相続する場合は、申告期限までその土地上の建物に居住し続けること

さらに小規模宅地等の特例の限度面積は、土地の利用目的ごとに以下のように定められています。

  • 特定居住用宅地等(被相続人の居住用土地):最大330㎡まで
  • 特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等(事業用土地):最大400㎡まで
  • 貸付事業用宅地等(賃貸されている土地):最大200㎡まで

なお、減額対象となる土地の限度面積や減額割合は土地の種類によって異なります。

申告時に特例適用の旨を記載し、明細書を提出する必要があり、手続きの漏れは特例不適用につながるため注意が必要です。

土地の相続にかかる費用と税金

土地の相続にかかる費用と税金

土地の相続にはさまざまな費用と税金が発生します。

ここでは、主な費用と税金についてわかりやすく解説します。

相続税

相続税は、相続によって取得したすべての財産に対し課される税金で、評価額を基に計算されます。

土地の評価は「路線価方式」または「倍率方式」で評価額を算定します。その評価額に基づき、相続財産の合計から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた課税遺産総額に対して税率が適用される仕組みです。

出典:国税庁「No.4152 相続税の計算

税率は課税額に応じて10%から55%と段階的に高くなり、相続人ごとに法定相続分に基づいて納税額が計算されます。

申告期限は相続開始後10か月以内であり、期限内の申告と納税が義務付けられています。

登録免許税

登録免許税は、土地の所有権移転登記などの際に課される税金で、課税標準に税率を掛けて計算されます。

土地などの不動産における課税標準は、固定資産税評価額が用いられるのが一般的です。

通常の登録免許税率は0.4%で、たとえば評価額1,000万円の土地では4万円の税金がかかります。最近の税制改正により、2027年3月31日まで相続による土地所有権移転登記に関する登録免許税の免税措置が延長されました。

なお、課税標準が100万円以下の土地の登記については免税対象です。

固定資産税

固定資産税は、土地や家屋などの固定資産に対して毎年課される地方税です。

課税の基準となる課税標準額は、各自治体が固定資産評価基準に基づいて評価した固定資産税評価額をもとに決定します。評価額は土地の利用状況や地目に応じた算定方法により算出され、3年ごとに見直されるのが基本です。

固定資産税は課税標準額に税率1.4%をかけて計算され、都市計画区域内の宅地に対しては都市計画税が別途課される場合もあります。

出典:総務省「固定資産税

なお、ほとんどの市町村が税率1.4%を採用していますが、財政状況等に応じて、これより高い税率を課すことも可能です。

相続後も所有者が固定資産税を負担するため、事前に評価額や税額を把握しておく必要があります。

書類代

書類代とは、土地の相続手続きに必要な各種証明書などの取得費用を指します。

代表的な書類として以下が挙げられます。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 戸籍謄本
  • 住民票の除票
  • 固定資産評価証明書
  • 印鑑証明書

これらの書類は相続税の申告や名義変更登記に必須であり、自治体や法務局で取得します。

費用は書類1通あたり数百円で、必要枚数によって合計費用も変動します。

司法書士への報酬

司法書士への報酬は、土地の相続登記などの手続きを専門家に依頼した際に発生する費用です。相続登記の報酬は、依頼内容や地域によって異なりますが、一般的に約5万円から15万円程度が相場です。

司法書士に依頼すると、郵送や役所での書類収集も代行してくれるため、手間を省けます。

費用を節約したい場合は、一部の手続きを自分で行う方法もありますが、正確な手続きのために専門家への相談がおすすめです。

土地を相続する際の注意点

土地を相続する際の注意点

土地を相続する際には注意すべきポイントがいくつかあります。

ここでは、土地の分割方法から相続税の申告期限まで具体的な注意点を解説します。

土地の分割方法

土地の分割方法は主に4つあります。

以下の表に、土地の分割方法の種類と特徴をまとめています。

分割方法 内容 特徴
現物分割 土地を物理的に分割し各相続人が所有する方法。 ・不動産を売却せず相続でき、売却費用がかからない。

・分割後の土地の形状により価値が下がることがある

代償分割 一人の相続人が土地を取得し、他の相続人に代わりの金銭を支払う方法。 ・土地を引き継ぐ相続人が住み続けられる

・代償金の算定や資金準備が必要となり、話し合いが難航しやすい

換価分割 土地を売却し現金化して相続人で分ける方法。 ・公平に分割でき、売却後は税金や管理負担がなくなる

・売却に手数料や譲渡所得税がかかる

共有分割 複数の相続人が土地を共有名義で所有する方法。 ・手続きが簡単で即時分割可能

・売却や活用の際に全員の同意が必要でトラブルに繋がりやすい

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、親族でよく話し合い、最適な分割方法を選ぶことが重要です。

トラブルを防ぐためにも、専門家への相談をおすすめします。

土地は分筆で価値が下がる

土地を分筆すると、土地の価値が下がる可能性があります。

分筆とは、一筆の土地を複数に分割して別々の土地として登記することです。分筆後の土地は形状や面積が小さくなるため、使い勝手が悪くなったり、細長く不整形な形状になることがあります。

こうした土地は需要が低下し、結果として土地の評価額や売却価格が下がることが多いです。

たとえば、角地を分割して道路に面する部分が少なくなると、日当たりやアクセスが悪くなり、買い手に敬遠されるケースがあります。

さらに、分筆すると固定資産税の負担が増えることがあり、建物のない区画に対して軽減措置が適用されなくなるため注意が必要です。

相続税には申告期限がある

相続税の申告・納付は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

この期限は法律で定められており、たとえば2025年1月1日に被相続人が亡くなった場合は、2025年11月1日が申告期限です。期限が土日祝日に当たる場合は、その翌開庁日が期限となります。

申告期限内に申告を終えなかった場合、無申告加算税や延滞税が課されるリスクがあり、税務調査の対象になることもあります。

期限内に申告することは相続トラブルやペナルティ回避のために非常に重要であり、早めに必要な手続きを進めることが大切です。

分割方法が決まらない場合の対応

遺産分割の方法が決まらない場合は、以下の流れで進めます。

  1. 遺産分割協議の実施
  2. 調停の申し立て
  3. 裁判所の審判による決定

遺産分割協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所へ調停を申し立て、調停でも合意できなければ審判で裁判所が分割方法を決定します。

遺産分割が長引くと税務申告や相続登記に影響を及ぼすため、早めに専門家に相談し、スムーズな解決を図ることが大切です。

土地相続の期限

土地を相続した場合、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

不動産の所有権を取得したことを知った日から原則3年以内に、法務局へ相続登記を申請しなければなりません。この3年の期限は、遺産分割協議で取得した場合も同様に適用されます。

3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料が科される場合があるため、注意が必要です。また、過去の相続による未登記の土地についても、2024年4月1日時点で相続登記が未了の場合は、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。

また、相続放棄や限定承認の選択は相続開始後3ヶ月以内に行う必要があり、これらの期限を守ることが重要です。

まとめ

相続した土地の評価は、相続税の額を大きく左右する重要な要素です。

評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」があり、土地の地域や利用状況に応じて適用されます。特に、不整形地や奥行きが長い土地、賃貸されている土地などは評価減の対象になる可能性があります。

さらに居住用・事業用の宅地には、最大80%の減額が可能な小規模宅地等の特例が適用できる場合があるため、正確な評価には専門知識が不可欠です。

また、土地の相続には、相続税、登録免許税、固定資産税などの税金に加え、書類代や司法書士への報酬といった費用も発生します。遺産分割方法の選択や、2024年4月から義務化された相続登記など、期限と注意点が多岐にわたります。

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