借地権を所有しているが、売却や買取に関して疑問を抱えている方に向けた記事です。
本記事では、借地権の基本的な知識から買取方法、さらには地主の承諾が得られない場合の対策までを詳しく解説します。借地権の処分における最適な選択肢を理解し、将来のリスクを軽減するために役立つ情報を提供します。
これにより、借地権を円滑に処分したいと考えている方が安心して次のステップに進めることができます。
目次
借地権の概要

借地権とは、建物を建てるために必要な土地を第三者から借りる際に設定される権利のことを指します。例えば、マイホームを建てたいが自分の土地を持っていない場合、その土地を所有している他人から土地を借りることが必要です。この際、借地権という権利を設定することで、一定期間、その土地を使用する権利を持つことができます。

借地権を設定すると、その存続期間中は毎年または毎月、土地の使用料を支払うことで、借りた土地を使用することができます。しかし、この借地権には期限があり、存続期間が満了した場合には、借りた土地を返却しなければなりません。
土地に対して、借主が持っている権利が借地権であり、貸主が持っている権利は底地権と呼ばれます。借地権は不動産としての財産であり、借主は貸主の許可を得ることで、この借地権を他人に売却することも可能です。
借地権の買取とは

借地権は不動産の一種であり、売却することは可能です。しかし、通常の土地や建物のようにスムーズに売却が進むとは限りません。借地権の売却には、地主の承諾が必要であることや、借地権自体の価値が分かりにくいといった要因が影響し、売却が難航するケースが多く見られます。
また、買い手が借地権の制約を十分に理解していない場合、交渉が難しくなることも少なくありません。
- 【借地権の買取を検討する理由】
-
- 更新の費用に不安がある
- 借地権の残りの期間が少ない
- 贈与や相続を避けたい
- 経済的に地代の支払いが困難になってきた
- 早急に現金化したい
借地権を所有する方が買取を選択する理由は、通常の売却よりも早く現金化できる可能性が高いためです。例えば、借地権の更新費用に不安がある場合や、借地権の残り期間が少なく将来の不安がある場合、売却活動を行って買い手を見つけるまでの時間がかかると、状況がさらに悪化するリスクがあります。
さらに、相続や贈与による手続きや負担を避けたい場合や、経済的な理由で地代の支払いが困難になった場合、すぐに現金を必要とすることもあるでしょう。こうした状況においては、売却よりも早く手続きを完了できる買取が魅力的な選択肢となります。買取であれば、通常の売却プロセスを短縮し、迅速に現金化できるため、状況に応じた柔軟な対応が可能となるのです。
借地権の買取の方法

借地権を買取してもらう方法には、いくつかの選択肢があります。それぞれの方法には特徴やメリット・デメリットがあるため、自身の状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。以下に代表的な方法を紹介します。
地主に買い取ってもらう
借地権を地主に買い取ってもらう方法は、いくつかのメリットとデメリットがあります。まず、メリットとしては、地主が土地を再利用したい場合や、一括で所有権をまとめたい場合に、比較的スムーズに交渉が進む可能性があることです。また、借地権と底地権が一体化するため、後々の土地利用や売却が容易になる点も挙げられます。
一方で、デメリットとしては、地主には借地権を買い取る義務がないため、必ずしも買い取ってもらえるとは限らないことです。地主が買い取りを拒否する場合や、交渉が難航するケースもあります。また、買取価格は最初に借地権割合で算出した金額を基に交渉を開始しますが、多くの場合、その価格は地主との交渉次第で低くなる傾向があります。
したがって、納得のいく価格で売却できるかどうかは、地主との交渉力に左右される点も注意が必要です。
第三者に買い取ってもらう
第三者に借地権を買い取ってもらう方法は、地主以外の外部の買い手を見つけて売却することを目指します。この方法の大きな特徴は、市場での競争を活かして、より高い価格で売却できる可能性がある点です。地主に依存せず、自由に買い手を探すことができるため、売却条件を有利に進められる可能性も高まります。
ただし、第三者への売却には、いくつかの課題も伴います。まず、売却を進めるためには、地主の承諾が必要です。地主が売却に同意しない場合、この方法での売却は成立しません。また、市場の状況によっては、買い手を見つけるのが難しく、売却に時間がかかることもあります。さらに、交渉や手続きに時間がかかるため、迅速に現金化したい場合には向かない場合もあるでしょう。
このように、第三者に借地権を買い取ってもらう方法は、適切な買い手を見つけられれば高値での売却が期待できる反面、地主の承諾が得られないリスクや、売却までの時間が長くなる可能性があるため、慎重な計画と交渉が求められま す。
専門業者に買い取ってもらう
専門業者に借地権を買い取ってもらう方法は、手続きが迅速かつ簡単に進められる点が大きな特徴です。専門業者は借地権に関する知識と経験を持っているため、査定から買取までをスムーズに進めることができます。この方法は、特に早急に現金が必要な場合や、複雑な手続きを専門家に任せたいと考える方に適しています。
この方法のメリットは、迅速な手続きと確実な買取が期待できる点です。専門業者は借地権の買取を日常的に行っているため、市場の状況に左右されずに売却を進めることが可能です。また、査定から契約まで一貫してサポートを受けられるため、手間をかけずに買取を完了できるのも大きな利点です。
一方でデメリットとしては、買取価格が市場価格よりも低くなる傾向がある点が挙げられます。専門業者は再販や投資を目的としているため、買い取り後の利益を見込んで価格を抑えることが多く、期待した金額を得られない可能性があります。特定の業者に依頼する場合、その業者の査定に納得がいかないこともあるでしょう。
等価交換を行なって買い取ってもらう
等価交換で借地権を処分する方法は、借地権の代わりに同等の価値を持つ資産を受け取るという点が特徴です。これにより、現金化するのではなく、新たな資産を取得することで、資産の多様化や不動産ポートフォリオの見直しを図ることが可能です。例えば、借地権を持つ土地を手放し、代わりに別の土地や物件を取得することが考えられます。
この方法のメリットは、資産の入れ替えが可能な点です。現金を必要としない場合や、異なる不動産を取得することで将来の資産価値を高めたい場合に有効です。また、交換する資産によっては、税務面での優遇を受けられることもあります。
しかし、デメリットとしては、等価交換を行う相手を見つけるのが難しいことが挙げられます。また、交換後の資産が必ずしも借地権と同じ価値を持ち続ける保証はないため、将来的なリスクも伴います。さらに、交換手続き自体が複雑にな り、専門的な知識が必要となる場合 もあります。
地主の底地権と一緒に買い取ってもらう
借地権を地主の底地権と一緒に買い取ってもらう方法は、土地の所有権を完全に取得 できる点が大きな特徴です。 借地権と底地権の両方を取得することで、土地を自由に利用できるようになり、将来的な不動産活用の幅が広がります。
この方法のメリットは、土地の所有権を完全に取得できるため、自由にその土地を利用したり、売却したりできる点です。土地の価値を最大限に引き出せる可能性があるため、長期的な不動産投資や利用を考えている方にとって非常に有利な選択肢です。
一方でデメリットとしては、地主が底地権の売却に同意しない場合、この方法を選ぶことができない点があります。また、土地全体を取得するための費用が高額になることも考えられ、購入資金を 確保できず 、実現が困難になる可能性があります。加えて、交渉が長期化するケースもあり、すぐに結果を得たい場合には向かないかもしれません。
借地権買取成立までの流れ

借地権の買取を地主に依頼する場合、その手続きにはいくつかのステップがあります。以下に、一般的な買取成立までの流れを紹介します。
- 【借地権買取成立までの基本的な流れ】
-
- 不動産会社に相談する
- 借地権付建物を査定してもらう
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 地主と交渉する
- 売却活動&売買契約を結ぶ
- 地主に承諾料を支払う
- 決済・引き渡し
1.不動産会社に相談する
このステップでは、まず借地権の買取に詳しい不動産会社に相談することが必要です。不動産会社は、借地権の市場価値や、現在の不動産市場の動向についてアドバイスを提供してくれます。具体的には、借地権の価値を査定するための初期情報を提供し、買取に向けた戦略を立てるための助言を受けることが目的です。
また、不動産会社に相談することで、借地権の買取が可能かどうか、また、どのような買取方法が最適かを判断する手助けをしてもらえます。
- 【注意点やポイント】
-
- 相談する不動産会社は、借地権の取引に実績があるかどうかを確認することが重要です。実績のある不動産会社は、地主との交渉や買取の手続きをスムーズに進めるためのノウハウを持っています。
- 初期段階で可能な限り多くの情報を提供することで、より正確な査定とアドバイスを受けることができます。
- 最適なパートナーを選ぶためにも、複数の不動産会社に相談し、査定結果や提案を比較検討 しましょう。
2.借地権付き建物を査定してもらう
次のステップでは、不動産会社に借地権付き建物の査定を依頼します。ここでの具体的な作業は、不動産会社が物件の現地調査や市場分析を行い、借地権の市場価値を算出することです。
査定結果は、地主との交渉において提示価格を決定するための基礎となります。
- 【注意点やポイント】
-
- 査定は複数の不動産会社に依頼し、各社の評価を比較することで、適正な価格を見極めることが重要です。
- 査定額だけでなく、その根拠や評価方法についても詳細に確認し、不明点があれば質問して理解を深めることが大切です。
- 地主に買取を希望する場合でも、査定結果を基にした交渉材料を持つことで、有利な条件を引き出す可能性が高まります。
3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果に納得したら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社があなたの代理として借地権の売却活動を行うことを正式に依頼する契約です。この契約によって、不動産会社は正式に売却の手続きを進める権限を得ます。
- 【注意点やポイント】
-
- 媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つの種類があり、それぞれの特徴を理解した上で、あなたにとって最も適した契約形態を選ぶことが重要です。
- 契約内容を十分に確認し、手数料や契約期間などの条件に納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
- もし契約内容に不明点があれば、事前にしっかりと確認し、契約後のトラブルを避けるためにも透明性を重視することが大切です。
4.地主と交渉する
媒介契約を結んだ後は、不動産会社が地主との交渉を行います。交渉の主な目的は、地主に借地権を買い取ってもらうことを合意させることです。
この段階では、査定結果を基にした提示価格を設定し、買取条件を協議します。地主が買取に前向きであれば、契約成立に向けた具体的な交渉が進められます。
- 【注意点やポイント】
-
- 交渉がスムーズに進むよう、不動産会社とのコミュニケーションを密にしておくことが重要です。定期的な進捗報告を求め、交渉状況を把握しましょう。
- 地主が買取を拒否する可能性もあるため、代替案や次の手を考えておくことが重要です。また、提示価格が低くなりがちな点にも注意が必要です。
5.売却活動&売買契約を結ぶ
地主が買取に同意した場合、正式に売却活動が開始され、最終的な売買契約が結ばれます。この段階では、契約書の作成、条件の最終確認、必要書類の準備などが行われます。契約内容に問題がないかを確認し、契約を締結することになります。
- 【注意点やポイント】
-
- 売買契約書の内容を詳細に確認し、納得のいく条件であることを確認することが必要です。不明点があれば、契約前に必ず確認し、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
- 契約後のトラブルを避けるため、すべての条件が明確に記載されているかを確認することが大切です。
6.地主に承諾料を支払う
売買契約が成立した後、地主に対して承諾料を支払います。承諾料とは、地主が借地権の売却に同意するために支払う費用であり、借地権の売却において必要な手続きです。
この承諾料の支払いをもって、地主の正式な同意を得ることができます。
- 【注意点やポイント】
-
- 承諾料の金額は事前に確認し、支払いのタイミングや方法についても合意しておくことが重要です。
- 承諾料を支払う際には、必ず領収書を受け取り、正式な記録を残すようにしましょう。
7.決済・引き渡し
最後のステップは、決済と引き渡しです。この段階で、買主から売却代金を受け取り、同時に借地権の正式な引き渡しを行います。決済が完了した時点で、すべての手続きが終了し、借地権の買取が正式に成立します。
- 【注意点やポイント】
-
- 決済時には、不動産会社や金融機関の担当者と連携し、円滑に手続きを進めることが重要です。
- 決済完了後には、引き渡しに関する書類を整理し、今後のために保管しておくことを忘れないようにしましょう。
地主の承諾を得られない場合はどうする?

借地権の売却に際して、地主の承諾が得られない場合、いくつかの対応策を検討する必要があります。地主の承諾が得られない状況は、売却が進まない大きな障害となりますが、以下の方法を通じて解決を図ることが可能です。
まず、再度交渉を試みることが考えられます。地主が承諾を渋る理由を丁寧に聞き取り、解決策を提案することで、理解と同意を得られる可能性があります。たとえば、承諾料の金額を再検討する、売却後の借地権者の条件を地主に有利な形にするなどの条件変更を提示することが有効です。不動産会社や専門家の協力を得て、交渉を円滑に進めることが重要です。
次に、地主以外の選択肢を検討する方法もあります。例えば、地主が承諾しない場合でも、法的手続きを通じて売却を進めることができるケースです。具体的には、借地借家法に基づいて、裁判所に対し承諾に代わる許可を求めることができます。この手続きは「承諾代諾許可申立て」と呼ばれ、地主が不合理な理由で承諾を拒んでいる場合に適用されます。ただし、この手続きには時間と費用がかかるため、慎重に検討することが必要です。
また、地主との交渉が難航し、法的手続きも避けたい場合、借地権を第三者や専門業者に売却するという方法もあります。この場合、第三者が地主との交渉を引き継ぐことになり、自身で地主との関係を維持する必要がなくなります。専門業者を利用することで、手続きが迅速に進められることも多いです。
最後に、借地権を維持し、将来的に再度売却を試みるという選択肢もあります。現時点で売却が難しい場合でも、将来的に地主の状況や考えが変わる可能性があるため、急いで売却を進めるのではなく、しばらく様子を見るという戦略も一つの方法です。
このように、地主の承諾が得られない場合でも、再交渉や法的手続き、第三者への売却などの選択肢を検討することで、問題を解決できる可能性があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、専門家の意見を参考にしながら、最適な解決策を選ぶことが重要です。
買取は専門業者に依頼がおすすめ

借地権の売却や買取は、多くの方にとって複雑で難しいプロセスです。地主の承諾が必要であったり、交渉が難航したりする場合も少なくありません。そのような状況で、適切なアドバイスと迅速な対応が求められるのは言うまでもありません。ここで重要なのが、信頼できる専門家のサポートを受けることです。
訳あり物件買取センターは、こうした借地権の売却や買取において、豊富な経験と専門知識を持つ業者として、皆様に安心と信頼を提供します。私たちのサービスでは、借地権の査定から交渉、さらには法的手続きに至るまで、全てのプロセスを一貫してサポートいたします。
特に地主との交渉が難航する場合、訳あり物件買取センターの専門家が代わりに交渉を行い、スムーズな取引を実現します。また、地主の承諾が得られない場合でも、承諾代諾許可申立てを含む法的手続きのサポートを提供し、最適な解決策を提案します。さらに、第三者への売却を希望する場合や、買取の迅速化を求める方に対しても、最適な条件での売却・買取を実現するための幅広い選択肢を提供しています。
訳あり物件買取センターのサービスを利用することで、複雑な手続きを一任でき、安心して借地権の処分を進めることができます。皆様が抱える不安や疑問に対し、最適なソリューションを提供することが、私たちの使命です。借地権の売却や買取を検討されている方は、ぜひ一度、ご相談ください。専門家が親身になって対応し、皆様の大切な財産を最良の形で処分できるようサポートいたします。
まとめ
この記事では、借地権の買取に関する基本的な知識と具体的な手続きについて解説しました。借地権の売却は通常の不動産取引とは異なり、地主の承諾が必要であったり、交渉が難航したりすることが多いですが、適切な方法を選ぶことでスムーズに進めることが可能です。
また、地主の承諾が得られない場合の対策や、迅速に現金化したい場合の選択肢についても紹介しています。訳あり物件買取センターでは、こうした複雑な借地権の売却手続きを、豊富な経験と専門知識でサポートし、皆様が安心して取引を進められるようお手伝いいたします。ぜひ一度ご相談ください。