「相続した空き家を売却したいが、税金がいくらかかるか不安」とお悩みではありませんか?空き家売却では印紙税や登録免許税のほか、利益が出ると譲渡所得税がかかります。しかし結論として、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったと…
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虎ノ門桜法律事務所 / 代表弁護士伊澤 大輔経歴:
2001年弁護士登録。虎ノ門桜法律事務所代表弁護士。
不動産会社(売買、賃貸、仲介、管理、共有物分割、競売等)等、顧問先多数。
元暴力団追放運動推進都民センター相談委員、同センター不当要求防止責任者講習講師。 -
宅地建物取引士杉本 英紀経歴:
2000年より不動産業に従事。2004年に宅地建物取引士を取得。
借地権にとどまらず、再建築不可、私道持分なし、道路未接道、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート、マンションなど、全ての訳アリ物件に愛された男。
訳アリ物件のエキスパート、ブリリアント杉本。
趣味はバイクツーリング。どんな悪路でも物件見に行けます。
目次
「相続した空き家を売却したいが、税金がいくらかかるか不安」とお悩みではありませんか?空き家売却では印紙税や登録免許税のほか、利益が出ると譲渡所得税がかかります。しかし結論として、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」などの3000万円特別控除を適用すれば、税金を大幅に抑える、あるいはゼロにすることが可能です。この記事では、空き家売却にかかる税金の種類や計算方法、節税できる特例の適用要件、売却後に必要な確定申告の手順まで徹底解説します。読めば損をしない売却の知識がすべてわかります。
空き家売却にかかる税金の種類とは

空き家を売却する際には、売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、いくつかの税金を納める必要があります。空き家売却時に発生する主な税金は、「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の3種類です。それぞれの税金がどのようなタイミングで、何に対して課せられるのかを正しく理解しておくことが、資金計画を立てるうえで非常に重要です。
まずは、これら3つの税金の概要を以下の表で確認しておきましょう。
| 税金の種類 | 課税の対象・タイミング | 納税義務者 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 不動産売買契約書を作成したとき | 売主・買主(契約書を保管する側がそれぞれ負担) |
| 登録免許税 | 抵当権抹消登記や住所変更登記を行うとき | 売主(※所有権移転登記は通常買主が負担) |
| 譲渡所得税 | 空き家の売却によって利益(譲渡所得)が出たとき | 売主 |
印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書を作成する際に課せられる税金です。契約書に定められた金額の収入印紙を貼り付け、消印をすることで納税が完了します。不動産売買契約書は売主用と買主用で2通作成することが一般的であり、それぞれが自分の保管する契約書分の印紙税を負担します。
印紙税の金額は、契約書に記載された売買金額(取引価格)によって段階的に定められています。また、一定の要件を満たす不動産売買契約書については、軽減措置が設けられています。詳細な税額については、国税庁の印紙税額の一覧表にて確認することができます。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記手続きを行う際に国に納める税金です。空き家を売却して買主に引き渡す際、所有権を買主に移す「所有権移転登記」を行いますが、この登記にかかる登録免許税は慣例として買主が負担します。
しかし、売却する空き家に住宅ローンなどの抵当権が残っている場合は、引き渡しまでに売主の負担で「抵当権抹消登記」を行う必要があります。抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円です(土地と建物であれば合計2,000円)。また、登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は「住所変更登記」が必要となり、こちらも売主が登録免許税を負担します。
譲渡所得税
譲渡所得税は、空き家を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課せられる税金です。厳密には「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの税金の総称として呼ばれています。譲渡所得税は売却益が出た場合にのみ課税されるため、売却によって損失が出た(購入時よりも安く売れた)場合には発生しません。
譲渡所得税の税額は、売却した空き家の所有期間によって適用される税率が大きく異なります。そのため、親から相続した実家などの空き家を売却する際は、被相続人(亡くなった親)の所有期間を引き継いで計算できるかどうかが重要なポイントとなります。譲渡所得の詳しい計算方法や税率については、国税庁の譲渡所得の計算のしかたなどの情報も参考にしつつ、後述する計算手順の章で詳しく解説します。
空き家売却にかかる税金の計算方法

空き家を売却した際に利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)」が課せられます。税額を正確に把握するためには、まず課税の対象となる「譲渡所得」を算出し、そこに所有期間に応じた税率を掛ける必要があります。ここでは、空き家売却にかかる税金の具体的な計算手順と内訳について詳しく解説します。
譲渡所得の計算手順
譲渡所得税の計算の基礎となる「課税譲渡所得金額」は、以下の計算式で求められます。
譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
「譲渡価額」とは、空き家を売却して得た代金のことです。そこから、空き家を購入した際にかかった「取得費」と、売却するためにかかった「譲渡費用」を差し引きます。さらに、一定の要件を満たす場合には「特別控除額」を差し引くことができ、最終的に残った金額が課税対象となります。この課税譲渡所得金額に所定の税率を掛けることで、納めるべき税額が決定します。詳しくは国税庁の譲渡所得の計算のしかたをご確認ください。
取得費と譲渡費用の内訳
譲渡所得を正しく計算するためには、取得費と譲渡費用に何が含まれるかを理解しておくことが重要です。
| 項目 | 主な内訳・該当するもの |
|---|---|
| 取得費 | 購入代金、建築代金、購入時の仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、印紙税、設備費、改良費など(建物の場合は減価償却費を差し引いた金額) |
| 譲渡費用 | 売却時の仲介手数料、売買契約書の印紙税、空き家の解体費用、測量費、売却のために支払った立退料など |
先祖代々受け継いできた実家など、購入時期が古く実際の取得費が分からない場合は、譲渡価額の5%を「概算取得費」として計算することができます。ただし、実際の取得費が譲渡価額の5%を下回る場合も、この概算取得費を用いることが可能です。
所有期間による税率の違い
課税譲渡所得金額に掛ける税率は、売却した空き家の所有期間によって大きく異なります。所有期間は、空き家を売却した年の1月1日時点での所有期間で判定される点に注意が必要です。
短期譲渡所得と長期譲渡所得
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」に区分され、それぞれ適用される税率が異なります。相続した空き家の場合、被相続人(亡くなった親など)の所有期間を引き継ぐことができます。
| 区分 | 所有期間(売却年の1月1日時点) | 所得税(復興特別所得税含む) | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
表から分かるように、所有期間が5年を超える長期譲渡所得の方が、税率が約半分になり税負担が大幅に軽減されます。空き家を売却するタイミングを検討する際は、この「5年の壁」を意識することが非常に重要です。
空き家売却で税金を節税できる特別控除と特例

空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、通常は高額な譲渡所得税や住民税が課せられます。しかし、国が定める一定の要件を満たすことで、税金の負担を大幅に軽減できる特別控除や特例制度を利用することが可能です。ここでは、空き家売却時に活用できる代表的な3つの節税制度について詳しく解説します。
被相続人の居住用財産を売ったときの特例
親などの被相続人が住んでいた家を相続し、それが空き家となっている場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる可能性があります。この特例を適用すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、大幅な節税効果が期待できます。
特例の適用要件
この特例を受けるためには、物件や売却方法に関する厳しい要件をすべて満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
| 要件の項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること |
| 居住状況 | 相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと |
| 売却時の状態 | 現行の耐震基準を満たすようにリフォームして売却するか、家屋を取り壊して更地にして売却すること |
| 売却代金 | 売却代金が1億円以下であること |
| 売却期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること |
なお、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡については、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修工事または解体工事を行った場合でも適用対象となるよう要件が緩和されました。詳しくは国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご確認ください。
特例を受けるための必要書類
特例の適用を受けるためには、確定申告書に以下の書類を添付して管轄の税務署に提出する必要があります。
市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必須となります。この確認書を取得するためには、電気や水道の閉栓証明書など、空き家であったことを証明する書類を自治体に提出する必要があります。その他、売買契約書の写しや、家屋の登記事項証明書なども必要です。書類の準備には時間がかかるため、売却が決まったら早めに手続きを進めましょう。
マイホームを売ったときの3000万円特別控除
売却する空き家が、相続したものではなく「自分自身が以前住んでいたマイホーム」である場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が利用できます。転勤や住み替えなどで一時的に空き家になっているケースがこれに該当します。
この特例を利用すると、所有期間の長短に関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます。ただし、住まなくなってから適用を受けるための期限が設けられており、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却しなければなりません。家屋を取り壊して更地にした場合でも、一定の要件を満たせば適用可能です。詳細は国税庁の「マイホームを売ったときの特例」をご参照ください。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続によって取得した空き家を売却した場合で、かつその相続において相続税を納付している場合に利用できるのが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」です。
この特例は、支払った相続税額のうち一定の金額を、空き家を売却した際の「取得費」に加算できる制度です。取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、結果として譲渡所得税を減らすことができます。
適用を受けるための主な要件は以下の通りです。
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
なお、この特例は前述の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3,000万円特別控除)」と併用することはできません。どちらの特例を適用したほうが節税効果が高いか、事前にシミュレーションを行うことが重要です。制度の計算方法等については、国税庁の「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を確認してください。
空き家売却後に必要な確定申告の手続き

空き家を売却して譲渡所得(利益)が発生した場合や、特別控除などの特例を適用して税金をゼロにする場合には、必ず確定申告を行う必要があります。売却しただけで手続きが完了するわけではないため、申告漏れがないようにスケジュールや必要書類を事前に把握しておきましょう。
確定申告の時期と期間
空き家を売却した際の確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間内に行うのが原則です。ここでいう「売却した年」とは、原則として物件の引き渡しを行った日(決済日)の属する年を指します。
期間内に申告や納税を行わなかった場合、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される恐れがあるため、早めに準備を進めることが重要です。また、還付申告(払いすぎた税金を取り戻す申告)のみの場合は、翌年の1月1日から申告を行うことが可能です。
確定申告の必要書類と提出方法
空き家売却の確定申告には、税務署で入手する書類のほかに、ご自身で用意しなければならない書類が多数あります。スムーズに手続きを進めるために、売却時の契約書や領収書は大切に保管しておきましょう。
| 書類の種類 | 具体的な書類名と入手方法 |
|---|---|
| 税務署で入手・作成する書類 | 確定申告書(第一表・第二表)、申告書第三表(分離課税用)、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) ※国税庁ホームページからもダウンロード・作成可能です。 |
| 売却(譲渡)に関する書類 | 売却時の売買契約書のコピー、仲介手数料や印紙代などの領収書のコピー |
| 購入(取得)に関する書類 | 購入時の売買契約書のコピー、購入時の仲介手数料や登記費用などの領収書のコピー(※親から相続した空き家の場合は、親が購入した当時の書類) |
| 法務局や市区町村で取得する書類 | 売却した空き家の登記事項証明書(全部事項証明書) |
| 特例の適用に必要な書類(該当者のみ) | 被相続人居住用家屋等確認書、戸籍謄本、住民票の除票など(※適用する特例によって異なります) |
確定申告書の提出方法には、主に以下の3つの方法があります。
1つ目は、管轄の税務署の窓口へ直接持参する方法です。不明点がある場合は、事前に予約をして相談窓口で確認しながら提出することができます。
2つ目は、税務署へ郵送する方法です。書類の控えと返信用封筒を同封しておけば、受付印が押された控えを返送してもらえます。
3つ目は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用してインターネット経由で提出する方法です。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、自宅から24時間いつでも申告が可能で、添付書類の提出を一部省略できるメリットがあります。
どの方法を選ぶにしても、申告期限の直前は税務署やシステムが大変混雑するため、1月頃から必要書類を集め始め、余裕を持って手続きを完了させることをおすすめします。
空き家売却と税金に関するよくある質問

空き家の売却を進めるなかで、多くの方が疑問に感じる税金の取り扱いや支払い義務について、よくある質問とその回答をまとめました。
親の空き家を売却した際の税金は誰が払うのですか
親から相続した空き家を売却した場合、税金を納める義務はその空き家を相続し、売却して利益(譲渡所得)を得た相続人にあります。もし兄弟など複数人で共有名義として相続し、そのまま売却した場合は、それぞれの持分割合に応じて譲渡所得を計算し、各人が個別に確定申告を行って税金を納める必要があります。
共有名義のまま売却すると、売買契約や確定申告の手続きが全員分必要になり非常に煩雑です。そのため、代表者1人の名義で相続登記を行い、売却後に代金を分配する「換価分割」という手法がよく用いられます。この場合でも、実質的に利益を得た各相続人がそれぞれの割合に応じて税金を申告・納付することになります。
空き家を解体して更地で売却した場合の税金はどうなりますか
古い空き家を解体し、更地にしてから売却する場合、かかった建物の解体費用や測量費などは「譲渡費用」として売却代金から差し引くことができます。これにより譲渡所得が小さくなるため、結果として譲渡所得税を抑える節税効果が期待できます。詳しくは国税庁の譲渡費用となるもののページも参考にしてください。
ただし、税金面で注意しなければならないのが固定資産税です。建物を解体して更地にすると、土地に対する「住宅用地の特例」が適用されなくなります。その結果、翌年以降の土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。
空き家のまま売却するか、更地にして売却するかの違いを以下の表にまとめました。
| 売却方法 | 譲渡所得税への影響 | 固定資産税への影響 | その他の特徴 |
|---|---|---|---|
| 空き家のまま売却 | 解体費用がないため譲渡費用は増えない | 住宅用地の特例が継続され税負担が軽い | 解体費用の持ち出しがないが、買い手がつきにくい場合がある |
| 更地にして売却 | 解体費用を譲渡費用に計上でき税金を抑えやすい | 特例から外れ、翌年から最大6倍になる恐れがある | 買い手がすぐに家を建てられるため、早期売却に繋がりやすい |
更地にする場合は、解体後すぐに売却できるよう、不動産会社と綿密な販売スケジュールを立てることが重要です。売却が長引くと、高額な固定資産税を支払い続けることになってしまいます。
まとめ

空き家を売却する際には、印紙税や登録免許税、そして利益が出た場合の譲渡所得税がかかります。特に譲渡所得税は、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」となることで税率を低く抑えることが可能です。
また、「被相続人の居住用財産を売ったときの特例(空き家の3,000万円特別控除)」などの特例を適用要件を満たして活用すれば、税負担を大幅に節税できます。これらの特例を利用するためには、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に必ず確定申告を行う必要があります。必要書類を早めに準備し、損をしない空き家売却を実現しましょう。
訳あり物件買取センターの不動産買取の専門家に相談することで、これらの複雑な手続きやトラブルをスムーズに解決し、安心して資産を管理・処分することができます。