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新法借地権って?旧借地権との違いについて解説

借地権は昔からよく利用されており、大正時代から借地法が施行され利用されていきました。
しかし、古い法律であるため、現代の借地権には合わなくなりました。

そこで平成4年に借地法に代わり、借地借家法が施行されます。

ただし、借地借家法が施行される以前の借地法の借地権も残っており、新旧それぞれの借地権が存在することとなりました。
そのため、借地権の売買をするときには、新旧の内容を理解しておかなければいけません。

本記事では、新法借地権を中心に旧借地権との違いについて解説します。

「新法借地権」とは?特徴を解説

新法借地権とは、新たに施行された借地や借家についての法律です。
新法借地権が施行される前にも借地などについて定めた借地法があったため、対比するために新法という文言が付けられています。

旧借地権と新法借地法では内容が違う部分もあるため、違いを理解しておく必要があります。
また、新法借地権が施行されたといっても、旧借地権も未だ適用されている土地があるため、旧借地権の内容も把握しておかなければいけません。

まずは新借地権の特徴から解説していきます。

新法借地権は平成4年8月に施行

新法借地権は平成4年(1992年)8月に施行されました。

新法借地権は借地借家法の別名であり、時代の流れに沿った内容に変更されています。
旧借地権は大正10年(1921年)5月に施行された法律です。
施行日が古く、内容が古く現代の考え方にそぐわない部分が多くありました。
そのため、新法借地権は旧借地権を補う形で施行されました。

主な変更点や追加は、次のとおりです。

  • 借地権の存続期間を建物の構造で決めるのではなく一律とした
  • 新たに定期借地権を創設した

ここからは、新法借地権による変更点・追加部分について解説していきます。

普通借地権

新法借地権では、普通借地権の存続期間を建物構造ではなく、一律で決めるように変更しました。

まずは、旧借地権の借地権の存続期間をみていきましょう。

図表1:非堅固建物と堅固建物との存続期間の違い↓

名称 建物構造 存続期間
非堅固建物 木造 ・借地権の存続期間は最低20年
・期間を定めない契約だと30年に設定される
堅固建物 鉄筋コンクリート造石造ブロック造レンガ造 など ・借地権の存続期間は最低30年
・期間を定めない契約だと60年に設定される

上記の表のように、旧借地権では借地上に建築建物の構造によって存続期間が決められています。
しかし、時代が進み建築技術の向上により、木造と堅固建物との耐力差がなくなってきました。

このことにより、新法借地権では存続期間を次のように変更しました。

  • 普通借地権は建物の構造に関係なく存続期間は30年以上
  • 30年未満の存続期間は無効
  • 1回目の更新の存続期間は20年
  • 2回目以降の更新の存続期間は10年
  • 契約方法に制限なし(口頭でも成立)

新法借地権の普通借地権は、上記のように一律で存続期間を30年以上としています。
借地権の更新は可能で、地主からは原則借地権の解除ができません。

なお、期間を決めずに借地権を設定した場合の存続期間は30年とされます。

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定期借地権

新法借地権では、定期借地権が新設されました。

旧借地権では土地を貸してしまうと半永久的に借り続けられてしまい、地主に返還されることは多くありませんでした。
そのため、新法借地権では、一定期間経過後に土地が返還される定期借地権が創設されました。

定期借地権には、次の3種類の方式があります。

  • 一般定期借地権
  • 事業用定期借地権
  • 建物譲渡特約付借地権

それぞれの定期借地権の違いは、次の表のとおりです。

図表2:定期借地権の種類↓

一般定期借地権 ・借地権の存続期間は50年以上
・期間満了時に建物を解体し土地を返さなければいけない
・更新できない
建物譲渡特約付借地権 ・借地契約30年以上経過したときに土地所有者が借地人の建築した建物を買い取れる
・物の買い取りと同時に定期借地権は消滅する・地主は必ずしも建物を買い取る必要はない(買い取らない場合は設定した存続期間まで借地権が有効となる)
事業用借地権 ・借地権の存続期間10年以上20年以下
・事業用のみ
・住宅建築には使えない
・更新できない

上記の表のように定期借地権は、期間満了するか一定条件を満たした場合に更新できずに終了する権利です。

定期借地権を設定すれば半永久的に土地を貸さなくてもよくなるため、地主にとって土地が貸しやすくなったといえます。

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新法借地権と旧借地権の違いは何?

新法借地権と旧借地権の違いはあるものの、どのような違いがあるのか専門用語が多く、わかりにくいところがあります。
そのため、ここからは新法借地権と旧借地権の違いを表にしてまとめていきます。

新法借地権と旧借地権とを比較する項目は、次のとおりです。

  • 新法借地権の普通借地と旧借地権の違い
  • 新法借地権の定期借地権と旧借地権の違い

それでは新法借地権と旧借地権の違いをみていきましょう。

新法の普通借地権と旧借地権は大きな違いはない

新法の普通借地権と旧借地権には大きな違いがありません。

新法の普通借地権と旧借地権の違いは、次の表のとおりです。

図表3:新法の普通借地権と旧借地権の違い↓

新法借地権の普通借地権 旧借地権
更新の可否 ・可能 ・可能
建物の構造が存続期間に影響するか ・影響しない ・影響する
建物が滅失したときの取り扱い ・借地権は消滅しない
・期間満了時に建物がない場合は消滅
・一定条件を満たすと地主は借地権を解除できる
・借地権は消滅しない
・期間満了時に建物がない場合は消滅
建物が老朽化したときの取り扱い ・建物老朽化で借地権は終了しない ・期間が定められていない場合は建物老朽化を理由に借地権が終了する

上記の表のように、新法借地権と旧借地権ではそこまで大きな違いはありません。
ただし、細かな違いがあり借地権の解約・終了条件が違う箇所もあります。
解除・終了についての違いは、理解しておいたほうがよいでしょう。

新法の定期借地権と旧借地権は内容が異なる

新法の定期借地権と旧借地権は内容が大きく異なります。

新法の定期借地権と旧借地権の違いは、次の表のとおりです。

図表4:新法の定期借地権と旧借地権の違い↓

新法借地権の定期借地権 旧借地権
更新の可否 ・不可
・建物譲渡特約付借地権は更新可能
・可能
建物の構造が存続期間に影響するか ・しない ・する
存続年数 ・一般定期借地権50年以上
・事業用定期借地権10年以上50年未満
・建物譲渡特約付借地権30年以上
・非堅固建物30年
・堅固建物60年
建物の用途制限 ・一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権はなし
・事業用定期借地権は事業用のみ
・なし

上記の表のように、新法の定期借地権と旧借地権では内容が大きく異なります。
定期借地権を設定するときには、旧借地権とはまったく違う権利ということを把握しておいたほうがよいでしょう。

正当な事由による契約更新の扱い

新法の定期借地権と旧借地権では、正当な事由による契約更新の扱いに違いがあります。正当な事由とは、借地権を解除する正当性があるかどうかを判断するための理由・原因です。

旧借地権では正当な事由が不透明でしたが、新法の定期借地権では次のような理由・原因を総合的に考慮し借地権を解除できるか判断します。

地主側の事情
  1. 自己使用・第三者の使用の必要性
  2. 生計事情
  3. 建物の改築・修繕・新築の必要性
  4. 売却または土地の有効利用の必要性
  5. 立ち退き料や移転先の提供
  6. 賃貸借に入った事情
  7. 地主の破産や地主に変更があった など
借地人側の事情
  1. 自己の必要性
  2. 生計事情
  3. 借地上の建物を賃貸する必要性
  4. 地主との関係性の良し悪し
  5. 借地人の破産や地代滞納

なお、借地権を解除するためには立ち退き料を払うことが多いですが、払うだけでは解除できません。

立ち退き料の支払いは正当な事由を補完する役割があるだけです。
正当な事由が弱いときに立ち退き料を支払い、解除を認めてもらえるようにするということです。

正当な事由が強いときには立ち退き料がいらないケースもありますし、立ち退き料を払っても立ち退きさせられないケースもあります。

新法借地権と旧借地権のそれぞれの注意点

新法借地権と旧借地権は取り扱うときには注意しなければいけない点があります。

新法借地権と旧借地権、それぞれの注意点は次のとおりです。

  • 旧法で契約した場合の扱い
  • 借地権の売却について

ここからは、新法借地権・旧借地権の注意点について解説します。

旧法で契約した場合の扱い

旧法借地権を設定した不動産を購入した場合は、旧借地法の内容が適用されます。

旧法の借地法は更新が可能で地主からは原則解除できないため、半永久的に土地の活用が可能です。

旧借地法が適用されるのは、1992年7月31日以前に設定された借地権です。
もし購入する借地権付き建物が1992年以前に建築されているのであれば、適用されている借地権が旧法なのか新法なのか確認しなければいけません。

先述したように旧借地権と新法借地権とは内容が多少異なります。
解除・終了による事項に違いがあるため、必ず購入前に確認しておきましょう。

なお、旧借地権を新法借地権に切り替えることは可能です。
ただし、旧借地権を更新時に新法借地権に切り替えることはできません。

切り替えるときには地主と借地人合意のもと、いったん旧借地権を解除してから新借地権を設定します。

借地権の売却について

借地権という権利だけでも売却は可能です。
ただし、地主に無断で売却することはできません。

借地権の譲渡は地主の承諾が必要とされています。
借地借家法の一般法である民法では、次のように規定されています。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

引用:e-Gov「民法

借地権は賃借権の一種であり、上記の条文が適用されます。

なお、地主が売却の許可を出してくれないときには、借地借家法により裁判所で売却許可を取ることもできます。
どうしても地主が売却を承諾しないときには、裁判所の利用を検討しましょう。

借地権でよくある質問

借地権については昔からよく利用されており、さまざまな悩みや疑問をもった人がいます。

代表的な借地権の悩みや疑問は、次のとおりです。

  • 土地は更地に戻すのでしょうか?
  • 借地権を相続したときは費用がかかる?

ここからは、借地権でよくある質問の回答をしていきます。

土地は更地に戻すのでしょうか?

土地を更地にして戻すのは、新法借地権の定期借地権の一部だけです。

定期借地権のうち

  • 一般定期借地権
  • 事業用定期借地権

を設定した場合は期間満了時・解除時に土地上の建物・工作物を撤去して返還しなければいけません。

土地を更地に戻す費用は、借地人が負担します。

借地権を相続したときは費用がかかる?

借地権を相続したときに費用がかかるかどうかは、誰が相続したかによります。

法定相続人が相続した場合には、費用はかかりません。
しかし、法定相続人以外が相続した場合には、地主の承諾料が必要になる場合があります。

法定相続人が相続するケースは、遺贈がおこなわれたときです。
遺贈とは、遺言書により法定相続人以外に財産を相続させることです。
遺贈で借地権を取得したときには、地主にすぐ連絡し承諾料が必要かどうか確認しましょう。

借地権の売買をするときには新旧どちらの借地権か要確認

借地権については平成4年に借地借家法が施行されたことにより、新旧の借地権が存在するようになってしまいました。

当然、新旧の借地権には違いがあり、とくに新法の定期借地権と旧法の借地権はまったく違う特徴をもっています。
そのため、借地権の売買をするときには新旧どちらの借地権が適用されるのか確認しなければいけません。

借地上にある建物が平成4年以前からある場合は、旧法の借地権ではないかと考えて確認したほうがよいでしょう。

借地権の売買をするときには新旧の借地権の内容を比較し、トラブルを防止することが大切です。

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