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借地借家法とは?旧法における借地権との違い・適用される契約についてわかりやすく解説!

借地借家法について知ることで、土地や建物の賃貸借に関する権利と義務を正しく理解できます。不動産所有者や、これから不動産購入を検討している方々にとって重要な知識です。

本記事では、借地借家法の概要や旧法との違い、最新の改正点、マイホーム購入時の借地権のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。正しい知識を身に付け、不動産取引の際に適切な判断ができるようご活用ください。

借地借家法とは

借地借家法とは

借地借家法(しゃくちしゃっかほう・しゃくちしゃくやほう)とは、土地や建物の賃貸借に関する権利と義務を定めた法律です。賃借人(借りる側)の権利を保護しつつ、賃貸人(貸す側)との利害関係のバランスを取ることを目的として1991年に交付され、翌1992年に施行されました。

具体的には、以下のような内容が定められています。

  • 賃貸借契約の締結と更新に関するルール
  • 賃借権の存続期間
  • 賃料の増減に関する規定
  • 契約の解約や更新拒絶に関する条件
  • 建物の修繕や改良に関する権利義務

これらの規定により、賃借人の居住の安定が図られると同時に、賃貸人の持続的な収益性と資産価値の維持も考慮されています。なお、借地借家法を正しく理解するには「借地権」という概念を把握することが重要です。

ここからは、借地権について詳しく解説します。

そもそも借地権とは

借地権とは

借地権とは、借地借家法において定められた、他人の土地を借りて、その上に建物を建てて所有するための権利です。

たとえば、マイホームを建てたいけれど土地を持っていない場合、第三者から土地を借りる必要があります。このとき、借地権を設定することで、他人の土地上に自分の家を建てられるのです。

借地権を設定すると、その存続期間(数十年)の間、毎年または毎月、土地の使用料(地代)を支払うことで、その土地を合法的に使用できます。これにより、土地を購入せずにマイホームを所有できるのです。

ただし、注意点があります。借地権の存続期間が満了した場合、原則として土地を所有者に返却する必要があります。また、借りた土地に建てた家を売却する場合は、土地の所有者の許可が必要です。このように、借地権には一定の制限や義務が伴うことを理解しておきましょう。

借地権に関する法律は複数ある

借地権に関する法律は、複数存在しています。

【借地権に関する法律】
  • 民法第601条〜621条
  • 借地法、建物保護法 及び 借家法(旧法)
  • 借地借家法(新法)

これらの中で、借地借家法は特別法として位置づけられており、借地借家法の規定が民法よりも優先して適用されます。

なお、借地借家法(新法)は平成4年(1992年)8月1日に施行され、同時に旧法は廃止されました。しかし、旧法の契約は現在も有効であり、実際に数多く残っています。

 
借地借法

新法が適用されるのは、1992年8月1日以降に締結された契約からです。ただし、旧法の契約を締結している場合、新法施行後の更新であっても、旧法の規定を引き継げます。

このような経緯があるため、現在でも旧法での契約が多く残っており、新旧の契約が混在している状況が続いています。

また、2022年5月に借地借家法が改正され、契約のデジタル化に関する内容が加わりました。賃貸借契約の一部については電磁的記録で行えるように変更されています。

借地権に関する法律は複雑で、時代とともに変化しています。契約時期や更新の状況によって適用される法律が異なる可能性があるため、ご自身の契約がどの法律に基づいているかの確認が重要です。

借地借家法(新法)が定められた理由

借地借家法(新法)が定められた背景には、旧法における課題があります。

元々、旧法は借主の権利を強く保護することを目的に制定されました。なぜなら、借主の権利が弱いと、貸主の都合で急に土地を取り上げられてしまい、借主の生活基盤が脅かされる事態に陥ってしまうためです。

しかし、旧法は借主の権利を過度に保護していたため、一度土地を人に貸してしまうと、地主(貸主)が土地を取り戻すのが非常に困難になるという問題がありました。

具体的には、契約期間が満了しても、貸主が更新を拒絶できず、借主が土地の返還を拒めば、そのまま契約を更新せざるを得ない状況が生じていました。

つまり、旧法は借主を守りすぎるあまり、貸主の権利が著しく制限される結果となったのです。これにより、土地所有者が土地を貸すことを躊躇するようになり、土地の有効活用が進まないというケースが生じました。

このような背景から、借主と貸主の権利のバランスを取り直す必要性が認識され、新法の借地借家法が制定されることとなりました。新法では更新後の借地期間が短縮されるなど、貸主としては土地を返してもらいやすくなったといえます。

借地借家法(新法)と借地法(旧法)における借地権

借地借家法(新法)と借地法(旧法)における借地権

上述した通り、旧法期間中に行った契約は新法施行後の更新以降も旧法が適用されるため、旧法と新法が混在している状況が続いています。不動産取引や賃貸借に関わる人々にとっては、旧法と新法における借地権の扱いの違いを理解しておくことが重要です。

借地借家法(新法)と借地法(旧法)

新法では、旧法による借地権のほか、普通借地権と定期借地権が導入されました。

  • 普通借地権:旧法借地権より柔軟な規定の借地権
  • 定期借地権:契約期間が明確に定められ、期間満了時に確実に契約が終了する借地権

契約期間が明確になったことで、貸主は将来の土地利用計画を立てやすくなり、安心して土地を貸せるようになりました。

ここからは旧法と新法それぞれの特徴について、より詳しく見ていきましょう。

借地法(旧法)における借地権

借地法(旧法)における借地権は、借主の権利を非常に強く保護する内容となっています。旧法下での借地権の主な特徴は以下の通りです。

コンクリート・鉄骨・鉄筋構造 木造
存続期間 30年 20年
法定更新 存続期間と同様 存続期間と同様
終了 正当事由が必要 正当事由が必要

旧法が適用されるのは、平成4年(1992年)7月31日までに締結された契約です。しかし、新法施行後も引き続き旧法での更新が認められているため、現在でも旧法に基づく契約が数多く存在しています。

借地借家法(新法)における普通借地権

借地借家法(新法)における普通借地権は、旧法の借地権を基本としつつも、借主の権利保護と貸主の利益のバランスを重視した内容になっています。主な特徴は以下の通りです。

普通借地権
存続期間 30年以上(建物の種類に関わらず)
法定更新 1回目20年、2回目以降10年
終了 正当事由が必要

借地借家法(新法)における定期借地権

借地借家法(新法)における定期借地権は、普通借地権とは異なる特徴を持っています。最も重要な点は、契約期間が明確に定められており、原則として更新がないことです。これにより、貸主にとってより有利な条件で土地を貸すことが可能となりました。

また、定期借地権には3つの種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

定期借地権
一般 建物譲渡特約つき 事業用
存続期間 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
契約方式 公正証書などの書面 規定なし 公正証書
利用目的 制限なし 制限なし 事業用に限る
満了時の措置 期間満了 建物譲渡 期間満了
更新 なし なし なし

定期借地権の導入により、貸主は土地を長期的に活用しつつも、将来的に確実に土地を取り戻せるようになりました。一方で借主にとっても、長期間の土地利用が可能となり、双方にとってメリットのある制度となっています。

借地借家法(新法)と借地権(旧法)の違い

借地借家法(新法)と借地権(旧法)の違い

借地借家法(新法)と借地法(旧法)の違いは、既に述べた借地権の種類や存続期間以外にも複数存在します。ここからは、主要な違いについて詳しく見ていきましょう。

建物が老朽した場合の取り扱い

建物の老朽化に関する取り扱いは、旧法と新法で異なります。

旧法では「期間の定めのない契約」の場合、建物が老朽化して使用不能になった際に借地権が消滅します。一方、新法ではそのような規定がないため、建物が老朽化しても借地契約は自動的に終了しません。なお、旧法でも期間が定められている場合は、建物が老朽化しても契約期間が満了するまでは権利が維持されます。

また、自然災害や火事等によって建物が消失した場合は、新旧いずれにおいても借地権が消滅することはありません。当初の存続期間内であれば、地主の承諾なしで再築できます。

更新を拒絶する正当な理由の明確化

旧法における正当な事由には、具体的な基準が法律上明確ではありませんでした。一方、新法では、以下の基準が設けられています。

  • 当事者双方が土地または建物を使用する必要性
  • 土地又は建物に関する従前の経過
  • 土地又は建物の利用状況
  • 賃貸人の財産上の給付(立退料)

具体的には、賃借人側の債務不履行の有無、建物の種類や築年数などが考慮されます。

【2022年5月施行】借地借家法の改正点

【2022年5月施行】借地借家法の改正点

2022年5月に借地借家法が改正されました。今回の改正の主な焦点は、契約手続きのオンライン化です。一部の契約や手続きがインターネットを通じて行えるようになり、不動産取引の利便性が向上しました。

ただし、全ての契約がオンラインで行えるわけではありません。法改正後も、依然として対面での契約や書面での手続きが必要な場合があります。

オンライン化が可能となった主な契約や手続きは以下の通りです。

  • 定期借地権の特約
  • 定期建物賃貸借における事前説明書面の交付や契約

それぞれの内容について解説します。

定期借地権の特約

定期借地権の特約とは、借地権契約において、契約の存続期間や契約終了時の条件などを特に定めた条項を指します。

定期借地権は通常の借地権とは異なり、契約期間があらかじめ定められ、原則として更新が認められない点が特徴です。そのため、契約終了時の取り扱いなどについて、特別な取り決めを行う場合があります。

元々一般定期借地権の特約は書面に限定されていました。しかし、2022年5月の改正によって、電磁的記録による特約も、書面による特約と同様の扱いになりました。

定期建物賃貸借における事前説明や契約

定期借家契約を締結する前に、賃貸人は賃借人に対して、契約が定期借家契約であることや、契約更新がなく契約期間終了時に退去しなければならないことなどを記載した書面を、郵送等で交付して説明する義務がありました。

しかし、2022年5月の改正によって電磁的方法が認められ、電子メールなどで交付できるようになったのです。

契約も同様です。元々は書面による契約を行う必要がありましたが、改正によって電磁的記録が認められ、電子契約システムなどで契約できるようになり、遠隔地からでも契約がしやすくなりました。

購入時の借地権のメリット

購入時の借地権のメリット

マイホームを購入する際、借地権付きの建物やマンションを購入するという選択肢があります。

一見すると、土地を所有しないことにデメリットがあるように思えるかもしれませんが、実際には様々なメリットが存在します。具体的には以下の通りです。

  • 土地にかかる税金がかからない
  • 所有権が発生する不動産よりも割安の可能性がある

これらのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

土地にかかる税金がかからない

借地権付きのマイホームの大きなメリットは、土地に関する以下の税金が発生しないことです。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税など

これらの税金は、借地権者ではなく土地所有者が負担します。

地価の高い都市部では、土地にかかる税金が大きな負担となることが多いため、都市部での住宅取得を考えている方にとって魅力的な選択肢となります。

ただし、地代がかかるほか、建物に対する固定資産税や不動産取得税は通常通り発生するため、覚えておきましょう。

所有権が発生する不動産よりも割安の可能性がある

借地権付きの物件は、土地の価値分が購入価格に含まれないため、通常の所有権の不動産と比較して購入価格が低くなる可能性があります。

特に都市部や人気エリアでは、土地の価格が建物の価格を大きく上回ることがあり、この差額が顕著になるのです。そのため、同じ地域にある同規模の物件でも、借地権付きの物件は所有権付きの物件よりも大幅に安く購入できることがあります。

初期費用を抑えられることや、良好な立地の物件をより手頃な価格で入手できる可能性があることから、借地権付き物件は魅力的な選択肢となり得ます。ただし、地代の支払いが必要なことや、将来的な権利の更新などは考慮しておきましょう。

マイホーム購入時の借地権のデメリット

マイホーム購入時の借地権のデメリット

マイホーム購入時に借地権を選択することには、上述したようなメリットがある一方で、デメリットも存在します。具体的には以下の通りです。

  • 地代を支払う必要がある
  • 契約によっては更地に戻す解体費用が必要になる
  • リフォームや建て替えは地主の許可が必要
  • 担保価値が低く売却時も安くなる傾向がある

これらのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

地代を支払う必要がある

通常のマイホーム購入では住宅ローンの返済のみを考えればよいのに対し、借地権物件では建物の住宅ローンに加えて、土地の所有者に対して定期的に地代を支払わなければなりません。

地代の金額は物件の立地や規模によって異なりますが、都心部や人気エリアでは高額になる可能性があります。住宅ローンの返済と合わせると、毎月の支出が予想以上に大きくなることもあるでしょう。

ただし、デメリットだけではありません。初期費用が抑えられるため、住宅ローンの借入額自体が少なくなる可能性がありますし、一般的に地代は固定資産税よりも低額に設定されているためです。

借地権付き物件を検討する際は、初期費用だけでなくランニングコストも踏まえて、総合的な判断が重要です。

関連記事
借地権の地代とは? 設定する際の注意点を解説

契約によっては更地に戻す解体費用が必要になる

借地権契約の内容によっては、契約終了時に借地人が建てた建物を解体し、更地にして返還しなければなりません。

更地返還が定められている場合、契約終了時に解体費用が発生するため、将来の解体費用に備えて毎月一定額を積み立てておくことが賢明です。建物の規模や構造によっては、数百万円の費用がかかる可能性があります。

ただし、契約書に更地にして返還するという内容が明記されていない場合、地主は正当な理由がない限り、解体費用の要求や更地返還を強要できません。

契約内容を十分に確認し、将来の負担を正確に把握しておくことが、借地権物件を検討する際のポイントです。

関連記事
借地上の建物には解体義務がある?借地権返還の流れや解体費用を抑えるコツを紹介

リフォームや建て替えは地主の許可が必要

借地権契約では、建物の増改築を禁止する「増改築禁止特約」が設定されているのが一般的です。具体的には以下のような場合に、地主の許可が必要となります。

  • 大規模なリフォーム工事
  • 建物の増築
  • 建物の建て替え

地主の許可なくリフォームや建て替えを行った場合、契約違反となり、借地権契約解除の「正当な事由」に該当する可能性があります。つまり、無断で工事を行うと、最悪の場合、借地権を失い土地を明け渡さなければならない事態に陥る可能性があるのです。

屋根の修理や小規模なリフォームは「増改築禁止特約」に該当しない場合もありますが、どの規模から増改築に該当するかは曖昧であるため、小規模なリフォームであっても事前に地主に伝えておくのが賢明です。

担保価値が低く売却時も安くなる傾向がある

借地権付き物件は、土地の所有権がないため、一般的に担保価値が低くなります。担保価値とは、金融機関が不動産に対して行う評価のことで、融資可否や融資額の決定に影響を与える要素です。

そのため、住宅ローンの借入可能額が制限されたり、金利が高くなったりする可能性があります。

結果として、将来的に物件を売却する際に、所有権の物件と比べて売却価格が低くなる傾向があると考えましょう。

また、借地権の残存期間が短い場合や、地主との関係が良好でない場合は、売却が困難になったり、価格が下がったりする可能性があります。

借地権付き物件は資産価値の面で制約があることを理解し、長期的な視点で検討することが重要です。

まとめ

借地借家法は、土地や建物の賃貸借に関する重要な法律です。新法の適用や定期借地権の導入、オンライン化の進展など、時代とともに変化してきました。

借地権を利用したマイホーム購入には、税金面や初期費用が抑えられるといったメリットがある一方で、地代の支払いや建物改修の制限といったデメリットもあります。

借地権付きの物件は、個々の状況に応じてメリットとデメリットを慎重に検討し、長期的な視点で判断することが重要です。

借地権は不動産の中でも権利関係が複雑で、取り扱う不動産会社にも専門性が求められます。訳あり物件買取センターは、不動産の複雑な問題に精通し、お客様の大切な資産を最大限に活かすための最適な解決策をご提供します。専門知識と経験を活かし、スムーズで円満な取引をサポートします。安心してご相談ください。

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