再建築不可物件の所有者の中には、「再建築できないものの、リフォームは普通に行えるのか?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
再建築不可物件は一般的な物件とは異なり、制約を受けることが多いので注意が必要です。
この記事では、再建築不可物件でもリフォームできるのか、リフォームできる範囲、フルリフォームを可能にする方法、費用、利用できる補助金、注意点などを解説します。
目次
再建築不可物件でもリフォームは可能

再建築不可物件でもリフォームを行うことは可能です。この種の物件は、通常は再建築が禁止されているため、建物の改築や増築が制限されていますが、一定の条件を満たすことで、リフォームが可能となるケースがあります。
例えば、建築確認申請が不要な場合に、内装の変更や設備の交換といった建物の構造に大きな影響を与えない範囲内でのリフォームが許可されることがあります。具体的にいうと、壁紙の張り替えやキッチン、浴室の設備更新、耐震補強の一部などです。
しかし、これらのリフォームを行う際は、事前に専門家に相談し、法的に問題がないことを確認することが重要です。誤ったリフォームを行った場合は、将来的な売却や使用に影響が出る可能性があるため、慎重な対応が求められます。再建築不可物件でも、条件を満たせば快適な居住空間への改善が可能なので、適切な計画を立てることが大切です。
再建築不可物件でリフォームできる範囲

再建築不可物件でリフォームできる範囲は、建築確認申請が不要な範囲内に限られます。具体的には、以下の条件を満たす場合にリフォームが可能です。
- 【建築確認申請が不要になる条件】
-
- 床面積が10平方メートル以下
- 防火地域、準防火地域に該当しない
- 新築以外(増築・改築・移転)である
参考:e-GOV 法令検索|建築基準法(建築物の建築等に関する申請及び確認)第六条2
再建築不可物件が戸建住宅の場合は、外観や構造に影響を与えない小規模なリフォームが主に対象となります。特に老朽化が進んでいる場合は、リフォームによる改善が限られるため、事前の検討が重要です。
一方で、マンションの場合は、専有部分のみがリフォーム対象であり、共用部分は基本的に手を加えることができません。また、マンション管理規約においてリフォームが制限されることがあるため、事前に規約内容を確認することが必要です。
再建築不可物件のフルリフォームを可能にする方法

フルリフォームとは、建物全体にわたる大規模な改修工事のことです。家の一部分を工事するリフォームと異なり、内装・外装のすべてを新しくしたり、設備や配管を全て取り替えたりなど、より良い生活環境に一新するためのリフォームを指します。
再建築不可物件のフルリフォームを可能にする方法として、以下の3つが挙げられます。
- セットバックを利用して道幅を確保する
- 隣接する土地を一部買取・貸借する
- 43条但し書きの適用申請を行う
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
セットバックを利用して道幅を確保する
セットバックとは、建物を後退させて敷地の一部を道路に提供し、道幅を広げる手法です。幅が4メートル未満の道路に面した敷地で建物を建て替える際に、法的に求められることが多いです。
この仕組みにより、再建築不可物件でも、道路幅を確保することで建物の改築やフルリフォームが可能になります。ただし、セットバックを行う場合、自身の敷地が狭くなるため、土地の有効利用に影響が出る可能性があります。
また、セットバックによって確保された部分は道路として扱われるため、今後の建築に制約が生じる点に注意が必要です。例えば、狭小地や旗竿地でのセットバックは土地価値に大きく影響を与えることがあります。セットバックを利用することで再建築不可物件のフルリフォームが可能になりますが、法的確認や専門家のアドバイスを受けながら計画を進めることが重要です。
隣接する土地を一部買取・貸借する
隣接している土地の一部を買取または貸借することで、再建築不可物件のフルリフォームが可能になる場合があります。この方法は、物件が狭い道路に面している場合や、敷地面積が不足している場合に有効です。具体的には、隣接する土地の一部を購入・貸借することで敷地を拡大し、建築基準を満たすことができます。
また、土地を借りることで一時的に敷地面積を増やし、リフォームを行うことも考えられます。ただし、隣接地の所有者との交渉が必要であり、購入や借地に関する契約内容を慎重に検討しなくてはなりません。特に、土地を借りる場合は契約期間や更新条件がクリアであることが重要です。
例えば、借地契約が短期間で終了する場合、リフォーム後に新たな問題が発生するリスクがあります。隣接する土地の一部を取得または借りることでフルリフォームを実現できますが、法的手続きや費用負担に注意を払わなくてはなりません。
43条但し書きの適用申請を行う
43条但し書きの適用申請とは、建築基準法第43条の例外規定で、再建築不可物件の特例を認めてもらうための申請手続きです。この規定は、道路幅や接道義務を満たしていない物件でも、特別な許可を得ることによって再建築やリフォームが可能になるものです。
例えば、幅が狭い私道に面している場合でも、但し書きの適用によってリフォームが許可されることがあります。申請には、専門家による詳細な調査および計画書の作成などを行わなくてはならず、行政との交渉が必要です。また、但し書きの適用が認められるかどうかはケースバイケースであり、必ずしも許可が下りるわけではありません。
例えば、周辺住民の同意が必要な場合や、追加の条件が課されることもあります。適用申請を行う際は、申請内容が適切であることを確認し、必要な手続きを確実に行うことが重要です。
再建築不可物件のリフォームにかかる費用

費用は、物件の状態やリフォームの規模によって異なります。一般的に、再建築不可物件のリフォーム費用は、新築や再建築可能な物件よりも高額になる傾向があります。これは、物件の老朽化や特殊な工事などが必要になるためです。具体的には、耐震補強や設備の更新、内外装の改修費用などが含まれます。
また、法的な制約をクリアする際に発生する手続き費用や、専門家による調査費用も発生することがあります。例えば、耐震補強は100万〜500万円程度かかることがあり、他の改修工事と合わせると総額で数百万円以上になることも珍しくありません。
リフォームを計画する際には、詳細な見積もりを取得し、予算に余裕を持つことが重要です。また、リフォーム後の物件が市場でどのように評価されるのか、資産価値が費用に見合うのかを慎重に検討し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
再建築不可物件のリフォームで利用できる補助金

再建築不可物件においてリフォームを行う際、条件によっては補助金を利用できる場合があります。特に、耐震補強や省エネルギー改修などに対して、自治体や国から補助が提供されることが多く、これを活用することでリフォーム費用の負担を軽減できます。
申請には期限があり、必要な書類も多いため、早めに手続きを進めることが重要です。再建築不可物件のリフォームで利用できる可能性のある補助金と、その対象および補助額を以下のテーブルにまとめました。
補助金 | 対象 | 補助額 |
---|---|---|
子育てエコホーム支援事業 | 主に子育て世帯のリフォーム | 最大60万円 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 高性能建材の使用 | 最大120万円 |
次世代省エネ建材の実証支援事業 | 高性能建材の使用 | 最大400万円 |
他にも、介護・バリアフリーリフォームに対する補助金や各自治体が独自に実施している補助金などがあります。これらの補助金を活用することで、再建築不可物件のリフォームをより経済的に進めることが可能です。各補助金の適用条件や申請手続きについては、地域の自治体や専門家に相談し、確認することが重要です。
再建築不可物件のリフォームを行う際の注意点

再建築不可物件のリフォームを行う際は、以下の3つの点に注意が必要です。
- 耐震補強が必要になる場合がある
- リフォーム工事ができない場合がある
- 住宅ローンの審査が通りにくい
それぞれの注意点を詳しく解説します。
耐震補強が必要になる場合がある
再建築不可物件のリフォームを行う際は、耐震補強が必要になる可能性があります。これは、特に古い建物において、現在の耐震基準を満たしていないことが多いためです。耐震補強は、地震に対する建物の安全性を向上させるための工事で、壁や柱の補強、耐震パネルの設置、基礎部分の補強などが含まれます。
例えば、古い木造住宅においては、現行の耐震基準を満たすために大規模な補強が必要になることも少なくありません。リフォームを進める際、耐震性能が不十分だと判断された場合、補強工事が義務付けられることがあります。また、耐震補強を行うことで、建物の資産価値が向上し、将来的な売却や賃貸にも有利に働く可能性があります。
ただし、補強工事には費用がかかるため、事前に予算をしっかりと見積もることが重要です。耐震補強を適切に行うことで、再建築不可物件でも安心して居住できる環境を整えられるでしょう。
リフォーム工事ができない場合がある
再建築不可物件では、リフォーム工事ができない場合もあります。これは、物件が法律上の制約や物理的な条件を満たしていない場合に発生します。例えば、建物の構造が劣化している、周辺環境がリフォームを行うのに不適当だと、工事が認められないこともあるのです。
また、セットバック(敷地を道路に提供して道幅を広げること)や隣接する土地の問題が解決できない場合においても、リフォームが不可能となることがあります。このようなケースに備え、リフォームを計画する前に専門家に相談し、法的および技術的な問題をクリアする必要があります。
また、工事ができない場合における代替策として、部分的な修繕またはインテリアの更新といった費用を抑えた改善方法を検討しましょう。例えば、内装のリフォームのみを行うことで、建物の価値を高めることが可能です。リフォームが制限されるリスクを理解しつつ計画を進めましょう。
住宅ローンの審査が通りにくい
再建築不可物件のリフォームを行う際、住宅ローンの審査が通りにくいことがあります。これは、金融機関が再建築不可物件をリスクの高い資産と見なすためです。再建築不可物件は資産価値が低く、ローンの担保としての評価が低くなり、審査が厳しくなります。
例えば、再建築が不可能で、将来的に物件を売却してもローンを完済できないリスクがあると判断されることがあります。また、リフォーム後の資産価値が上がらないケースでは、ローンの返済リスクが高まると見なされることもあるのです。代替策としては、リフォームローンや個人ローンを利用する、自己資金でリフォームを行う方法があります。
さらに、一部の金融機関では、条件付きで再建築不可物件にも対応するローン商品を提供している場合があります。事前に複数の金融機関に問い合わせて、最適なローンを見つけましょう。ローン審査のリスクを理解し、慎重に資金計画を立てることが求められます。
2025年の法改正で規制が厳格化する可能性も

再建築不可物件でも、現行の条件を満たしていれば、建築確認申請が不要でリフォームが可能です。しかし、2025年4月に予定されている法改正により、規制が厳しくなる可能性があります。
この改正によって、従来は申請が不要だった一部の建物についても、新たに建築確認申請が必要となる場合があるからです。
2025年4月の法改正による主な変更点は以下の通りです。
- 4号建築物が廃止され、新2号建築物と新3号建築物へと見直し
- 新2号建築物(木造2階建て・延べ面積200㎡を超える木造平屋建て)は建築確認申請が必要に変更
- 新3号建築物(延べ面積200㎡以下の木造平屋建て)はこれまで通り建築確認申請の対象外
新2号建築物に該当する再建築不可物件は、これまで以上に厳しい条件下でリフォームが求められることになります。改正後は、リフォーム計画が難航する可能性もあるため、法改正前にリフォームを完了させるのか、法改正後の新条件に対応できるのかを慎重に検討してください。
再建築不可物件の活用は専門業者に相談を

出典:訳あり物件買取センター
本記事では、再建築不可物件のリフォームが可能な条件や、フルリフォームを実現する方法、リフォームにかかる費用や利用できる補助金、さらには注意すべきポイントについて詳しく解説しました。
しかし、これらの内容は一般的なガイドラインで物件ごとに異なるケースが多く、具体的な対応を決定するには専門的な知識が必要です。そのため、再建築不可物件のリフォームや売却を検討している方には、専門業者に相談することを強くおすすめします。
ブリリアントは豊富な経験と実績を持ち、迅速かつ的確なアドバイスを提供してくれます。再建築不可物件でも効果的に価値を引き出し、有益な結果を得ることが可能です。再建築不可物件の活用を成功させるためにも、まずは信頼できる専門業者に相談しましょう。