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空き家はそのまま売却すべき?解体との比較で分かるベストな選択肢

空き家はそのまま売却すべき?解体との比較で分かるベストな選択肢

相続した実家などの空き家をそのまま売却すべきか、解体して更地にするべきかお悩みではありませんか?本記事では、空き家をそのまま売却するメリット・デメリットや、解体との比較、判断基準について詳しく解説します。結論として、築年…

この記事の監修者
  • 虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士:伊澤 大輔
    虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士
    伊澤 大輔
    経歴:
    2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
    不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
    元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。
  • 宅地建物取引士:杉本 英紀
    宅地建物取引士
    杉本 英紀
    経歴:
    2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
    借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
    訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
    趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。

目次

相続した実家などの空き家をそのまま売却すべきか、解体して更地にするべきかお悩みではありませんか?本記事では、空き家をそのまま売却するメリット・デメリットや、解体との比較、判断基準について詳しく解説します。結論として、築年数が古くても建物の状態が良く、高額な解体費用をかけずに早期に手放すことを優先したい場合は「そのまま売却(古家付き土地や業者買取)」がベストな選択肢です。この記事を読むことで、無駄な固定資産税や維持費を抑え、自身の状況に合った最もお得でスムーズな売却方法と手順が明確になります。

空き家をそのまま売却することを検討すべき背景

空き家をそのまま売却することを検討すべき背景

実家を相続したものの、住む予定がなく空き家になってしまうケースが急増しています。建物を解体して更地にするには高額な費用がかかるため、解体費用をかけずに空き家をそのまま売却することは、多くの所有者にとって現実的かつ合理的な選択肢として注目されています。ここでは、なぜ今「そのまま売却」を検討すべきなのか、その背景にある社会問題や経済的な負担について詳しく解説します。

増加する空き家問題と所有者が抱える課題

日本国内において、空き家の数は年々増加の一途をたどっています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は過去最高を更新し続けており、社会的な課題として大きく取り上げられています。特に、親から実家を相続したものの、すでに自分自身の生活拠点が別の場所にあるため、誰も住むことがない「居住目的のない空き家」が増加しています。

空き家を所有する方々の多くは、以下のような深刻な課題を抱えています。

  • 遠方に住んでいるため、定期的な風通しや草刈りなどの管理に通うことが困難
  • 建物の老朽化が進んでおり、修繕やリフォームに多額の費用がかかる
  • 将来的に自分や親族が住む見込みが全くない

このような状況下で、建物を解体して更地にする資金的な余裕がない場合、建物を残したまま現状渡しで売却することが、負動産を手放すための有効な解決策となります。

放置した場合に発生する固定資産税や維持費の負担

空き家は「ただ持っているだけ」でも、継続的に多額のコストが発生します。誰も住んでいないからといって費用がかからないわけではなく、むしろ管理が行き届かないことによるリスクや経済的負担が重くのしかかります。

空き家を維持するために必要となる主な年間費用の目安は以下の通りです。

費用の種類 内容と負担の目安
固定資産税・都市計画税 土地と建物に対して毎年課税されます。住宅が建っていることで「住宅用地の特例」が適用され土地の税金は軽減されていますが、それでも数万円〜十数万円の負担となります。
火災保険料・地震保険料 空き家であっても、放火や自然災害による倒壊リスクに備えるために加入が必要です。人が住んでいない建物は保険料が割高になる傾向があります。
水道光熱費の基本料金 定期的な清掃や通水のために電気や水道の契約を残しておく場合、毎月の基本料金が発生します。
維持管理費用 庭木の剪定、雑草の草刈り、害虫駆除、または空き家管理代行サービスへの委託費用などで、年間数万円〜十万円程度かかる場合があります。

これらの維持費に加えて、屋根の剥がれや外壁の崩落などがあれば、近隣住民に被害を与えないための緊急の修繕費用も発生します。使わない空き家を長期間放置することは、経済的なマイナスを生み出し続けることと同義です。そのため、無駄な維持費や税金を払い続ける前に、建物をそのままの状態で売却して手放すことが、経済的負担から解放されるための第一歩となります。

空き家をそのまま売却する方法と仕組み

空き家をそのまま売却する方法と仕組み

空き家を解体せずにそのまま売却するには、主に不動産会社に買主を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つの仕組みがあります。それぞれの売却方法の特徴や、どのようなケースでそのまま売却できるのかを正しく理解することが、スムーズな売却への第一歩となります。

古家付き土地として売り出す方法

不動産会社の仲介を通じて一般の買主を探す場合、建物の価値がほぼゼロになっている空き家は「古家付き土地」として売り出すのが一般的です。これは、あくまで土地をメインの商品としつつ、古い建物がおまけとして付いている状態で販売する方法です。

古家付き土地として売り出す最大の目的は、買主の選択肢を広げることにあります。買主は、購入後に建物を解体して新築用の更地として利用することも、建物の基礎や骨組みを活かしてリノベーションを行うことも可能です。近年は中古物件を自分好みに改装するニーズが高まっているため、あえて解体せずに現状渡しとすることで、リノベーション向けの物件を探している層にアピールすることができます。

リフォームせずにそのまま売却できるケース

空き家をそのまま売却する場合、「売る前にリフォームをして綺麗にしたほうがよいのではないか」と悩む所有者は少なくありません。しかし、多くの場合、売主側でリフォームを行う必要はありません。むしろ、リフォーム費用をかけても売却価格に上乗せして回収できる保証はないため、そのまま売りに出すのが基本です。

特に以下のような条件に当てはまる空き家は、リフォームや修繕を一切行わずにそのまま売却できる可能性が高くなります。

そのまま売却しやすいケース 特徴と買主のニーズ
立地条件が良い物件 駅からのアクセスが良い、周辺に商業施設が充実しているなど、土地自体の需要が高いエリアの物件。買主は建物の状態よりも立地を重視します。
DIYやリノベーションのベース物件 築年数が古くても、柱や梁などの構造部分がしっかりしている物件。自分たちで安く改修したいDIY層や、フルリノベーションを前提とする買主に人気があります。
古民家としての価値がある物件 伝統的な工法で建てられた日本家屋など、現代では再現が難しい趣のある物件。カフェや宿泊施設への転用を考える投資家や事業者に需要があります。

空き家の買取専門業者に売却する方法

仲介で一般の買主を探すのが難しいほど老朽化が進んでいる場合や、室内に大量の残置物(家具やゴミなど)がある場合は、空き家の買取を専門とする不動産会社に直接売却する方法が有効です。

買取専門業者は、買い取った空き家を自社の費用で解体して分譲地として再販売したり、大規模なリフォームを施して中古住宅として再販したりするノウハウを持っています。そのため、一般の市場では買い手がつかないような状態の悪い空き家でも、現状のまま買い取ってもらえるのが大きな特徴です。

また、買取を利用すると、売却後の物件に雨漏りやシロアリ被害などの隠れた欠陥が見つかった場合に売主が負う「契約不適合責任」が免除されるケースがほとんどです。仲介手数料も発生せず、査定から現金化までのスピードが非常に早いため、手間と時間をかけずに空き家を手放したい所有者にとって有力な選択肢となります。

空き家をそのまま売却するメリット

空き家をそのまま売却するメリット

空き家を売却する際、建物を解体せずに「古家付き土地」としてそのまま売り出すことには、所有者にとって多くのメリットがあります。ここでは、費用面や税金面、そして売却期間の観点から、空き家をそのまま売却する主な利点を詳しく解説します。

高額な解体費用がかからない

空き家をそのまま売却する最大のメリットは、数百万円単位にのぼる建物の解体費用を負担しなくて済むことです。建物を解体して更地にする場合、木造や鉄骨造などの構造や広さによって多額の費用が発生します。

解体費用を自己資金で用意する必要がないため、手元に十分な資金がない場合でもスムーズに売却活動を始めることができます。

建物の構造 解体費用の目安(坪単価) 30坪の場合の目安総額
木造 3万〜5万円 90万〜150万円
鉄骨造 4万〜7万円 120万〜210万円
RC造(鉄筋コンクリート造) 6万〜10万円 180万〜300万円

このように、建物の解体にはまとまった資金が必要です。そのまま売却すれば、これらの初期費用の持ち出しをゼロに抑えることが可能です。

売却するまでの固定資産税の負担を抑えられる

建物を残したまま売却活動を行うことで、売却が完了するまでの期間、土地の固定資産税を安く抑えられるというメリットがあります。

日本の税制では、「住宅用地の特例」により、住宅が建っている土地の固定資産税は最大で6分の1、都市計画税は最大で3分の1に軽減されます。詳しくは総務省の固定資産税に関するページでも確認できますが、もし売却前に建物を解体して更地にしてしまうと、この特例の適用から外れ、翌年からの固定資産税が大幅に跳ね上がってしまいます。

売却活動が長期化した場合、更地になっていると高額な税金を支払い続けるリスクがありますが、空き家をそのままにしておけば、そのリスクを回避し、維持費の負担を最小限に抑えながら買い手を探すことができます。

早期売却につながりやすいケース

空き家をそのまま売り出すことは、特定のニーズを持つ買主にとって魅力的であり、結果として早期売却につながるケースがあります。

リノベーションやDIYを目的とする買主の需要

近年、中古物件を安く購入し、自分好みにリノベーションやDIYを楽しむ層が増加しています。建物の骨組みや趣のある古いデザインを活かしたいと考える買主にとって、空き家は非常に魅力的な物件となります。このような買主は建物の古さや汚れを過度に気にしないため、そのままの状態でもスムーズに成約に至る可能性が高まります。

買取業者によるスピーディーな現金化

一般の個人買主だけでなく、不動産買取業者に直接買い取ってもらう場合も、空き家をそのまま売却することが可能です。買取業者は自社でリフォームや解体を行うことを前提としているため、室内に家具などの残置物がある状態や、建物の老朽化が進んでいる状態でも、そのまま買い取ってくれることが多くあります。これにより、仲介で売り出すよりも圧倒的に早く現金化できるメリットがあります。

空き家をそのまま売却するデメリットと注意点

空き家をそのまま売却するデメリットと注意点

空き家を解体せずにそのまま売却する方法は、初期費用を抑えられる一方で、建物の状態や法的なリスクに起因するいくつかのデメリットが存在します。売却活動をスムーズに進めるためには、あらかじめこれらの注意点を把握し、適切な対策を講じることが重要です。

老朽化が進んでいると買い手が付きにくい

築年数が古く、建物の老朽化が著しい空き家は、そのままでは居住することが難しいため、一般の個人の買い手からは敬遠されやすくなります。特に、雨漏りやシロアリの被害、基礎部分の劣化などがある場合、購入後に大規模な修繕費用が発生するため、買い手にとって大きな心理的・金銭的ハードルとなります。

また、建物の状態が悪いと、内見時の印象が悪化し、長期間にわたって売れ残るリスクが高まります。長期間売れ残ると「売れない物件」というイメージが定着し、さらに買い手が付きにくくなる悪循環に陥る可能性があるため注意が必要です。

売却価格の交渉で値引きを求められやすい

空き家をそのまま売却する場合、購入希望者から解体費用やリフォーム費用を差し引いた大幅な値引き交渉を受けることが一般的です。買い手は、購入後に建物を解体して新築するか、リノベーションして住むことを前提としているため、その費用を物件価格から相殺しようと考えます。

以下の表は、空き家をそのまま売却する際に買い手から値引きの根拠とされやすい主な要因と、売主側の対策を整理したものです。

値引きを求められやすい要因 具体的な内容 売主側の対策・注意点
解体費用の負担 買い手が建物を解体して更地にするための費用 周辺の解体費用の相場を事前に把握し、妥当な値引き額の限界を決めておく。
修繕・リフォーム費用 そのまま住むために必要な水回りや内装の改修費用 修繕履歴を提示し、建物の現状を正確に伝えることで過度な値引きを防ぐ。
残置物の撤去費用 家財道具や不用品(残置物)の処分にかかる費用 売却前に売主自身で残置物を撤去しておくことで、値引き交渉の材料を減らすことができる。

特定空き家・管理不全空き家に認定されるリスク

空き家を長期間放置して適切な管理を行わないと、自治体から「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されるリスクがあります。倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を著しく損なっていると判断された場合、行政からの指導の対象となります。

2023年に改正された空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報によれば、特定空き家だけでなく、放置すれば特定空き家になるおそれのある「管理不全空き家」に指定され、自治体からの勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れ、土地の固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がることになります。売却活動中であっても、管理を怠るとこのリスクが生じるため、定期的な換気や草刈りなどの維持管理が不可欠です。

契約不適合責任に関する注意点

空き家をそのまま売却する際、売主は「契約不適合責任」に注意しなければなりません。これは、引き渡した物件の種類、品質、数量が契約内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。例えば、売却後に契約書に記載のない雨漏りやシロアリの被害、土壌汚染、地中埋設物などの重大な瑕疵(欠陥)が発覚した場合、買主から修繕費用の請求や契約の解除を求められる恐れがあります。

このリスクを回避するためには、売却前にインスペクション(建物状況調査)を実施し、建物の不具合をすべて重要事項説明書に記載して買主と合意しておくか、特約によって契約不適合責任を免責とする条件で売買契約を結ぶ(主に不動産買取業者への売却時)などの対策が必要です。また、隣地との境界が不明確な場合は、売却前に土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を行っておくことも、後々のトラブルを防ぐために重要です。

解体して更地にしてから売却するメリットとデメリット

解体して更地にしてから売却するメリットとデメリット

空き家をそのまま売却するのではなく、建物を解体して更地(さらち)にしてから売却する方法もあります。更地にすることで、買主はすぐに新しい家を建てることができるため、購入希望者の層が広がり、早期売却や高値での売却が期待できる点が大きなメリットです。一方で、多額の解体費用を売主が先出ししなければならない点や、税金面での負担が増加する可能性がある点がデメリットとなります。ここでは、更地売却を検討する際に知っておくべき条件や費用、税金のリスクについて詳しく解説します。

更地売却が向いている土地の条件

すべての空き家が更地売却に向いているわけではありません。更地にした方が売却しやすい、あるいは高く売れる可能性が高い土地には、いくつかの特徴があります。まず、建物が旧耐震基準(1981年5月以前に建築)で建てられており、老朽化が激しくリフォームでの再生が困難な場合は、解体した方が買主に敬遠されにくくなります。また、シロアリ被害や雨漏りなど、建物の構造部分に致命的な欠陥がある場合も同様です。

さらに、周辺が新興住宅地として人気のあるエリアや、土地そのものの資産価値が高い立地では、古家が建っていること自体がマイナス評価になることがあります。このようなエリアでは、買主は自分好みの注文住宅を建てる目的で土地を探していることが多いため、更地にしておくことで需要を的確に取り込むことができます。

木造・鉄骨造・RC造別の解体費用の目安

更地売却の最大のデメリットは、数百万円単位の解体費用が自己負担となる点です。解体費用は、建物の構造や広さ、立地条件(重機が入れる道路幅かどうかなど)によって大きく変動します。以下に、一般的な構造別の解体費用の目安をまとめました。

建物の構造 坪あたりの解体費用相場 30坪の建物を解体した場合の目安
木造 3万〜5万円 90万〜150万円
鉄骨造(S造) 5万〜7万円 150万〜210万円
鉄筋コンクリート造(RC造) 6万〜8万円 180万〜240万円

木造住宅は比較的解体しやすいため費用が抑えられますが、鉄骨造やRC造のように頑丈な造りの建物は、特殊な重機や工法が必要になるため費用が高額になります。また、アスベスト(石綿)が使用されている建物の場合は、飛散防止のための特殊な除去作業が義務付けられているため、追加費用が発生することに注意が必要です。

更地にした後に固定資産税が上がる理由

空き家を解体して更地にする際、資金面以外で最も注意すべきデメリットが固定資産税の増額です。土地の上に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」という軽減措置が適用されています。この特例により、200平方メートル以下の小規模住宅用地であれば、土地の固定資産税の課税標準額が6分の1に、都市計画税が3分の1に軽減されています

しかし、建物を解体して更地にすると、この特例の適用対象外となります。そのため、翌年の1月1日時点で更地になっていると、土地の固定資産税が実質的に約3〜4倍(最大で6倍)に跳ね上がることになります。詳しくは総務省の固定資産税の概要でも確認できます。

したがって、更地にしてから売却活動を行う場合は、税負担が重くなる前にできるだけ早く売却を完了させる必要があります。売却活動が長期化しそうな立地や条件の場合は、あえて建物を残したまま「古家付き土地」として売り出し、買主が見つかってから引き渡しまでに解体する「更地渡し」という条件で契約を結ぶのも有効な選択肢です。

空き家をそのまま売却するか解体売却かを比較して選ぶ判断軸

空き家をそのまま売却するか解体売却かを比較して選ぶ判断軸

空き家を売却する際、「そのまま売却する(古家付き土地)」か「解体して更地にしてから売却する」かは、多くの所有者が悩むポイントです。どちらの選択肢が最適かは、物件の個別事情によって大きく異なります。ここでは、最適な売却方法を見極めるための3つの重要な判断軸について詳しく解説します。

建物の状態と築年数で判断する

建物の状態が良好で、購入者がリフォームやリノベーションをして住むことができる場合は、そのまま売却する方が有利になることが多いです。特に近年は、古民家カフェやDIY向けの物件として、古い建物に価値を見出す層も一定数存在します。

判断の目安となるのが「1981年(昭和56年)6月1日」に施行された新耐震基準です。新耐震基準を満たしている建物であれば、そのまま売却できる可能性が高くなります。一方で、旧耐震基準の建物や、雨漏り、シロアリ被害、基礎のひび割れなど、修繕に莫大な費用がかかるほど老朽化が激しい場合は、解体して更地にした方が買い手がつきやすくなります。

周辺エリアの需要と土地の資産価値で判断する

立地条件や周辺エリアの不動産需要も、売却方法を決定する上で欠かせない要素です。都市部や駅近の利便性が高いエリアであれば、土地自体の価値が高いため、古家が残っていても「土地」として購入を希望する人が多く現れます。このようなエリアでは、買主が自ら解体費用を負担してでも購入するケースが珍しくありません。

逆に、郊外や駅から遠いエリアなど、不動産需要が比較的低い地域では、買い手は購入後の追加費用(解体費用)を嫌う傾向があります。そのため、あらかじめ売主側で解体して更地にしておくことで、早期売却につながる可能性が高まります。

売却にかかるコスト全体で比較する

最終的には、どちらの方法が手元により多くの資金を残せるか、あるいは持ち出しを少なくできるかという「コストと利益のバランス」で判断することが重要です。解体費用をかけて更地にしても、その分だけ売却価格に上乗せできなければ、結果的に損をしてしまいます。

以下の表は、空き家をそのまま売却する場合と、解体して更地売却する場合のコストと手取り額のシミュレーション例です。

比較項目 そのまま売却(古家付き土地) 解体して売却(更地)
想定売却価格 1,500万円 1,700万円
解体費用 0円 150万円
仲介手数料などの諸経費 約56万円 約63万円
最終的な手取り額の目安 約1,444万円 約1,487万円
特徴とリスク 初期費用がかからず手軽だが、買い手がつくまで時間がかかる場合がある。 売却価格は上がりやすいが、解体費用の先行投資が必要となる。

※上記はあくまで一例であり、実際の金額は物件の条件や解体業者の見積もりにより異なります。

このように、解体費用と売却見込み価格の差額を算出し、不動産会社と相談しながら慎重にシミュレーションを行うことが、後悔しない売却の鍵となります。複数の不動産会社に査定を依頼し、「そのまま売却した場合」と「更地にした場合」の両方の査定額を出してもらうことをおすすめします。

空き家売却で節税できる特例と補助金制度

空き家売却で節税できる特例と補助金制度

空き家を売却する際、要件を満たせば税金の負担を大幅に軽減できる特例や、自治体の補助金制度を活用できる場合があります。手元に残る利益を最大化するためには、これらの制度を正しく理解し、適用要件を確認しておくことが重要です。

空き家売却時の3000万円特別控除の要件

相続した空き家を売却した際に発生する譲渡所得税を節税できる代表的な制度が、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。この特例を適用すると、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるため、税負担をゼロまたは大幅に減らすことが可能です。

ただし、この特例を利用するには、国税庁が定める要件をすべて満たす必要があります。主な適用要件は以下の通りです。

項目 主な要件の内容
建物の要件 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること。
区分所有建築物(マンションなど)ではないこと。
相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
売却時の状態 一定の耐震基準を満たす状態にリフォームして売却するか、または家屋を取り壊して更地として売却すること。(※令和5年度税制改正により、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または解体を行った場合も適用可能となりました)
期間の要件 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
売却価格の要件 売却代金が1億円以下であること。

そのまま売却する場合、以前は売主側で耐震改修や解体を行う必要がありましたが、税制改正により、買主が購入後に耐震改修や解体を行う場合でも、期日を満たせば特例の対象となるケースが追加されました。これにより、古家付き土地としてそのまま売却する際のハードルが下がっています。

自治体の解体補助金や空き家活用支援制度

空き家が所在する市区町村によっては、空き家問題の解消を目的とした独自の補助金や助成金制度を設けています。そのまま売却する場合であっても、買主が購入後に利用できる補助金制度をアピールすることで、物件の付加価値を高め、早期売却につなげることができます。

老朽空き家解体補助金

倒壊の危険がある老朽化した空き家を解体する際、解体費用の一部を自治体が補助する制度です。古家付き土地として売り出す場合、「購入後に解体補助金が使える可能性がある」と買主に伝えることで、解体費用を懸念する買主の心理的ハードルを下げることができます。補助額は自治体によって異なりますが、数十万円から100万円程度が支給されるケースが一般的です。

空き家バンク活用に伴うリフォーム補助金

自治体が運営する「空き家バンク」に物件を登録して売却する場合、買主が利用できるリフォーム補助金が用意されていることがあります。そのまま売却した空き家を、買主が自分好みにリノベーションして住むことを想定している場合、リフォーム費用の一部が補助されることは大きな購入の動機付けとなります。

これらの制度は自治体ごとに予算や申請期間、適用条件が細かく定められています。売却活動を始める前に、物件が所在する自治体のホームページや担当窓口で最新の情報を確認しておくことをおすすめします。

空き家をそのまま売却する際の手順と準備

空き家をそのまま売却する際の手順と準備

空き家をそのまま売却するためには、事前の準備と正しい手順を踏むことがスムーズな取引の鍵となります。長期間放置された空き家は権利関係が複雑になっていることも多いため、不動産会社選びから引き渡しまでの流れを正確に把握しておきましょう。

不動産会社の選び方と査定依頼のコツ

空き家の売却を成功させるためには、空き家や古い建物の取り扱いに長けた不動産会社を見つけることが重要です。一般的な住宅の売却とは異なり、古家付き土地としての販売戦略や、買取のノウハウを持つ業者を選ぶことが早期売却につながります。

仲介と買取のどちらを選ぶべきか

不動産会社に依頼する方法には、主に「仲介」と「買取」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自身の希望に合わせて選択しましょう。

売却方法 特徴 メリット デメリット
仲介 不動産会社が買主(一般消費者など)を探す方法 相場に近い価格で高く売却できる可能性が高い 買い手が見つかるまでに時間がかかる場合がある
買取 不動産会社が直接空き家を買い取る方法 最短数日〜数週間で現金化でき、契約不適合責任が免責されることが多い 売却価格が仲介の相場より7〜8割程度安くなる傾向がある

複数社に査定を依頼して比較する

査定を依頼する際は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。1社だけの査定額では、その価格が適正かどうか判断できません。不動産一括査定サービスなどを活用し、査定額の根拠や担当者の対応、空き家売却の実績を比較して信頼できる会社を選ぶことが大切です。

売却前に確認すべき登記情報と権利関係

空き家を売却する前提として、物件の権利関係が明確になっている必要があります。特に相続した空き家の場合は、売却活動を始める前に確認すべき重要なポイントがあります。

相続登記が完了しているか確認する

亡くなった親の空き家を売却する場合、名義が亡くなった方のままでは売却できません。必ず相続人への名義変更(相続登記)を行う必要があります。また、法務省の規定により、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。未登記のまま放置すると過料の対象となる可能性があるため、早めに司法書士などの専門家に相談して手続きを済ませましょう。

隣地との境界線が明確か確認する

古い空き家の場合、隣地との境界を示す「境界標」が失われていたり、境界確認書が存在しなかったりするトラブルが少なくありません。境界が不明確なままでは、購入後のトラブルを懸念して買い手がつきにくくなります。必要に応じて土地家屋調査士に依頼し、確定測量を行って境界を明確にしておくことが推奨されます。

売買契約から引き渡しまでのスケジュール

空き家をそのまま売却する場合、選ぶ方法によってスケジュールが異なります。仲介で売る場合は全体で概ね3ヶ月〜半年程度、買取の場合は数日〜1ヶ月程度を見込んでおくとよいでしょう。

仲介で売却する場合の流れ

仲介による売却は、不動産会社が買主を探す方法です。時間はかかるものの、相場に近い価格で売却できる可能性があります。

ステップ 期間の目安 主な内容と注意点
1. 査定依頼・媒介契約 1〜2週間 複数社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社と媒介契約(専属専任・専任・一般)を結びます。
2. 売却活動 1〜3ヶ月 不動産情報サイトへの掲載やチラシの配布などを通じて買主を探します。内覧希望者があれば対応します。空き家内の残置物(不用品)はこの段階までに撤去しておくと印象が良くなります。
3. 売買契約の締結 買主決定後1〜2週間 購入申込書(買付証明書)を受け取り、価格や条件の交渉を行います。合意に至れば、重要事項説明を経て売買契約を締結し、手付金を受領します。
4. 決済・引き渡し 契約から約1ヶ月後 残代金の受領と同時に、所有権移転登記の手続きを行い、鍵を引き渡します。固定資産税の清算や仲介手数料の支払いもこのタイミングで行います。

買取で売却する場合の流れ

買取は、不動産会社が直接空き家を買い取る方法です。売却価格はやや低くなる傾向がありますが、短期間で確実に現金化しやすく、残置物があるままでも対応してもらえるケースが多いのが大きな特徴です。

ステップ 期間の目安 主な内容と注意点
1. 査定依頼・現地調査 1日〜1週間 買取業者に査定を依頼し、机上査定や現地調査を受けます。建物の状態や残置物の有無、土地条件などを確認されます。
2. 買取価格の提示・条件調整 1日〜1週間 業者から提示された買取価格を確認し、残置物処分の扱い、契約不適合責任の免責、引き渡し時期などの条件をすり合わせます。
3. 売買契約の締結 条件合意後すぐ〜1週間 価格と条件に合意できれば、重要事項説明を受けたうえで売買契約を締結します。仲介のような買主探しが不要なため、ここまでが非常にスピーディーです。
4. 決済・引き渡し 契約から数日〜2週間程度 残代金の受領と同時に所有権移転登記を行い、鍵を引き渡します。固定資産税の清算や必要書類の提出もこのタイミングで行います。

このように、仲介は高く売れる可能性がある一方で時間がかかる方法であり、買取は価格は下がりやすいものの、スピードと確実性に優れる方法です。物件の状態や売却を急ぐ事情に応じて、どちらが適しているかを見極めることが重要です。

空き家をそのまま売却する際は、残置物の処理や契約不適合責任(引き渡し後に見つかった雨漏りやシロアリ被害などの欠陥に対する責任)の取り扱いについて、売買契約書に明確に記載しておくことが後々のトラブルを防ぐために極めて重要です。現状有姿(そのままの状態)での引き渡し条件を、不動産会社の担当者とよくすり合わせておきましょう。

まとめ

空き家はそのまま売却すべき?解体との比較で分かるベストな選択肢まとめ

空き家をそのまま売却するか解体するかの最適な選択は、建物の状態、周辺エリアの需要、解体費用を含めたトータルコストで決まります。

そのまま売却すれば高額な解体費用を抑え、更地化による固定資産税の増税を回避できるのが最大のメリットです。しかし、老朽化が激しい場合は更地にした方が早期売却につながるケースもあります。

放置による「特定空家等」への指定リスクを避けるためにも、まずは3000万円特別控除や自治体の補助金が使えるかを確認し、信頼できる不動産会社に査定を依頼してご自身の物件に合った売却方法を見つけましょう。

訳あり物件買取センターの不動産買取の専門家に相談することで、これらの複雑な手続きやトラブルをスムーズに解決し、安心して資産を管理・処分することができます。

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